なぜ火山とそれ以外の山では地質が違うのか?

結論からいうと、火山の山とそうでない山で地質が違うのは、山をつくった過程が違うからです。 火山の山では、地下から上がってきたマグマが噴火し、溶岩や火山灰、軽石などが積み重なって山体をつくります。一方、火山ではない山は、海底にたまった堆積物が持ち上げられたもの、地下深くでできた変成岩や深成岩が隆起して露出したものなど、別の成り立ちを持つことがあります。

ただし、「火山の山には火山岩しかなく、火山でない山には火山岩がない」という意味ではありません。古い火山活動でできた火山岩が、現在は火山として活動していない山に残ることもあります。反対に、長く侵食された火山では、もともと地下にあった貫入岩や深成岩が地表に現れることもあります。地質は、現在の山の見た目だけでなく、その土地がたどってきた長い地質史を反映しています。

目次

そもそも「地質が違う」とはどういうことか

地質とは、地面や山を構成する岩石・地層の種類、年代、重なり方、断層や褶曲などの構造をまとめたものです。

山を遠くから見ると、どれも「岩でできた高い土地」に見えます。しかし、実際に岩石を調べると、でき方によって大きく異なります。

  • マグマや溶岩が冷えて固まった火成岩
  • 砂、泥、生物の殻などが堆積して固まった堆積岩
  • 既存の岩石が地下の高温・高圧によって変化した変成岩

火成岩も、地表や地表近くで急速に冷えた火山岩と、地下深くでゆっくり冷えた深成岩に分けられます。USGSは、火成岩を、地下でゆっくり冷える「貫入岩・深成岩」と、地表付近で急速に冷える「火山岩」に大別しています。

火山の山は、なぜ火山岩や火山灰の地層が多いのか

火山では、地下のマグマが地表近くまで上昇し、噴火によって外へ出ます。地表へ流れ出したマグマは「溶岩」と呼ばれ、冷えて固まると玄武岩、安山岩、流紋岩などの火山岩になります。

産総研・地質調査総合センターは、火山に見られる代表的な地質として溶岩、火山弾などを紹介しています。爆発的な噴火では、マグマや既存の岩石が細かく砕かれ、火山灰、軽石、火山礫などとして放出されます。

これらが火口周辺に繰り返し積もることで、火山の山体は成長します。国土地理院も、火山活動による地形として成層火山、溶岩円頂丘、火砕丘、溶岩流、溶岩台地、火砕流台地などを整理しています。

つまり火山の山では、「地下から新しい物質が地表へ供給され、積み重なる」という過程が地質を特徴づけています。

火山の山では地層が複雑に重なることがある

火山は一度だけ噴火して完成するとは限りません。何度も噴火を繰り返すと、溶岩流の層、火山灰の層、軽石の層、火砕流堆積物などが重なります。

産総研・地質調査総合センターによると、火山灰や軽石は噴火によって堆積し、離れた地域でも同じ噴火に由来する地層として追跡できることがあります。大規模噴火の火山灰は、火山から遠く離れた地域まで広がることもあります。

そのため火山地域の地層を調べると、「どの時期にどのような噴火が起きたか」を読み取れる場合があります。火山の地質は、過去の噴火履歴を記録したものでもあるのです。

火山でない山は何でできているのか

火山活動によって直接つくられていない山では、さまざまな岩石が山体を構成します。

日本では、海洋プレートの沈み込みによって海底の堆積物が大陸側へ押し付けられてできた「付加体」が広く分布しています。また、地下深くで高い圧力や温度を受けてできた変成岩、地下でマグマがゆっくり冷えてできた花こう岩などの深成岩も、多くの山地で見られます。

産総研・地質調査総合センターは、日本列島が長期にわたる海洋プレートの沈み込みによって成長し、複数時代の付加体、堆積岩、変成岩、さまざまな時代の火成岩が分布していると説明しています。

つまり非火山性の山は、一種類の岩石でできているのではありません。地域ごとの地質史によって、砂岩、泥岩、石灰岩、チャート、変成岩、花こう岩など、構成する岩石は大きく変わります。

堆積岩の山はどうやってできるのか

堆積岩のもとになる砂や泥は、もともと川、海、湖などにたまったものです。長い時間をかけて圧縮され、固まると地層になります。

その後、プレート運動や断層運動によって地層が押し曲げられたり持ち上げられたりすると、かつて海底だった地層が山地の中に現れることがあります。

日本の山で海の生物の化石や石灰岩が見つかることがあるのは、現在の標高だけを見れば不思議に思えますが、地質時代には海底だった場所が地殻変動によって隆起したためです。

変成岩の山はどうやってできるのか

変成岩は、もともとあった岩石が地下深くで高温や高圧を受け、鉱物の組み合わせや組織が変わってできた岩石です。

プレートが沈み込む場所や大陸同士が衝突する場所では、岩石が地下深くへ運ばれ、強い圧力を受けます。その後、長期的な隆起と侵食によって、深い場所でできた変成岩が地表へ現れることがあります。

産総研・地質調査総合センターは、日本のような変動帯では地下深くで変成作用が進み、形成された変成岩が長い地殻変動によって地表へ露出すると説明しています。

このため、現在は火山活動がない山でも、地下深部で起きた大規模な地殻変動の記録を岩石から読み取ることができます。

花こう岩の山は火山ではないのに、なぜマグマ由来なのか

花こう岩はマグマからできた火成岩ですが、多くの場合、地表に噴出してできた火山岩ではありません。地下深くにとどまったマグマがゆっくり冷えて固まった深成岩です。

USGSによると、地下でゆっくり冷えたマグマは、結晶が成長する時間が長いため、花こう岩のような粗い結晶を持つ岩石になります。

その後、上にあった地層や岩石が侵食され、地殻が隆起すると、もともとは地下深くにあった花こう岩が山の表面に露出します。

産総研・地質調査総合センターも、福岡周辺の花こう岩・花こう閃緑岩について、地下深部で固まったマグマが、その後の地殻変動と侵食によって地表へ露出したものだと説明しています。

このため、「マグマ由来の岩石がある=その山が火山」ではありません。 火山岩と深成岩はどちらもマグマ起源ですが、固まった場所と冷え方が違います。

火山岩と深成岩は何が違うのか

両者の大きな違いは、マグマがどこで冷えたかです。

  • 火山岩:地表または地表近くで急速に冷えた
  • 深成岩:地下深くで長い時間をかけて冷えた

急速に冷える火山岩では、結晶が大きく成長する時間が短いため、細かな結晶やガラス質の組織になることがあります。ゆっくり冷える深成岩では、肉眼でもわかるほど大きな鉱物結晶が発達することがあります。

この違いを調べることで、岩石が「地表の噴火でできたのか」「地下深くで固まったのか」を推定できます。

火山でない山にも古い火山岩があることはある

あります。ここが重要なポイントです。

現在、噴火する火山として扱われていない山でも、数百万年、数千万年前には火山活動があった地域があります。その後、火山活動が終わり、侵食で元の火山地形が失われても、溶岩や火砕岩などの火山岩が地質として残ることがあります。

国土地理院の「地質を反映した地形」でも、現在の山地や丘陵の中に玄武岩、安山岩、凝灰岩などからなる地形が多数示されています。

つまり「現在は火山ではない」という分類と、「火山岩を含む」という地質学的事実は両立します。現在の活動状態と、数百万年以上にわたる岩石の形成史は別々に考える必要があります。

反対に、古い火山では深成岩が見えることもある

火山体が長い時間をかけて侵食されると、もともと地下に隠れていた部分が地表に現れます。

産総研・地質調査総合センターは、火山の侵食が進むと、地表に達しなかったマグマが固まった貫入岩が露出し、さらに侵食されると、火山体の深部にあったマグマだまりに由来する深成岩まで地表に現れると説明しています。

これは、火山と非火山性山地の地質を単純に二分できない理由の一つです。現在見えている岩石は、その山の「現在の表面」であって、過去にはもっと深い地下だった可能性があります。

なぜ火山の山は地域によって岩石の種類が違うのか

火山の山同士でも、地質は同じではありません。マグマの化学組成、温度、粘り気、含まれるガス、噴火様式が違うためです。

一般的な火山岩には、玄武岩、安山岩、流紋岩などがあります。USGSは、地表で固まる代表的な火成岩として玄武岩、安山岩、流紋岩などを挙げています。

玄武岩質の溶岩が多い火山と、安山岩質・流紋岩質の噴出物が多い火山では、岩石の鉱物組成や色、粘り気、噴火様式が異なることがあります。

したがって「火山の山」という一つのグループの中にも、大きな地質の多様性があります。

岩石の違いは山の形にも影響する

岩石の種類が違うと、風化や侵食のされやすさも変わります。そのため地質の違いは、長期的には山の形の違いにもつながります。

硬く侵食されにくい岩石がある場所は、周囲より高く残って峰や崖になることがあります。反対に、風化しやすい火砕岩や泥岩などが広がる場所では、侵食が進みやすい場合があります。

国土地理院は、石灰岩のカルスト地形、花こう岩ドーム、硬い岩石が残る残丘、柱状節理など、地質の違いが地形に現れる多くの例を整理しています。

つまり火山かどうかという「成り立ち」の違いは、岩石の種類を変え、その後の侵食を通じて山容にも影響するのです。

日本の山地の地質が特に複雑なのはなぜか

日本列島はプレート境界に位置し、長い地質時代を通じて沈み込み、付加、変成作用、マグマ活動、断層運動、隆起、侵食が繰り返されてきました。

産総研・地質調査総合センターによると、日本列島には複数の時代の付加体が集積し、堆積岩や変成岩が帯状に分布し、さらにさまざまな時代の火成岩が残っています。

そのため、一つの山地の中でも岩石の種類が切り替わったり、古い堆積岩へ花こう岩が貫入したり、その上に新しい火山噴出物が重なったりすることがあります。

「この山は火山だから一種類の火山岩だけ」「この山は火山でないから堆積岩だけ」という単純な構造ではない場合が多いのです。

火山の山とそうでない山の違いを整理すると

  • 火山の山:噴火で供給された溶岩、火山灰、軽石、火砕流堆積物などが山体をつくりやすい
  • 非火山性の山:堆積岩、変成岩、深成岩、付加体など、過去の地殻変動で持ち上げられた多様な岩石からできることが多い
  • 共通点:どちらも長い侵食や隆起によって内部の岩石が露出し、地質が複雑になることがある

特に注意したいのは、火成岩と火山を同じ意味にしないことです。花こう岩のような深成岩も火成岩ですが、地下で固まったものであり、その山が現在の火山であることを意味しません。

まとめ

火山の山とそうでない山で地質が違う最大の理由は、山をつくった材料と形成過程が違うからです。

  • 火山ではマグマが地表へ出て、溶岩や火山灰などを積み重ねる
  • 非火山性の山では、堆積岩・変成岩・深成岩などが地殻変動で隆起して山体をつくることがある
  • 花こう岩はマグマ由来だが、地下深くで固まった深成岩なので「花こう岩の山=火山」ではない
  • 現在は火山でない山にも、過去の火山活動でできた火山岩が残ることがある
  • 古い火山が侵食されると、地下の貫入岩や深成岩が地表へ現れることがある
  • 岩石の違いは風化・侵食のされ方を変え、山の形にも影響する

つまり山の地質は、「今その山が火山かどうか」だけで決まるものではありません。噴火、海底での堆積、プレートの沈み込み、地下での変成・冷却、隆起、侵食といった長い地質史が重なった結果として、地域ごとに異なる岩石と地層が見られるのです。

関連する「なぜ?」

参考資料

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次