家事は、気づいたものから一つずつ片付ける方法もあれば、同じ種類の作業をある程度まとめて行う方法もあります。たとえば、数部屋を続けて掃除する、食材をまとめて下ごしらえする、洗濯物を適量まとめて洗う、といったやり方です。
まとめて行うと、道具を出す、準備する、片付けるといった作業を何度も繰り返さずに済む場合があります。一方で、ためすぎれば一回の負担が大きくなり、洗濯物が干し切れない、作り置きを冷蔵庫へ入れられないなど、後工程が詰まることもあります。
つまり、家事をまとめて行うことが暮らしの快適さや効率につながるのは、準備・片付け・移動・作業の切り替えを減らせる一方、家庭で無理なく処理できる量に調整すれば、一日の家事をまとまりのある単位で進めやすくなるからです。
「まとめる」とは、ただ大量にためることではない
家事をまとめるというと、「週末に全部やる」「洗濯物を限界までためる」といった極端な方法を想像することがあります。しかし、効率化のためのまとめ作業は、同じ道具・場所・手順を使う作業を続けて行い、準備や切り替えを減らすことが中心です。
総務省統計局の社会生活基本調査では、家事や買い物を含む生活行動に一日の時間が配分されていることが示されています。家事に使える時間が限られている以上、同じ準備を何度も繰り返さず、まとまりのある単位で処理することには実用的な意味があります。
ただし、まとめる単位は家庭ごとに違います。一人暮らしと家族世帯では家事量が違い、洗濯機や冷蔵庫の容量、作業できる時間も異なります。大切なのは「最大量」ではなく「最後まで無理なく処理できる量」です。
家事をまとめて行うと効率が上がりやすい5つの理由
1.準備と片付けの回数を減らせる
多くの家事には、本体作業の前後に準備と片付けがあります。掃除なら掃除機やクロスを出して戻す、料理なら包丁やまな板を出して洗う、アイロンなら道具を準備して収納する、といった作業です。
同じ種類の家事を続けて行えば、こうした準備を一度で済ませられることがあります。たとえば、一部屋ごとに掃除機を出して戻すより、掃除機を出した機会に複数の部屋を続けて掃除する方が、出し入れの回数は少なくなります。
一回では小さな差でも、毎日繰り返す準備や片付けを減らせれば、家事全体ではまとまった負担の削減につながります。
2.作業の切り替えを減らしやすい
人は、異なる作業を交互に行うとき、次の作業に必要なルールや注意の向きを切り替える必要があります。認知心理学の課題切り替え研究では、同じ課題を続ける場合に比べ、別の課題へ切り替えた直後は反応が遅くなったり誤りが増えたりする「スイッチコスト」が確認されています。
家庭の家事と実験課題は同じものではありませんが、「掃除→メール→料理→片付け」のように作業を細かく切り替えるより、似た作業をある程度まとめる方が、道具や注意の切り替えを少なくできるという考え方の参考になります。
たとえば、水回りの掃除を続ける、買い物リストを作るときに日用品と食品在庫をまとめて確認する、といった方法なら、同じ目的に注意を向けたまま進めやすくなります。
3.家電を効率よく使える場合がある
家電を使う家事では、適切な量をまとめることが水やエネルギーの効率につながる場合があります。
ENERGY STARは衣類用洗濯機について、可能であれば十分な量をまとめて運転することを勧めています。洗濯機は少量でも一回の運転に一定のエネルギーを使うため、容量に合う範囲でまとめる方が効率的な場合があるためです。
ただし、詰め込みすぎは別です。衣類が十分に動かないほど入れれば、洗浄しにくくなる可能性があります。家電を使ったまとめ作業では「回数を減らすこと」と「適切な容量を守ること」の両方が必要です。
4.まとまった空き時間を作りやすい
家事を一日のあちこちに細かく配置すると、短時間の作業でも「また家事を始める」という感覚が何度も生まれます。似た家事を一つの時間帯にまとめれば、それ以外の時間を仕事、休息、趣味、家族との時間などに使いやすくなります。
たとえば、朝に10分ずつ三回掃除する代わりに、無理のない範囲で一度に20分行う方が、その後の時間を家事から切り離しやすい人もいます。
ただし、長時間集中する方が疲れる人もいます。まとめ作業の目的は家事時間を一か所へ押し込むことではなく、自分が過ごしやすいまとまりを作ることです。
5.家事の見通しを立てやすくなる
まとめる単位を決めておくと、「何をいつ行うか」を毎回考える負担を減らせます。
たとえば、「夕食後にキッチン周りをまとめて片付ける」「週末に日用品の在庫確認と買い物リスト作成を続けて行う」と決めておけば、その都度別々に思い出す必要がありません。
家事をグループ化すると、必要な時間や道具を予測しやすくなり、予定の中へ入れやすくなります。これは作業時間そのものだけでなく、家事を管理する負担の軽減にもつながります。
家事ごとに「まとめる効果」はどう違う?
掃除:同じ道具を使う場所を続ける
掃除は、家全体を一日で終わらせなくてもまとめられます。掃除機を使う部屋だけ続けて回る、水回りだけを同じ時間帯に手入れするなど、道具や作業方法ごとにまとめることができます。
こうすると道具の出し入れや洗浄の回数を減らしやすくなります。
洗濯:一回量と洗濯回数のバランスを取る
日本家政学会の家庭洗濯研究では、冬は夏に比べて洗濯回数が少なく、一回当たりの洗濯物重量が多い傾向がみられ、季節や地域によって「まとめ洗い」の程度が変わることが報告されています。
まとめ洗いには運転回数を減らせる利点がありますが、ためすぎれば一度に干す量や収納する量が増えます。洗濯では、洗える量だけでなく乾かせる量まで含めて一回量を決める必要があります。
料理:下ごしらえを共有する
同じ食材を複数の料理に使う場合、野菜をまとめて洗う、必要量を続けて切るなど、共通する下ごしらえをまとめることができます。包丁やまな板を出して洗う回数を減らしやすくなります。
一方、大量の作り置きは冷却・保存・容器洗いなど別の家事を増やすことがあります。調理だけでなく、保存まで無理なく終えられる量にすることが重要です。
買い物・在庫管理:確認と購入をつなげる
日用品や食品の残量を別々の日に何度も確認するより、買い物前にまとめて在庫を確認すると、確認作業とリスト作成を一つの流れにできます。
買い忘れや重複購入を減らせれば、追加の買い物に出る回数を抑えられる可能性もあります。
まとめればまとめるほど効率的になるわけではない
まとめ作業には上限があります。量を増やしすぎると、一回の作業が長くなり、疲れやすくなったり、途中で中断したりすることがあります。
洗濯なら干す場所が足りない、料理なら冷蔵庫に入らない、掃除なら一日で終わらず道具を出したままにする、といった状態です。こうなると、準備回数を減らす利点より、後工程の負担が大きくなります。
また、衣類の汚れは長く放置すると落ちにくくなる場合があります。日本衣服学会誌の解説でも、大容量洗濯機の普及とともにまとめ洗いが増える一方、汚れた衣類を長期間放置すると洗浄性が低下することが指摘されています。
そのため、効率のよいまとめ方は「限界までためること」ではなく、「作業開始から片付けまで一度に無理なく終えられる量」にすることです。
家事をまとめるときの4つの判断基準
同じ道具や場所を使うか
同じ掃除機、同じ調理器具、同じ収納場所を使う作業はまとめる効果が出やすくなります。道具や場所がまったく違う家事を無理に一緒にする必要はありません。
後工程まで処理できるか
洗濯なら乾燥と収納、料理なら冷却と保存、掃除なら道具の洗浄と片付けまで確認します。途中までしか終わらない量は、次の家事を増やすことになります。
一回の負担が大きくなりすぎないか
まとめることで長時間立ち続ける、重い物を大量に運ぶなど、身体的な負担が増えるなら分散した方がよい場合があります。
早く処理した方がよい物をためていないか
濡れたタオル、強く汚れた衣類、生鮮食品などは、まとめるために長く待つことが適さない場合があります。状態が悪化しやすいものは、他の家事とは別に早めに処理します。
まとめ
家事をまとめて行うことが暮らしの快適さや効率につながるのは、同じ道具や場所を使う作業を続けることで、準備・片付け・移動・作業の切り替えを減らしやすくなるからです。
掃除では道具の出し入れ、洗濯では運転回数、料理では共通する下ごしらえ、買い物では在庫確認とリスト作成など、家事ごとにまとめる利点があります。
ただし、量を増やしすぎれば一回の負担や後工程が重くなります。まとめ作業の適量は、「最大限ためられる量」ではなく、「最初から最後まで無理なく終えられる量」です。
家事を細切れにしすぎず、かといって一度に抱え込みすぎず、同じ準備を共有できる作業だけを適切な単位でまとめることが、暮らしを回しやすくするポイントです。
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参考資料
- 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査の結果」
- Schneider & Logan (2015), Chunking Away Task-Switch Costs
- ENERGY STAR「Clothes Washers」
- 日本家政学会誌「家庭洗濯の衣類乾燥に関する地域間の比較研究」

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