なぜ地震はプレートの動きと関係しているのか?

地震とプレートが関係しているのは、地球表面を覆うプレートが少しずつ動くことで岩盤に力が加わり、たまったひずみが限界を超えたときに断層が急にずれて地震が起こるからです。

世界の地震はランダムに起きているわけではなく、多くがプレートとプレートの境界付近に集中しています。ただし、すべての地震が境界で起きるわけではありません。プレートの内部でも、プレート運動による力が岩盤に伝わり、断層が動いて地震が起こります。

目次

プレートとは地球表面を覆う硬い岩盤の板

地球の表面には、地殻と上部マントルの最上部からなる硬い岩盤の層があります。この硬い層は一枚ではなく、いくつもの大きな板状の部分に分かれており、それぞれをプレートと呼びます。

気象庁によると、地球表面は大小十数枚のプレートに覆われ、それぞれが年間数cm程度の速さで少しずつ動いています。人間の感覚では非常に遅い動きですが、何十年、何百年、何万年という時間では大きな変位になります。

このプレート同士の相対運動が、地震を起こす力の大きな源です。

地震は地下の岩盤が急にずれる現象

地震そのものは、「プレートがぶつかる音」ではありません。

地下の岩盤にはプレート運動によって圧縮、引っ張り、横ずれなどの力が加わります。岩盤は少しずつ変形してひずみをためますが、摩擦や岩盤の強度によってすぐには動きません。

やがて、たまった力が断層面の摩擦や岩盤の強度を上回ると、断層が急にずれます。そのときに放出されたエネルギーが地震波となって周囲へ伝わり、地面を揺らします。

つまり、プレート運動は地震を起こす「力をためる原因」であり、実際の地震は断層の急なすべりとして起こります。

プレート境界に地震が多いのは力が集中するから

プレートは互いに同じ方向、同じ速さで動いているわけではありません。

境界では、プレート同士が近づいたり、離れたり、横にすれ違ったりします。そのため周辺の岩盤には大きな力が加わりやすく、断層運動も起こりやすくなります。

米国地質調査所(USGS)も、世界の地震は狭い帯状の地域に集中し、その多くがプレート境界と対応していると説明しています。

世界の地震分布とプレート境界の地図を重ねると、環太平洋地域などで両者がよく一致するのはこのためです。

プレートが近づく境界では大地震が起こることがある

日本周辺で特に重要なのが、一方のプレートがもう一方の下へ沈み込む「収束境界」です。

海洋プレートが陸側のプレートの下へ沈み込むとき、境界が強く固着している部分では、陸側のプレートも一緒に引きずり込まれます。しかし永久に引きずられ続けるわけではなく、ひずみが限界に達すると境界が急にすべります。

気象庁は、南海トラフ地震について、海側のフィリピン海プレートの沈み込みによって陸側プレートが引きずり込まれ、ひずみが蓄積し、それが限界に達して跳ね上がることで大地震が起こると説明しています。

このような地震をプレート境界地震、またはプレート間地震と呼びます。断層が非常に広い範囲でずれると、巨大地震になることがあります。

プレートが離れる境界でも地震は起こる

プレート同士が離れていく境界でも地震は発生します。

海底の中央海嶺などでは、プレートが左右へ引っ張られ、新しい海洋地殻がつくられています。岩盤には引っ張る力がかかるため、正断層型の地震が起こります。

沈み込み帯ほど巨大地震が多いわけではありませんが、「プレートがぶつかる場所だけで地震が起こる」というわけではありません。

重要なのは、プレート同士の相対運動によって岩盤へ力が加わることです。

横にすれ違う境界でも地震が起こる

二つのプレートが横方向にすれ違う境界では、横ずれ断層型の地震が起こります。

代表例として知られるのが、北アメリカのサンアンドレアス断層です。境界の両側が逆方向へ動こうとしても、断層面の摩擦によって一時的に固着します。

その間にひずみがたまり、限界に達すると断層が急に横へずれて地震になります。

このように、収束・発散・横ずれという境界の違いによって、岩盤にかかる力や地震の断層運動の型も変わります。

日本で地震が多いのは複数のプレートが接しているから

日本周辺では、太平洋プレートやフィリピン海プレートなど複数のプレートが接し、海洋プレートが陸側の下へ沈み込んでいます。

気象庁によると、日本周辺では海のプレートが年数cmほどの速さで動き、複数のプレートによって複雑な力がかかっています。このため、日本列島周辺ではプレート境界地震、沈み込むプレート内部の地震、陸域の浅い地震など、さまざまなタイプの地震が起こります。

日本が世界でも地震の多い地域なのは、プレート境界が集中する場所に位置していることが大きな理由です。

プレートの内部でも地震は起こる

地震がプレートと関係するからといって、すべての地震がプレート境界で起こるわけではありません。

沈み込んだ海洋プレートの内部で岩盤が破壊される「スラブ内地震」もあります。また、陸側のプレート内部でも、周囲のプレート運動によって圧縮や引っ張りの力が加わり、既存の断層が動いて地震になることがあります。

地震調査研究推進本部は、日本の内陸地震について、海洋プレートの沈み込みなどに伴う力によって日本列島にひずみが生じ、そのひずみを解消するように断層が動いて地震が起こると説明しています。

つまりプレート境界から離れた内陸地震も、より大きなスケールではプレート運動と関係しています。

活断層もプレート運動と無関係ではない

陸地の浅い場所で起こる大地震の多くは、活断層の活動によるものです。

活断層は、最近の地質時代に繰り返し活動し、今後も動く可能性がある断層です。これらの断層は、広域的なプレート運動によって地殻へ加わる力を受けています。

たとえば日本列島では、プレートの沈み込みによって東西方向の圧縮力が働く地域があります。産業技術総合研究所の研究でも、東北日本の内陸地震と地殻の短縮変形が、周辺のプレート運動と深く関係していることが論じられています。

そのため「プレート境界地震」と「活断層地震」は発生場所や断層の種類は異なっても、どちらもプレート運動がつくる力の場の中で起こっています。

プレート運動は一定でも地震は毎年同じようには起こらない

プレートは長期的には数cm程度の速度で動いていますが、地震は一定間隔で機械的に起こるわけではありません。

断層ごとに固着の強さ、岩石の性質、地下の水、周囲の応力状態などが異なるため、どれだけひずみをためてから動くかも違います。

プレート運動は継続的でも、断層は長期間ほとんど動かず、地震の瞬間に急にずれることがあります。この「ゆっくりした蓄積」と「急激な解放」の差が、地震が突然起こる理由の一つです。

地震の分布からプレート境界が分かることもある

プレートテクトニクスが確立するうえでは、世界の地震分布も重要な証拠になりました。

地震の震源を地図上に並べると、海溝、中央海嶺、横ずれ境界などに沿って帯状に集中します。さらに沈み込み帯では、震源が海溝付近から大陸側の深部へ向かって傾いて分布します。

これは、海洋プレートが地球内部へ沈み込んでいる位置と深さを反映しています。

地震はプレート運動によって起こるだけでなく、逆に地震の分布を調べることで地下のプレートの形や境界を推定できるのです。

地震とプレートの関係を整理すると

  • プレートは少しずつ動いている:年間数cm程度の相対運動が続く
  • 岩盤に力が加わる:圧縮、引っ張り、横ずれなどの応力が生じる
  • 断層が固着してひずみがたまる:すぐには動かず、岩盤が変形する
  • 限界を超えると断層が急にずれる:そのエネルギーが地震波として広がる
  • プレート境界に地震が集中する:相対運動による力が大きくなりやすい
  • プレート内部でも地震は起こる:境界の力が広い範囲へ伝わるため

まとめ

地震とプレートが関係しているのは、プレート運動によって地下の岩盤へ力が加わり、その力で蓄積したひずみが断層の急なすべりによって解放されるからです。

世界の多くの地震は、プレート同士が近づく、離れる、すれ違う境界付近で起こります。日本周辺では複数のプレートが接し、海洋プレートの沈み込みも起きているため、特に地震が多くなっています。

一方、内陸の活断層地震や沈み込んだプレート内部の地震もあり、地震は境界だけの現象ではありません。それでも、その背景にある大きな力の源をたどると、多くの場合はプレート運動へ行き着きます。

つまり、プレートは地震そのものではなく、地震を起こすための力を地球の岩盤へ与え続ける存在なのです。

参考資料

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