なぜ火成岩は岩石の一種なのか?

結論から言うと、岩石と火成岩が関係しているのは、火成岩が「岩石」という大きなグループの一つだからです。地質学では、岩石はでき方によって大きく火成岩・堆積岩・変成岩に分けられます。そのうち火成岩は、地下のマグマや地表へ出た溶岩が冷えて固まることでできた岩石です。

つまり「岩石」と「火成岩」は別々のものではなく、岩石という上位概念の中に火成岩が含まれるという関係です。花こう岩、玄武岩、安山岩などはすべて火成岩であり、同時に岩石でもあります。

目次

まず「岩石」と「火成岩」の関係を整理しよう

「岩石」は、地球をつくる固体の物質のうち、複数または一種類の鉱物や火山ガラスなどが集まってできたものを指します。

一方、「火成岩」は岩石の中でも、高温で溶けた物質であるマグマが冷えて固まってできたものを指します。

USGSは、岩石を主な成因によって火成岩・堆積岩・変成岩の3グループに分類しています。産総研地質調査総合センターも、火成岩、堆積岩、変成岩それぞれのでき方を地質学の基本として整理しています。

したがって、両者の関係は「果物とリンゴ」のようなものです。リンゴが果物の一種であるのと同じように、火成岩は岩石の一種です。

なぜ火成岩という名前なのか

火成岩という名前は、高温で溶けたマグマから生まれることに由来します。

地下では、岩石の一部が高温などの条件によって溶け、マグマができます。気象庁はマグマを「岩石が高温により溶けているもの」と説明しています。

マグマが地表へ噴出すると、一般に溶岩と呼ばれます。そのマグマや溶岩が温度を失って冷却・固結すると、新しい固体の岩石ができます。それが火成岩です。

つまり火成岩は、「火のように熱い溶融物が冷えて生まれた岩石」という成り立ちを持っています。

火成岩はどこで固まるかによって大きく分かれる

火成岩は、マグマがどこで冷え固まるかによって、大きく深成岩と火山岩に分けられます。

地下深くでゆっくり冷えると深成岩になる

地下深くにあるマグマは、周囲の岩石に熱を囲まれているため、ゆっくり冷えます。

冷却に時間がかかると、マグマの中で鉱物の結晶が成長する時間も長くなります。そのため、深成岩では肉眼で見えるほど比較的大きな結晶が組み合わさった組織ができやすくなります。

代表的な深成岩には、花こう岩、閃緑岩、はんれい岩などがあります。

USGSも、地下でゆっくり冷えたマグマは粗い結晶を持つ深成岩になりやすいと説明しています。

地表付近で急に冷えると火山岩になる

マグマが火山から地表へ出ると、周囲の空気や水に触れて急速に冷えます。

冷却が速いと、鉱物の結晶が大きく成長する時間がありません。そのため、火山岩は細かな結晶からできていたり、場合によってはガラス質になったりします。

代表的な火山岩には、玄武岩、安山岩、流紋岩などがあります。

産総研地質調査総合センターも、マグマの冷え方が火成岩の組織に反映されると説明しています。

同じマグマでも冷え方で見た目が変わる

火成岩を理解するときに重要なのは、マグマの種類だけでなく冷え方も岩石の見た目を左右することです。

たとえば、似た化学組成を持つマグマでも、地下でゆっくり冷えれば大きな結晶が育ち、地表で急冷すれば細かな結晶やガラス質の部分が多くなります。

そのため地質学者は、岩石に含まれる鉱物だけでなく、結晶の大きさや並び方などの組織も観察して、岩石のでき方を推定します。

産総研地質調査総合センターは、火成岩の多様性が主に「マグマの組成の違い」と「冷え方の違い」から生まれると整理しています。

マグマの成分が違うと火成岩の種類も変わる

すべてのマグマが同じ成分を持っているわけではありません。

マグマに含まれるシリカ、鉄、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどの割合によって、できる鉱物の種類と量が変わります。

たとえば、シリカに比較的富むマグマからは流紋岩や花こう岩などができやすく、鉄やマグネシウムに比較的富むマグマからは玄武岩やはんれい岩などができます。

つまり「火成岩」という一つの分類の中にも多くの種類があるのは、マグマの成分と冷却条件が多様だからです。

火成岩は地球内部の活動と岩石をつなぐ

火成岩は、地球内部の高温の物質が冷えて固体の岩石になる過程を記録しています。

マグマは、地球内部の岩石が部分的に溶けることで生じます。発生したマグマは地下にとどまることもあれば、割れ目を通って上昇し、火山から噴出することもあります。

そのため火成岩を調べると、その地域でどのようなマグマが生まれ、どこで冷え、どのような火山活動や地下活動があったのかを推定できます。

火成岩は単なる石の種類ではなく、地球内部の活動を地表に残す記録でもあります。

火山と火成岩は同じものではない

火成岩という言葉から火山だけを想像することがありますが、火成岩のすべてが火山の地表噴火でできるわけではありません。

地下で固まったマグマからできる深成岩も火成岩です。

たとえば花こう岩は、マグマが地下深くでゆっくり冷えてできる代表的な深成岩です。現在地表で花こう岩が見えている場所では、かつて地下でできた岩体が、長い時間をかけた隆起や侵食によって地表へ現れた可能性があります。

一方、玄武岩や安山岩などの火山岩は、地表付近で急速に冷えたマグマや溶岩からできます。

したがって、火山岩は火成岩の一部ですが、火成岩すべてが火山岩というわけではありません。

火成岩と堆積岩・変成岩はどう違うのか

岩石の3つの大きな分類は、主に「でき方」で区別されます。

  • 火成岩:マグマや溶岩が冷えて固まってできる
  • 堆積岩:砂や泥、生物遺骸などが堆積し、圧密・固結してできる
  • 変成岩:既存の岩石が高温・高圧などを受け、溶け切らずに鉱物や組織が変化してできる

この違いを知ると、「岩石」という言葉が非常に広い概念で、その中の一つが火成岩であることが理解しやすくなります。

火成岩も別の岩石へ変わることがある

いったん火成岩になった岩石も、ずっと火成岩のまま同じ場所にあるとは限りません。

地表に現れた火成岩は、風化や侵食で細かく砕かれます。その破片が川や海へ運ばれて堆積し、固まれば堆積岩の材料になります。

また、地下深くへ運ばれて高温・高圧を受けると、変成岩へ変わることがあります。さらに温度が上がって溶ければ、再びマグマになることもあります。

USGSは、このように火成岩・堆積岩・変成岩・マグマの間を物質が長い時間をかけて移り変わる仕組みを岩石循環として説明しています。

つまり火成岩は、岩石の分類の一つであると同時に、地球上で岩石が循環する大きな流れの一段階でもあります。

岩石が溶ければ必ず全部マグマになるのか

地球内部では、岩石全体が一度に完全に溶けるとは限りません。

鉱物ごとに溶けやすさが違うため、岩石の一部だけが溶ける部分溶融が起こることがあります。

そこでできるマグマの組成は、もとの岩石とまったく同じとは限りません。さらに、マグマが冷える途中で特定の鉱物が先に結晶化すると、残ったマグマの組成も変わっていきます。

このような過程が、火成岩に多くの種類が存在する理由の一つです。

身近な岩石にも火成岩は多い

火成岩は特別な場所だけにある岩石ではありません。

花こう岩は建築石材、墓石、石垣などで身近に使われています。玄武岩は道路用の砕石や石材として利用されることがあります。

また、日本には火山が多いため、安山岩や玄武岩、火山灰由来の地質が広い地域で見られます。

身近な石の粒の大きさや色を観察すると、「地下でゆっくり冷えたのか」「地表近くで急に冷えたのか」を考える手がかりになります。

火成岩を見分けるときの基本ポイント

火成岩を観察するときは、次のような点が重要です。

  • 結晶の粒が大きいか小さいか
  • ガラス質の部分があるか
  • どの鉱物が含まれているか
  • 全体の色が明るいか暗いか
  • 気泡の跡があるか
  • 大きな結晶と細かな部分が混在する斑状組織があるか

ただし、見た目だけで正確な岩石名を決めるのが難しい場合もあります。専門的には顕微鏡観察や化学組成の分析も使って分類します。

岩石と火成岩の関係をまとめると

  • 岩石は地球をつくる固体物質の大きな分類である
  • 火成岩は岩石の一種である
  • 火成岩はマグマや溶岩が冷えて固まることでできる
  • 地下深くでゆっくり冷えると深成岩になりやすい
  • 地表付近で急に冷えると火山岩になりやすい
  • 火成岩の種類はマグマの組成と冷却速度によって変わる
  • 火成岩は風化・堆積・変成・溶融を通じて別の岩石へ変化することがある
  • 火成岩は岩石循環の重要な一段階である

つまり、岩石と火成岩が関係しているのは、火成岩が岩石という大きな分類の中に含まれ、マグマの冷却・固結という特定のでき方を持つ岩石だからです。花こう岩や玄武岩のような火成岩を調べると、マグマがどこで生まれ、どのように冷え、地球内部と地表がどのようにつながっているかを知ることができます。火成岩を理解することは、岩石全体の分類だけでなく、地球が長い時間をかけて物質を循環させる仕組みを理解することにもつながります。

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出典・参考資料

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