なぜ火山では噴火が起こるのか?

火山の噴火は、地下でできたマグマが上昇し、その中に溶けていた水蒸気や二酸化炭素などの火山ガスが、圧力の低下によって泡になって膨張することで、マグマや岩石を地表へ押し出す現象です。ただし、すべての噴火が同じ仕組みで起こるわけではありません。マグマそのものが出る「マグマ噴火」のほか、地下水が急激に水蒸気となって膨張する「水蒸気噴火」、マグマと水が直接触れて激しく膨張する「マグマ水蒸気噴火」もあります。

つまり、火山噴火を理解するポイントは「マグマができること」「マグマが上昇すること」「圧力低下でガスが発泡すること」「その結果として地下の物質が地表へ噴き出すこと」の4つです。ここでは、その流れを順番に見ていきます。

目次

火山噴火の仕組みを一言でいうと

火山噴火の基本は、地下深くにあるマグマが地表へ向かって移動し、内部のガスが膨張して噴出を助けることです。深い地下では圧力が高いため、水や二酸化炭素、硫黄成分などの揮発性成分の一部はマグマの中に溶け込んでいます。

マグマが浅い場所へ上がると、周囲の圧力が低下します。すると、炭酸飲料のふたを開けたときのように、それまで溶けていたガスが泡として現れます。この泡が成長するとマグマ全体の体積が増え、密度も小さくなりやすいため、さらに上昇しやすくなります。気象庁も、火口が開いてマグマの圧力が下がると発泡して体積が増え、噴出につながると説明しています。

まず地下でマグマがつくられる

噴火の出発点はマグマです。ただし、地球の内部がどこでも液体のマグマで満たされているわけではありません。岩石の一部が特定の条件で溶けることでマグマが生まれます。

日本のような沈み込み帯では、海のプレートが陸側のプレートの下へ沈み込んでいます。その過程で海のプレートに含まれていた水などが深部で放出されると、上部マントルの岩石が溶けやすくなり、マグマが生じます。気象庁は、日本付近の火山の成因を、この水の働きと上部マントルの部分溶融によって説明しています。

一方、世界全体を見るとマグマのでき方は一つではありません。海嶺ではマントルが上昇して圧力が下がることで溶融が進み、ホットスポットではプレート内部でもマントル由来の高温物質の上昇に伴って火山活動が起こります。したがって、「火山はすべてプレートの沈み込みでできる」と考えるのは正確ではありません。

マグマは浮力や圧力差によって上昇する

できたマグマは周囲の固い岩石より軽いことが多く、割れ目や弱い部分を通りながら上昇します。途中で地下にたまり、いわゆるマグマだまりを形成することもあります。

ただし、マグマだまりを「地下にある一つの巨大な風船」のように考えると実際の構造を単純化しすぎます。火山の地下では、マグマが複数の場所に分かれて存在したり、岩脈や割れ目、通路状の領域を移動したりすることがあります。噴火は、こうした地下のマグマ供給系の一部が地表までつながったときに起こります。

上昇するとガスが泡になり、さらに膨張する

噴火を理解するうえで最も重要なのが、マグマに含まれるガスです。地下深部の高い圧力のもとでは、揮発性成分はマグマに溶け込んでいます。しかし、マグマが上昇して圧力が下がると、溶けきれなくなった成分が気体となり、気泡をつくります。

この現象は「発泡」や「脱ガス」と関係します。米国地質調査所(USGS)も、マグマが上昇すると圧力低下によって溶存ガスが気泡となり、その気泡の膨張がマグマを上方へ動かす重要な駆動力になると説明しています。

さらに上昇すると気泡は大きくなり、マグマの体積が増えます。ガスが容易に外へ抜ける場合は比較的穏やかに溶岩が流れ出すことがありますが、ガスが抜けにくい場合には内部の圧力が高まり、マグマが細かく砕けて火山灰や軽石などを勢いよく放出する爆発的な噴火につながることがあります。

なぜ穏やかな噴火と爆発的な噴火があるのか

噴火の激しさは、単純に「ガスが多いか少ないか」だけでは決まりません。重要なのは、マグマの粘り気、ガスの量、気泡が外へ逃げやすいかどうか、結晶の量、火道の形、水との接触などが組み合わさることです。

粘り気が小さいマグマ

比較的流れやすいマグマでは、気泡が移動してガスが抜けやすく、溶岩流として比較的穏やかに流れ出す噴火になりやすい傾向があります。ただし、流れやすいマグマでも条件によっては噴泉や爆発を伴うため、「粘り気が小さければ必ず安全」という意味ではありません。

粘り気が大きいマグマ

粘り気が大きいマグマでは、気泡が抜けにくくなりやすく、内部にガス圧がたまりやすくなります。その状態でマグマが破砕されると、大量の火山灰や軽石、火山ガスが急激に放出され、爆発的な噴火になることがあります。

このため、噴火の仕組みは「地下の圧力が高くなって最後にふたが飛ぶ」という一枚絵では説明しきれません。マグマが上昇しながらガスをどの程度放出できるかが、噴火の様式を大きく左右します。

噴火までの流れを5段階で整理

  1. マグマが生まれる:沈み込み帯、海嶺、ホットスポットなど、それぞれの地質条件で岩石の一部が溶けます。
  2. マグマが上昇する:周囲との密度差や地下の圧力、割れ目などの影響で上方へ移動します。
  3. 地下の浅い場所へ進む:マグマが一時的に蓄えられたり、岩脈や火道などを通ってさらに上昇したりします。
  4. 圧力低下でガスが発泡する:マグマ中の水や二酸化炭素などが気泡となり、膨張します。
  5. 地表へ噴出する:条件に応じて溶岩流、火山灰、軽石、火山弾、火山ガスなどとして放出されます。

この一連の流れは、噴火が一瞬で突然つくられるのではなく、地下でのマグマの形成・移動・発泡という連続した過程の結果であることを示しています。

マグマが出ない噴火もある

「噴火=マグマが地表に出る」と思われがちですが、そうとは限りません。気象庁は、火山の地下にある水が加熱されたり減圧されたりして急激に水蒸気となり、その膨張を駆動力として起こる噴火を「水蒸気噴火」としています。

この場合、噴出物には既存の岩石が多く含まれ、新しいマグマが地表に現れないことがあります。また、マグマと地下水や海水などが接触すると、水が急激に気化して膨張し、「マグマ水蒸気噴火」が起こることもあります。

そのため、火山噴火の仕組みを考えるときは、マグマ内部のガスだけでなく、地下水や地表水との相互作用も重要です。

噴火の前には地下で何が起きているのか

マグマが地下を移動すると、周囲の岩石に力が加わって地震が起きたり、地面がわずかに膨張・収縮したり、火山ガスの量や成分が変化したりすることがあります。火山観測では、こうした複数の変化を組み合わせて地下の状態を推定します。

ただし、観測値に変化があれば必ず噴火するわけではなく、反対に噴火の規模や時刻を完全に決め打ちできるわけでもありません。地下のマグマ供給系は複雑で、同じ火山でも活動のたびに経過が異なることがあります。

まとめ:噴火は「上昇するマグマ」と「膨張するガス」が中心

火山の噴火は、地下で生まれたマグマが上昇し、圧力低下によってマグマ中のガスが気泡になって膨張し、その力がマグマや岩石を地表へ噴き出させることで成り立ちます。

ただし、噴火の様式はマグマの粘り気やガスの抜けやすさ、水との接触などによって大きく変わります。さらに、水蒸気噴火のように新しいマグマが地表へ出なくても噴火が起こる場合があります。

「マグマが上がる→圧力が下がる→ガスが泡になる→泡が膨張する→地表へ噴き出す」という流れを基本にすると、火山噴火の仕組みを理解しやすくなります。

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参考資料

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