なぜ流星の多くは、彗星が残したダストから生まれるのか?

夜空を一瞬で走る流星と、長い尾を引く彗星は、見た目にはまったく違う天体に見えます。しかし、多くの流星、とくに流星群に属する流星は、彗星が過去に宇宙空間へ放出した小さなダスト粒子が地球大気へ飛び込むことで起こります。

彗星が太陽へ近づくと、核に含まれる氷が昇華し、ガスとともにダストが外へ噴き出します。その粒子の多くは母彗星とよく似た太陽周回軌道を進み続けます。地球がその粒子の流れと交差すると、ダストが大気へ高速で突入し、一粒ずつ流星として光るのです。

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結論:彗星が残したダストを、地球が大気で「流星」として見ている

国立天文台は、多くの流星群について、彗星が太陽へ近づいたときに放出したちりが母彗星の軌道付近に分布し、地球がその粒子群と交差することで流星群が起こると説明しています。

NASAも、彗星が太陽の周りを回るたびにダストの尾や粒子の帯を残し、地球がそれらのデブリを通過すると多数の流星が現れると説明しています。

つまり、彗星と流星の関係は「彗星そのものが流星になる」のではありません。彗星が過去に放出した小さな固体粒子が、時間をおいて地球へ到達し、大気との相互作用で流星になるのです。

彗星は、なぜ大量のダストを宇宙空間へ放出するのか?

彗星核は、氷とダストが混ざった小天体です。太陽から遠いときには低温で活動が弱いものの、太陽へ近づくと表面や内部の氷が昇華してガスになります。

そのガスが核の表面から外へ流れるとき、周囲のダスト粒子も一緒に持ち上げます。こうして彗星の周囲にはコマができ、さらにダストは太陽光圧などの影響を受けながら尾へ広がります。

すべての粒子がすぐに遠くへ吹き飛ばされるわけではありません。比較的大きな粒子は、母彗星の運動を受け継いだまま、彗星の軌道に近い太陽周回軌道へ入ります。

放出されたダストは、彗星とほぼ同じ軌道を回り続ける

ダスト粒子は彗星から放出されるとき、彗星そのものが持っていた太陽周回速度に、ガス噴出による小さな速度差が加わります。

そのため、粒子一つ一つの軌道は完全には同じではありませんが、母彗星の軌道に近い細長い軌道へ分布します。

JPLのMeteor Streamsでは、主要な流星群について、その流星体群と母天体の対応が整理されています。流星群の粒子は、典型的には彗星から放出されたダストが母彗星の軌道付近へ分布したものです。

彗星が何度も太陽へ戻るたびに新しい粒子が供給されるため、軌道上には異なる年代のダストが重なっていきます。

地球がそのダストの流れを横切ると、流星群になる

地球も太陽の周りを公転しています。もし彗星由来のダスト・ストリームの軌道と地球軌道が交差していれば、地球は毎年ほぼ同じ季節にその粒子帯を横切ります。

その瞬間、粒子は地球大気へ秒速数十kmで飛び込みます。流星体の前方の空気が圧縮され、流星体の物質もアブレーションで蒸発し、励起・電離した原子や分子が光を放ちます。

一粒のダストが一つの流星になり、同じ粒子帯から多数の粒子が入れば流星群になります。

したがって、流星群は彗星が過去に残したダストの軌道と、現在の地球軌道が交差していることの結果です。

母彗星がその年に地球の近くにいなくても、流星群は起こる

流星群を見ると、「今、母彗星も近くに来ているのでは」と思うかもしれません。しかし、必ずしもそうではありません。

流星群を作る粒子は、母彗星が何十年、何百年、ときにはそれ以上前に放出したものかもしれません。彗星本体が現在は太陽系の遠い場所にいても、過去に残したダスト・ストリームは軌道上に残っています。

地球がその古い粒子帯へ入れば、母彗星が近くにいなくても流星群は起こります。

このため、流星群の活動と「その年の母彗星の地球接近」は単純には一致しません。

ペルセウス座流星群は、スイフト・タットル彗星のダスト

代表的な例が、毎年8月ごろに活発になるペルセウス座流星群です。

NASAは、ペルセウス座流星群の一つ一つの流星体が、109P/スイフト・タットル彗星が残した小さな粒子だと説明しています。

スイフト・タットル彗星は約130年周期で太陽の周りを回ります。その彗星が過去の回帰で放出したダストが軌道上へ広がり、地球が毎年その粒子帯を横切ることで、彗星本体が毎年来なくてもペルセウス座流星群が見えるのです。

ハレー彗星は、二つの主要な流星群の母天体になる

一つの彗星が、一つの流星群だけを作るとは限りません。

ハレー彗星は、5月のみずがめ座η流星群と、10月のオリオン座流星群の両方の母天体として知られています。

これは、ハレー彗星のダスト軌道と地球軌道が異なる場所で交差し、地球が年に二度、別の方向から同じ母彗星由来の粒子群へ入るためです。

同じ彗星が残したダストでも、地球がどの交差点を通るかによって、別の季節・別の放射点を持つ流星群として見えることがあります。

流星群の名前の星座は、彗星の場所を示しているわけではない

ペルセウス座流星群やオリオン座流星群という名前から、その星座の恒星から流星体が来るように感じるかもしれません。しかし、星座は流星体の物理的な出発点ではありません。

同じ流星群の粒子は、ほぼ平行な方向から地球大気へ入ります。地上から見ると遠近法によって夜空の一点から放射状に広がるように見え、その見かけ上の中心が放射点です。

流星群名は、その放射点の近くに見える星座にちなんで付けられています。実際の粒子の起源は、太陽系内の彗星や一部の小惑星です。

すべての流星が彗星由来というわけではない

彗星と流星の関係は非常に強いものですが、「すべての流星体は彗星から来る」と考えるのは正しくありません。

NASAは、流星体には彗星が残した粒子だけでなく、壊れた小惑星などに由来するものもあると説明しています。

また、特定の流星群に属さず、夜空のさまざまな方向から不規則に現れる散在流星もあります。これらには、長い時間をかけて元の母天体との対応が分かりにくくなった粒子も含まれます。

したがって、彗星は「流星の代表的な供給源」ですが、唯一の供給源ではありません。

ふたご座流星群の母天体は、小惑星フェートン

「流星群の母天体は必ず彗星」という例外として有名なのが、ふたご座流星群です。

国立天文台は、ふたご座流星群の母天体が近地球小惑星3200フェートンだと考えられていると説明しています。

フェートンは現在、小惑星に分類されていますが、太陽へ近づくと少量の物質放出が観測される活動的小惑星でもあります。過去に彗星のような活動をして大量のダストを放出した可能性も議論されていますが、ふたご座流星群を作るほどの大量のダストがどのように供給されたかは、完全には解明されていません。

この例は、流星群の研究が彗星と小惑星の境界を考える材料にもなることを示します。

彗星から放出された粒子は、時間とともに軌道上へ広がる

放出直後のダストは母彗星の近くに集まりやすいですが、すべてが同じ速度で進むわけではありません。

粒子ごとにわずかな放出速度差があり、太陽光圧や惑星重力も受けるため、何周も公転するうちに軌道上へ広がっていきます。

新しく細いダスト・トレイルでは、地球がその中心を横切ると短時間に非常に多くの流星が現れることがあります。古い粒子帯では、流星がより長い期間に広がって見える場合があります。

この違いが、流星群ごとの活動期間や極大の鋭さの違いにもつながります。

流星の軌道を逆算すると、母彗星との関係を確かめられる

彗星と流星群の関係は、見た目の似かよいだけで決めるわけではありません。

流星を複数地点から観測すると、地球大気へ入る方向と速度を測定できます。その値から、大気突入前に流星体が太陽の周りをどのような軌道で回っていたかを逆算できます。

その軌道を既知の彗星の軌道と比較し、軌道の形、傾き、近日点距離、向きなどがよく似ていれば、母天体との関係を検討できます。

JPLのMeteor Streamsが流星群と母天体を対応づけているのも、こうした軌道情報が基礎になっています。

流星は、彗星が過去に放出した「固体試料」を地球で観測する機会でもある

彗星本体を探査機で直接調べるのは簡単ではありません。しかし、流星群なら、母彗星が過去に放出した固体粒子が地球の大気へ飛び込んできます。

その流星の速度、明るさ、発光高度、スペクトルを測ると、粒子の質量、壊れやすさ、ナトリウム・マグネシウム・鉄などの発光成分を調べられます。

つまり、流星は彗星から離れたダストが地球まで運ばれ、大気中で観測可能になった現象でもあります。

ただし、地球へ届くのは母彗星が放出した全粒子のごく一部であり、流星観測だけで彗星全体の組成を代表させることはできません。

まとめ

流星と彗星が関係しているのは、多くの流星体、とくに主要な流星群の粒子が、彗星が太陽接近時に放出したダストだからです。

彗星の氷が昇華すると、ガスがダストを宇宙空間へ運び出します。比較的大きな粒子は母彗星に近い太陽周回軌道を進み、何度もの回帰で新しい粒子が加わることでダスト・ストリームを作ります。

地球がその粒子帯と交差すると、ダストは大気へ高速で突入し、一粒ずつ流星になります。多数の粒子が同時期に入れば流星群になります。ペルセウス座流星群はスイフト・タットル彗星、しし座流星群はテンペル・タットル彗星、オリオン座流星群とみずがめ座η流星群はハレー彗星と結び付いています。

一方で、すべての流星が彗星由来ではありません。ふたご座流星群のように小惑星フェートンを母天体とする例や、起源の異なる散在流星もあります。

つまり、彗星は夜空の流星を直接作っているのではなく、過去に放出したダストを太陽系内へ残しています。そのダストと地球の軌道が交差したとき、私たちは彗星の過去の活動を一瞬の流星として見ているのです。

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