なぜ山地は隆起と侵食の両方で形づくられるのか?

地形と山地が関係しているのは、山地そのものが地形の一種であり、地殻の隆起・断層運動・火山活動などで生まれた高まりが、川や雨、雪・氷、風化などによって削られて、尾根・谷・斜面という山地特有の形になるからです。つまり山地は、地下から地面を持ち上げる力と、地表を削る力が長い時間をかけて組み合わさってできた地形だと考えられます。

さらに、山地で削られた土砂は川で下流へ運ばれ、山麓の扇状地や盆地、平野など別の地形をつくります。そのため山地は単独で存在するのではなく、周囲の谷・盆地・扇状地・平野ともつながった地形システムの一部です。

目次

まず「地形」と「山地」はどういう関係なのか

地形とは、地表に見られる高低や傾斜、凹凸の形をまとめた言葉です。国土地理院は、土地を山地・丘陵、台地・段丘、低地、火山地形などに分類しています。

この分類の中で、山地・丘陵は尾根と谷からなる傾斜の大きい地形として整理されています。

したがって、山地は「地形とは別のもの」ではなく、数ある地形の一つです。山地の中にも、急な尾根、V字谷、断層崖、火山地形など、さらに細かな地形が含まれます。

山地のもとになる「高まり」はどうやってできるのか

山地ができるには、まず周囲より高い場所が生まれる必要があります。その代表的な原因が地殻変動です。

プレート運動によって地殻が押されると、地層が曲がったり、断層に沿って地盤が持ち上がったりします。産業技術総合研究所・地質調査総合センターは、日本列島の広い範囲で東西方向の圧縮が働き、断層運動に伴って山地が隆起し、内陸盆地が沈降していることを説明しています。

地面がゆっくり持ち上がれば、その場所は周囲より高くなります。こうした隆起が長期間続くことで、大きな山地の骨格がつくられます。

火山活動でも山地はつくられる

山地のすべてが断層や褶曲でできるわけではありません。火山活動によって溶岩や火山灰などが繰り返し積み重なると、火山体そのものが大きな高まりになります。

富士山のような成層火山では、溶岩や火山砕屑物が長い時間をかけて積み重なり、円錐形に近い山体が形成されます。

つまり、山地をつくる「高まり」には、地殻が持ち上がるタイプと、火山噴出物が積み重なるタイプなどがあります。

山地は持ち上がるだけでは現在の形にならない

地面が隆起しただけでは、現在見られる複雑な山地地形は完成しません。

高くなった土地には雨が降り、川が流れます。川は岩石や土砂を削りながら低い方へ流れ、長い時間をかけて地面を深く刻みます。その結果、川と川の間に尾根が残り、川沿いには谷ができます。

米国地質調査所(USGS)は、現在の地形が隆起などの地質作用と、河川・雨・氷などによる侵食作用の長期的な組み合わせで形成されることを説明しています。

山地は「持ち上げられてできる」と同時に、「削られて形づくられる」地形なのです。

山地に谷が多いのはなぜか

高い場所では、水は重力によって低い方へ流れます。最初は小さな水の流れでも、少しずつ地面を削ることで溝が深くなり、やがて谷になります。

傾斜が急な山地では川の流れも速くなりやすいため、下向きに地面を削る力が強くなります。そのため山地には深い谷が発達しやすくなります。

国土地理院は、大起伏山地の典型例として、急な谷壁をもつV字谷に刻まれた山地を挙げています。

つまり、山地の「険しさ」は高くなったことだけでなく、川による侵食がどれだけ深く進んだかにも左右されます。

尾根はどうして残るのか

川は低い場所へ集まりやすいため、侵食は谷沿いで強く進みます。一方、谷と谷の間の高い部分は相対的に削られにくく残ります。

この残った高まりが尾根です。

山地を上空から見ると、谷が枝分かれするように広がり、その間を尾根が走っています。つまり、尾根と谷は別々にできるのではなく、同じ侵食過程の中で同時に形づくられます。

岩石の硬さでも山地の形は変わる

同じように隆起し、同じ量の雨が降っていても、山の形が同じになるとは限りません。

岩石には、侵食されやすいものと比較的侵食されにくいものがあります。硬い岩石が分布する場所は周囲より削られにくく、高まりや急な岩峰として残ることがあります。

国土地理院は、地質を反映した地形の例として、侵食に強い岩石が周囲より高く残った「残丘」などを示しています。

そのため山地の形は、地殻変動だけでなく、どのような岩石でできているかにも左右されます。

断層は山地の位置や形にも関係する

断層に沿って一方の地盤が持ち上がり、反対側が相対的に低くなると、その境界に急な斜面ができます。

このような地形が長く残れば、断層に沿った山地や盆地の境界になります。

地質調査総合センターは、東北日本などで、かつて形成された断層が現在は逆断層として再活動し、地盤を隆起させている例を説明しています。もともと盆地だった場所が後に隆起して山地になる「盆地反転」という現象もあります。

つまり、山地の位置は偶然に決まるのではなく、地下の地質構造と深く関係しています。

山地はずっと高くなり続けるのか

山地では、地面を高くする隆起と、地面を低くする侵食が同時に進んでいます。

隆起が侵食より速ければ、山地全体の高度や起伏が増える方向へ進みます。反対に隆起が弱まり、侵食が長期間続けば、山は徐々に低くなります。

USGSは、山地の隆起が終わった後も斜面や河川の侵食は長期間続き、地形が変化し続けることを示しています。

現在見えている山地は、「完成した形」ではなく、隆起と侵食の途中にある地形なのです。

山地で削られた土砂はどこへ行くのか

山地から削り取られた岩石や土砂は、川によって下流へ運ばれます。

川が急な山地から平らな場所へ出ると流れが弱くなり、運んできた砂や礫を堆積させます。その結果、山麓には扇状地ができることがあります。

さらに細かな土砂は盆地や平野、海まで運ばれ、低地の形成に関わります。

つまり、山地が侵食されることは、山地そのものを変えるだけでなく、下流側に新しい地形をつくることにもつながります。

山地と盆地はなぜ隣り合うことがあるのか

地殻変動では、ある場所が隆起する一方、その隣が沈降することがあります。

その結果、高くなった場所が山地、低くなった場所が盆地になることがあります。断層を境に山地と盆地が接している地域もあります。

さらに、山地から運ばれた土砂が盆地へたまることで、盆地底が平らになっていきます。

このため、山地と盆地は別々の地形に見えても、同じ地殻変動と侵食・堆積の流れの中で関係している場合があります。

山地は扇状地ともつながっている

山地の谷から流れ出た川が、平地へ出たところで砂礫を広げると、扇を開いたような扇状地ができます。

扇状地の材料は、その上流の山地から削られた岩石です。

つまり、扇状地を見ると、その場所だけでなく、上流にある山地でどのような侵食が起き、どのような土砂が運ばれてきたかまで考えることができます。

山地と扇状地は、侵食と運搬・堆積で直接つながっているのです。

山地の地形は自然災害とも関係する

山地では斜面が急なため、大雨や地震の際に崩壊や地すべりが起こりやすい場所があります。

国土地理院の地形分類でも、山地・丘陵では土砂災害への注意が示されています。

また、山地の谷では水と土砂が集中するため、豪雨時に土石流が起こることがあります。

そのため、地形を知ることは、山の成り立ちを理解するだけでなく、どのような自然災害が起こりやすい土地かを考える手がかりにもなります。

地形と山地の関係を整理すると

  • 山地は地形の一種:尾根と谷からなる高低差の大きい地形です。
  • 隆起・断層運動:地殻を持ち上げ、山地の大きな骨格をつくります。
  • 火山活動:溶岩や火山灰を積み重ね、火山性の山地をつくります。
  • 河川・雨・雪・氷:高くなった土地を侵食し、谷と尾根をつくります。
  • 岩石の性質:削られやすさの違いによって峰や斜面の形が変わります。
  • 断層・地質構造:山地の位置や方向、盆地との境界に影響します。
  • 土砂の運搬:山地から削られた物質が扇状地・盆地・平野をつくります。
  • 自然災害:急斜面や谷が、崩壊・地すべり・土石流の起こりやすさに関係します。

まとめ:山地は「地殻がつくる高まり」と「侵食がつくる形」の組み合わせ

地形と山地が関係しているのは、山地そのものが地形の一種だからです。

まず、プレート運動に伴う隆起・断層運動や火山活動によって、地表に高まりができます。その高まりを川・雨・雪・氷などが長い時間をかけて削り、尾根・谷・斜面をつくります。岩石の硬さや断層の位置も、山地の形を左右します。

さらに、山地から削られた土砂は下流へ運ばれ、扇状地、盆地、平野など別の地形を形成します。

「地殻変動や火山活動で土地が高くなる→川や雨が高地を削る→尾根と谷からなる山地になる→削られた土砂が下流へ運ばれる→扇状地や盆地・平野へつながる」と考えると、地形と山地の関係を理解しやすくなります。

関連する「なぜ?」

参考資料

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次