なぜ土の性質は粒子の大きさや割合で変わるのか?

土と粒子が関係しているのは、土の基本的な骨格が、砂・シルト・粘土など大きさの異なる鉱物粒子からできているからです。 そして、その粒子の大きさと割合によって、水のしみ込み方、水持ち、空気の通りやすさ、養分の保持、根の伸びやすさなど、土の性質が大きく変わります。

つまり、土は均一な粉ではありません。大きさも性質も異なる粒子が混ざり、その間に水や空気が入り、有機物や生物が加わってできた複雑な環境です。土を理解するには「何でできているか」だけでなく、「どの大きさの粒子がどのくらい含まれているか」を見ることが重要です。

目次

土の「粒子」とは何を指すのか

土の粒子とは、土を構成する固体成分のうち、主に岩石や鉱物に由来する細かな粒を指します。土壌学では、粒の大きさによって砂、シルト、粘土などに区分します。

農研機構は、日本で多く使われる国際土壌学会方式と、FAO・USDA方式では砂とシルトの境界粒径が異なることを示しています。つまり、粒径区分の具体的な数値は分類体系によって少し違います。

ただし、基本的な考え方は共通しています。砂が比較的大きな粒子、シルトが中間、粘土が最も細かな粒子です。

この三つの割合を調べることで、その土が砂質なのか、壌質なのか、粘土質なのかといった「土性」を表すことができます。

なぜ粒子の大きさで土の性質が変わるのか

粒子の大きさが違うと、粒子同士の並び方や、粒子の間にできるすき間の大きさが変わります。

砂のような大きな粒子が多い土では、比較的大きな孔隙ができやすく、水や空気が移動しやすくなります。一方、粘土のような非常に細かな粒子が多い土では、細かな孔隙が多くなり、水がゆっくり動きやすくなります。

FAOは、土性が土の耕しやすさ、水と空気の保持量、水が土へ入る速さや内部を移動する速さに影響すると説明しています。

つまり、粒子の大きさは単なる見た目の違いではなく、土の中の水と空気の動きを決める基本条件です。

砂が多い土はなぜ水はけが良いのか

砂粒はシルトや粘土より大きく、砂が多い土では大きな孔隙が連続しやすくなります。

大きな孔隙では、重力によって水が下へ流れやすく、雨や灌漑の後に余分な水が比較的早く抜けます。そのため砂質土は一般に排水性や通気性が高い傾向があります。

一方、水が抜けやすいということは、水を長く保持しにくいということでもあります。乾燥しやすい場所では、植物が利用できる水が不足しやすくなることがあります。

砂が多い土は「悪い土」なのではなく、排水性が高いという特徴を持つ土です。作物や用途によって、その特徴が利点にも欠点にもなります。

粘土が多い土はなぜ水を保持しやすいのか

粘土粒子は非常に小さく、同じ質量でも砂より表面積が大きくなります。また、粘土が多い土には細かな孔隙が多く、水が毛管力などによって保持されやすくなります。

そのため粘土質土は、一般に砂質土より多くの水を保持します。

ただし、保持されている水がすべて植物に使いやすいわけではありません。細かな孔隙では水が強く保持され、植物の根が吸収しにくい水もあります。

このため「粘土が多いほど植物に使える水が必ず多い」とは言えません。実際の利用可能水量は、粒径組成だけでなく、土壌構造、有機物、根の深さなどにも左右されます。

粘土粒子は養分を保持する力にも関係する

粘土粒子は粒が小さいだけでなく、表面に電荷を持つものが多いという特徴があります。

その表面には、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムなど、正の電荷を持つ養分イオンを吸着できる場所があります。

このため、粘土を多く含む土は、一般に砂質土より養分を保持する力が大きい傾向があります。

ただし、粘土鉱物の種類によって電荷や保持力は大きく異なります。また腐植などの土壌有機物も養分保持に重要です。単に「粘土が何%あるか」だけで保肥力が決まるわけではありません。

粒子の割合で「土性」が決まる

土壌学では、砂・シルト・粘土の割合を使って土性を分類します。

USDA Natural Resources Conservation ServiceのSoil Texture Calculatorも、砂・シルト・粘土の割合から土性区分を求める仕組みになっています。

たとえば砂が非常に多ければ砂質、粘土が多ければ粘土質になります。三つが比較的バランスよく混ざった土は壌土と呼ばれることがあります。

農研機構は、日本の水田土壌についても粒径組成から土性を評価し、分類体系間で換算する研究を行っています。これは、土の粒径組成が農地の基本情報として重要だからです。

土性と土壌構造は同じものではない

ここで重要なのが、「土性」と「土壌構造」を区別することです。

土性は砂・シルト・粘土という一次粒子の割合を表します。一方、土壌構造は、それらの粒子がどのように集まり、団粒などのまとまりをつくっているかを表します。

USDA NRCSは、粘土・シルトサイズの粒子、有機物、植物残渣、菌糸などが微細な団粒をつくり、それが根や微生物の働きによってさらに大きな団粒へまとめられると説明しています。

つまり、同じ粒径組成の土でも、団粒がよく発達しているか、締め固められているかによって、水はけや空気の通りやすさは大きく変わります。

なぜ土の粒は団粒になるのか

自然の土では、砂・シルト・粘土がいつも一粒ずつばらばらに存在しているわけではありません。

粘土粒子や有機物、微生物がつくる粘着性物質、菌糸、植物の根などが粒子を結び付け、団粒と呼ばれるまとまりをつくります。

J-STAGE掲載の土壌有機物に関する総説でも、粘土粒子が土壌有機物などと結合して団粒を形成し、大小さまざまな団粒の間に異なる大きさの孔隙が生じることが説明されています。

大きな孔隙は排水や通気に役立ち、小さな孔隙は水分保持に役立ちます。そのため、粒子が適切な団粒構造をつくることが、植物の根にとって重要な環境をつくります。

粒子の大きさは触った感触にも表れる

土を指で触ると、粒径の違いをある程度感じることができます。

砂が多い土はざらざらした感触が強く、シルトが多い土は比較的なめらかです。粘土が多い土は、水を加えてこねると粘りや可塑性が強くなります。

こうした性質を利用して、現場では湿らせた土を指でこすったり、細く伸ばしたりして、おおよその土性を判定する方法があります。

もちろん正確な粒径組成を知るには分析が必要ですが、手触りだけでも粒子の大きさが土の性質へ影響していることを実感できます。

土の粒子はどこからできるのか

土の鉱物粒子の多くは、岩石や堆積物が風化・変質することで生まれます。

砂粒の多くは、岩石を構成していた鉱物の粒や、その破片です。シルトはさらに細かな鉱物粒子を多く含みます。

粘土については、単に岩石が細かく砕けただけでできるとは限りません。長い風化の過程で鉱物が化学的に変化し、新しい粘土鉱物が形成されることもあります。

そのため、土の粒径組成や粘土鉱物の種類は、もとの岩石、火山灰、河川堆積物などの母材と、その後の風化環境を反映しています。

川や風は粒子を大きさによって分ける

土粒子は水や風によって運ばれますが、大きさによって運ばれやすさが異なります。

一般に、大きな粒子は速く沈みやすく、非常に細かな粒子は水中に長く浮遊しやすくなります。河川が氾濫したときには、流速が落ちる場所から粗い粒子が先に堆積し、より細かなシルトや粘土が遠くまで運ばれることがあります。

風でも、乾燥してばらばらになった細粒子は飛散しやすくなります。J-STAGEの松本盆地の研究では、冬から春に畑土壌が細粒化すると、強風時に細かな土粒子が飛散しやすくなることが報告されています。

つまり粒径は、土がその場所にとどまるか、別の場所へ運ばれるかにも関係しています。

農業では粒径組成をなぜ調べるのか

農業では、土の粒径組成が水管理や施肥、耕作のしやすさへ関係します。

砂が多い畑では水や養分が流亡しやすいため、少量ずつ灌水・施肥する管理が適する場合があります。粘土が多い土では、水はけや土の硬さに注意し、排水改善や適切な耕起が必要になることがあります。

2020年の水田土壌研究では、土壌の粘土・シルト・砂の割合を把握することが、局所的な土壌管理や改良判断、作物生産の改善に役立つとされています。

そのため粒径組成は、土壌診断の中でも基本的な情報の一つです。

「粒子が細かいほど良い土」ではない

粘土は水や養分を保持しやすいため、「細かい粒子が多いほど良い土」と思うかもしれません。しかし、そう単純ではありません。

粘土が多すぎる土は、濡れると粘りやすく、乾くと硬くなることがあります。排水が悪ければ根が酸素不足になることもあります。

一方、砂が多い土は乾きやすい反面、通気性と排水性が高く、根菜類など一部の作物では栽培しやすいことがあります。

重要なのは、粒径組成だけを善悪で評価するのではなく、植物、有機物、団粒構造、水管理などとの組み合わせを見ることです。

土と粒子の関係を整理すると

  • 土の骨格:土は砂・シルト・粘土など大きさの異なる鉱物粒子を基本材料としている
  • 土性:砂・シルト・粘土の割合によって土性が決まる
  • 水の動き:大きな粒子が多い土は大きな孔隙ができやすく、水が移動しやすい
  • 保水性:細かな粒子と小さな孔隙は水を保持しやすい
  • 保肥力:粘土粒子の大きな表面積と電荷が養分保持に関係する
  • 構造:粒子は有機物や根、微生物の働きで団粒をつくる
  • 侵食・堆積:粒径によって水や風で運ばれやすさ、沈みやすさが変わる
  • 農業:粒径組成は灌水、排水、施肥、耕起などの管理判断に使われる

まとめ

土と粒子が関係している最大の理由は、土の基本的な物理的骨格が、砂・シルト・粘土などの粒子によってつくられ、その大きさと割合が水・空気・養分の動きを左右するからです。

  • 土は同じ大きさの粉ではなく、さまざまな大きさの粒子からできている
  • 砂・シルト・粘土の割合が土性を決める
  • 砂が多い土は一般に排水・通気が良いが、水や養分を保持しにくい
  • 粘土が多い土は水や養分を保持しやすい一方、排水や通気が悪くなる場合がある
  • 粒子の割合だけでなく、団粒構造によって孔隙や水の動きは大きく変わる
  • 粘土は大きな表面積と電荷を持ち、養分保持に重要な役割を果たす
  • 粒径は風化、運搬、堆積、侵食など土ができる過程にも関係する
  • 農業では粒径組成を知ることが水管理や土壌改良の基本になる

つまり、土の性質を理解する第一歩は、その中にどんな粒子がどのくらい含まれているかを見ることです。目に見える砂粒から肉眼ではほとんど見えない粘土粒子まで、それぞれの粒が組み合わさることで、植物が育ち、水がしみ込み、養分が蓄えられる「土らしい性質」が生まれているのです。

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参考資料

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