なぜ岩石の多くは鉱物の組み合わせでできているのか?

結論から言うと、岩石と鉱物が関係しているのは、岩石の多くが一種類または複数種類の鉱物が集まってできているからです。鉱物は一定の化学組成と結晶構造を持つ天然の物質で、岩石はそれらの鉱物粒が組み合わさった集合体として見ることができます。

たとえば花こう岩をよく見ると、透明から灰色の石英、白や淡紅色の長石、黒い黒雲母など、色や光沢の異なる粒が見えます。この一粒一粒が鉱物で、それらがまとまって一つの岩石である花こう岩をつくっています。

つまり、鉱物が岩石の「材料」、岩石が鉱物の「組み合わせ」という関係が基本です。ただし、火山ガラスを含む岩石など、岩石が鉱物だけでできているとは限らない例外もあります。

目次

まず「岩石」と「鉱物」の違いを整理しよう

国立科学博物館は、鉱物を天然の地質作用によってつくられ、一定の組成と構造を持つ物質と説明しています。そして、多くの石ころは色や風合いの違う複数の粒からできており、その一粒一粒が鉱物、鉱物が集合したものが岩石だと整理しています。

USGSも、鉱物を規則的な内部構造と特徴的な化学組成・物理性質を持つ天然の無機物質、岩石を一種類以上の鉱物などからなる集合体と定義しています。

つまり、石英、長石、雲母、かんらん石、方解石などは鉱物名で、花こう岩、玄武岩、砂岩、石灰岩、片麻岩などは岩石名です。

鉱物は岩石をつくる「部品」のような存在

岩石と鉱物の関係は、料理と材料にたとえると理解しやすくなります。

同じ材料でも割合や組み合わせ、つくられ方が違えば料理の種類が変わるように、岩石も含まれる鉱物の種類・割合・結晶の大きさ・並び方によって種類が変わります。

産総研地質調査総合センターは、岩石を鉱物とガラスの集合体と説明し、岩石の区分や成因を考えるときに鉱物の種類や量が重要だとしています。

つまり地質学では、「この岩石にどの鉱物が入っているか」を調べることが、岩石の正体を知る基本作業の一つになります。

花こう岩を見ると関係がわかりやすい

花こう岩は、岩石と鉱物の関係を観察しやすい代表例です。

産総研地質調査総合センターの標本解説では、花こう岩には石英、長石、黒雲母などが含まれます。肉眼でも、灰色で透明感のある石英、白色や淡紅色の長石、黒い雲母などを見分けられることがあります。

これらは別々の鉱物ですが、地下のマグマから一緒に結晶化し、互いに組み合わさることで一つの花こう岩になります。

つまり「花こう岩」という岩石名は、単一の物質名ではなく、特定の鉱物の組み合わせと組織を持つ岩石の名前なのです。

一種類の鉱物だけからできる岩石もある

岩石の多くは複数の鉱物を含みますが、一種類の鉱物がほとんどを占める岩石もあります。

USGSは、一種類の鉱物から主にできた岩石を単鉱物岩として説明し、岩塩では岩塩鉱物、石英岩では石英、石灰岩では方解石が主体になる例を挙げています。

この場合でも、「鉱物」と「岩石」は同じ意味ではありません。

たとえば方解石という鉱物の粒が大量に集まって固まったものが石灰岩です。材料が一種類でも、その鉱物粒が集まった地質体として見れば岩石になります。

鉱物は何によって種類が決まるのか

鉱物は、主に化学組成と原子の並び方である結晶構造によって区別されます。

国立科学博物館は、鉱物の種類が化学成分と結晶構造によって定義されると説明しています。

たとえば石英は主に二酸化ケイ素からなり、長石類はケイ素・アルミニウム・カリウム・ナトリウム・カルシウムなどを含む鉱物群です。

同じ元素を含んでいても、割合や原子配列が違えば別の鉱物になることがあります。

そのため、岩石を細かく調べるときには、色だけではなく結晶形、硬さ、へき開、密度、顕微鏡での見え方、化学組成などを利用して鉱物を同定します。

鉱物と結晶は同じものなのか

鉱物の多くは結晶ですが、「鉱物」と「結晶」は同じ意味ではありません。

結晶とは、原子や分子が規則正しく繰り返し並んだ固体の状態を指します。一方、鉱物は天然の地質作用でつくられ、一定の組成と構造を持つ物質として分類されます。

国立科学博物館は、鉱物は基本的に結晶であり、その原子配列が結晶の形や割れ方などに反映されると説明しています。

つまり、鉱物は地質学的な物質の種類、結晶は内部構造の特徴を表す言葉だと考えるとわかりやすくなります。

火成岩ではマグマからどの鉱物が結晶するかが重要

火成岩は、マグマや溶岩が冷えて固まってできる岩石です。

マグマにはケイ素、酸素、アルミニウム、鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムなどさまざまな元素が含まれています。

マグマが冷えると、それらの元素が組み合わさって鉱物として結晶します。

産総研地質調査総合センターは、マグマの組成と温度によって晶出する鉱物が変わり、かんらん石、輝石、角閃石、黒雲母、斜長石、石英、カリ長石などの組み合わせが火成岩の種類に反映されると説明しています。

つまり火成岩では、どの鉱物が、どれくらいの割合で結晶したかが岩石名を決める重要な要素になります。

玄武岩と花こう岩の違いも鉱物組成に表れる

玄武岩と花こう岩はどちらも火成岩ですが、見た目や性質が大きく異なります。

玄武岩は一般に鉄やマグネシウムを含む有色鉱物や斜長石などを多く含み、暗い色を示しやすい岩石です。

一方、花こう岩は石英や長石を多く含み、比較的明るい色を示します。

この違いは、もとになったマグマの化学組成が異なり、そこから結晶する鉱物の種類と量が違うためです。

つまり、岩石の色や密度などの特徴を理解するときにも、内部の鉱物組成を見ることが重要になります。

堆積岩でも鉱物が材料になる

堆積岩は、既存の岩石が風化・侵食され、その粒子が運ばれ、堆積して固まることでできるものが多くあります。

岩石が風化すると、石英や長石などの鉱物粒がばらばらになったり、一部が粘土鉱物などへ変化したりします。

それらが川や海へ運ばれて積もり、圧密・セメント化されると砂岩や泥岩などになります。

したがって堆積岩では、もとの岩石に含まれていた鉱物が再利用される場合があります。

砂岩を顕微鏡で見ると、石英や長石などの鉱物粒が集まり、その間を別の鉱物が埋めている様子が観察できます。

鉱物の風化しやすさが堆積物の種類を変える

すべての鉱物が同じ速さで風化するわけではありません。

石英は地表環境で比較的安定なため、風化後も砂粒として残りやすい鉱物です。一方、長石や一部の有色鉱物は、水や二酸化炭素との反応で粘土鉱物などへ変化しやすい傾向があります。

そのため、岩石に含まれる鉱物の種類は、風化した後にどのような砂や土ができるかにも影響します。

岩石と鉱物の関係は、岩石ができるときだけでなく、岩石が壊れて別の物質へ変わる過程でも重要なのです。

変成岩では鉱物の組み合わせが地下の温度・圧力を記録する

変成岩は、既存の岩石が地下で高温・高圧などを受け、溶け切らないまま鉱物や組織を変えてできる岩石です。

産総研地質調査総合センターは、ある温度・圧力で安定する鉱物の種類がわかっているため、変成岩に含まれる鉱物の組み合わせから、その岩石が形成された温度・圧力条件を推定できると説明しています。

たとえばざくろ石、藍閃石、紅柱石、珪線石などは、形成条件を考える手がかりになる鉱物です。

つまり変成岩では、鉱物が「岩石の材料」であるだけでなく、過去の地下環境を記録する情報源にもなります。

岩石名は鉱物だけで決まるわけではない

岩石を分類するとき、鉱物組成は重要ですが、それだけですべてが決まるわけではありません。

火成岩では、鉱物の種類・割合に加えて、結晶の大きさや並び方である組織も重要です。

堆積岩では、粒子の大きさ、堆積構造、生物遺骸や化学沈殿物の有無なども使います。

変成岩では、鉱物組成に加えて片理や縞状構造などの組織、変成作用の条件も重要です。

そのため、同じ鉱物を含んでいても、割合や組織、でき方が違えば別の岩石名になることがあります。

岩石には鉱物ではない物質も含まれることがある

「岩石は鉱物の集合体」という説明は基本として正しいですが、例外もあります。

産総研地質調査総合センターは、岩石を鉱物とガラスの集合体と説明しています。

たとえば火山から噴出した溶岩が非常に速く冷えると、原子が規則正しい結晶をつくる時間がなく、火山ガラスになることがあります。黒曜石はその代表例です。

このような岩石では、結晶質の鉱物が少なかったり、ほとんど含まれなかったりする場合があります。

したがって、「岩石は普通は鉱物の集合体だが、ガラス質などを含む例外もある」と理解するとより正確です。

鉱物の性質が岩石の性質にも影響する

岩石の硬さ、色、密度、割れやすさ、風化のしやすさなどは、内部に含まれる鉱物の性質に強く影響されます。

石英は硬く化学的に比較的安定で、雲母は薄くはがれやすく、方解石は酸と反応しやすい鉱物です。

そのため、どの鉱物がどれだけ含まれているかによって、岩石の使われ方や風化速度も変わります。

石材の耐久性、道路用砕石の性質、土ができるまでの過程などを考えるときにも、鉱物組成は重要です。

鉱物を調べると岩石のでき方がわかる

地質学者は岩石を採取すると、含まれている鉱物を肉眼、ルーペ、偏光顕微鏡、X線回折、化学分析などで調べます。

鉱物の種類や割合、結晶の形、互いの接し方を見ると、その岩石がどのような条件でできたかを推定できます。

火成岩ならマグマの種類と冷却過程、変成岩なら温度・圧力条件、堆積岩なら供給源や風化・運搬の履歴を考える材料になります。

つまり鉱物は、岩石を構成する材料であると同時に、岩石の「履歴書」を読む手がかりでもあります。

鉱物と資源の関係も岩石から始まる

私たちが利用する鉄、銅、亜鉛、リチウムなどの資源の多くは、特定の鉱物として岩石中に存在します。

ただし、鉱物が含まれているだけで採掘対象になるわけではありません。経済的に採取できるほど特定の有用鉱物が濃集した部分が鉱床となります。

このため資源探査では、「どの岩石に、どの鉱物が、どのように集まっているか」を調べます。

岩石と鉱物の関係を理解することは、地球の成り立ちだけでなく、私たちが利用する鉱物資源を理解することにもつながります。

岩石と鉱物の関係をまとめると

  • 鉱物は一定の化学組成と結晶構造を持つ天然の物質である
  • 岩石の多くは一種類または複数種類の鉱物の集合体である
  • 花こう岩は石英・長石・雲母など複数の鉱物からできる
  • 一種類の鉱物がほとんどを占める岩石もある
  • 火成岩ではマグマから晶出する鉱物の種類と割合が岩石の種類に反映される
  • 堆積岩では既存岩石の鉱物粒が風化・運搬されて再利用されることがある
  • 変成岩では鉱物の組み合わせから過去の温度・圧力条件を推定できる
  • 岩石分類では鉱物組成だけでなく結晶の大きさ、組織、でき方も重要である
  • 火山ガラスなど、岩石に鉱物以外の物質が含まれる例外もある
  • 鉱物の性質は岩石の色・硬さ・風化しやすさ・資源価値にも影響する

つまり、岩石と鉱物が関係しているのは、鉱物が岩石を組み立てる基本的な材料だからです。どの鉱物がどれだけ含まれ、どのような大きさや並び方をしているかを見ることで、岩石の名前や性質、できた環境まで理解できます。岩石を大きな「まとまり」、鉱物をその中の「基本部品」と考えると、両者の関係がわかりやすくなります。そして鉱物を詳しく調べることは、地球内部の活動、風化・堆積、変成作用、さらには鉱物資源まで読み解くことにつながるのです。

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出典・参考資料

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