雪が降っているだけなら、視界が多少悪くなっても周囲がまったく見えなくなるとは限りません。しかし強い風が加わると、空から降る雪だけでなく、地面に積もった雪まで舞い上がり、急に見通しが悪くなることがあります。
結論からいうと、雪の粒は風に運ばれやすく、強い風が吹くと空中を大量に漂って視程を悪化させるうえ、地面の雪も再び巻き上げられて吹きだまりをつくるからです。降雪を伴う場合は吹雪、積もった雪が主に舞い上がる場合は地ふぶきとして現れます。
吹雪は「雪」と「風」が組み合わさった現象
気象庁は「ふぶき」を、やや強い風程度以上の風が雪を伴って吹く状態としています。そこには、実際に雪が降っている場合と、降雪がなくても地面に積もった雪が風で舞い上がる場合の両方が含まれます。
つまり吹雪は、単に雪が強く降ることではありません。雪に風が加わり、雪粒が横方向にも大量に運ばれることで起こる現象です。
降っている雪は風で横向きに運ばれる
風が弱ければ、雪片はおおむね下向きに落ちます。しかし風が強くなると、雪片は横方向へ流されながら落下します。
その結果、目の前を通過する雪粒の数が増え、空中の雪によって遠くの景色が隠されます。NWSもblowing snowを、風によって運ばれた雪が地上付近の視程を悪化させる状態と定義しています。
積もった雪も再び空中へ舞い上がる
吹雪では、空から降る雪だけが問題になるわけではありません。地面に積もった雪が軽く乾いていると、強い風によって表面の雪が持ち上げられ、再び空中へ運ばれます。
気象庁は、このように積もった雪が風で空中へ吹き上げられる現象を「地ふぶき」と呼んでいます。降雪がほとんどなくても、積雪と強風があれば視界が悪化することがあります。
軽い粉雪ほど風で動かされやすい
粉雪は密度が低く、雪粒同士の結びつきが弱いため、地面に積もった後でも風で動かされやすい性質があります。
なぜ寒く乾いたときは軽い粉雪になりやすいのか?では、低温・乾燥条件で粉雪が軽くさらさらした状態になる理由を解説しています。
ただし、吹雪は粉雪だけで起こるわけではありません。雪質、積雪表面の状態、風速、地形などが組み合わさって、雪がどれだけ舞い上がるかが決まります。
吹雪で視界が悪くなるのはなぜか
空中に大量の雪粒が浮かぶと、光が雪粒に散乱され、遠くの物体から届く光がさえぎられます。そのため、道路や建物、地形の輪郭が見えにくくなります。
さらに風が強いと、雪粒が絶えず視界の前を高速で横切るため、距離感や方向感覚もつかみにくくなります。気象庁も吹雪について、視程の障害を伴うと説明しています。
雪が降っていなくても見通しが悪くなることがある
地ふぶきでは、上空から新しい雪が降っていなくても、積雪表面の雪が風で持ち上げられます。そのため、天気だけを見て「今は降っていないから大丈夫」と判断すると危険な場合があります。
NWSもblowing snowには、現在降っている雪だけでなく、すでに積もった雪が強風で巻き上げられる場合が含まれるとしています。
なぜ吹きだまりができるのか
風で運ばれた雪は、どこにでも均等に積もるわけではありません。建物、道路の盛土、防雪柵、樹木、地形の起伏などで風が弱まる場所では、空中を運ばれていた雪が落ちやすくなります。
その結果、一部の場所だけに雪が集まり、吹きだまりができます。逆に、風が強く当たる場所では雪が削られ、積雪が少なくなることもあります。
同じ地域でも積雪深が大きく違うことがある
吹雪や地ふぶきによって雪が移動すると、短い距離でも積雪深に大きな差が生まれます。
なぜ同じ量の雪が降っても積雪の深さは同じにならないのか?で説明しているように、積雪深は降雪量だけでなく、風による再配分、沈み込み、融雪などでも変わります。
湿雪は粉雪より舞い上がりにくい傾向がある
水分を多く含む湿雪は、粉雪より重く、粒同士もまとまりやすいため、一般には風で細かく舞い上がりにくい傾向があります。
なぜ気温が高めの雪は水分を多く含む重い湿雪になりやすいのか?では、湿雪が重く付着しやすい理由を解説しています。
ただし、強い風が吹けば湿った雪でも移動することがあり、実際の吹雪の強さは雪質だけで決まるわけではありません。
吹雪は「降雪量の多さ」と同じではない
雪が非常に多く降っていても、風が弱ければ典型的な吹雪にならないことがあります。一方、降雪が少なくても、積雪があり強い風が吹けば地ふぶきで視界が大きく悪化することがあります。
そのため吹雪の危険性を考えるときは、降雪量だけでなく、風の強さ、積雪表面の雪質、視程の変化を合わせて見る必要があります。
なぜ交通への影響が大きくなるのか
吹雪では、視界が悪くなるだけでなく、吹きだまりによって道路の一部が急に深くなることがあります。そのため、自動車は進路を見失いやすくなり、走行不能になる危険も高まります。
NWSはblowing snowが視程を低下させ、交通を妨げる可能性があるとしています。気象庁も、地ふぶきによる視程障害や吹きだまりによる交通障害のおそれがある場合に風雪注意報や暴風雪警報を発表します。
「吹雪」と「地ふぶき」の違い
吹雪は、風が雪を伴って吹く状態の総称です。その雪には、空から降っている雪と、地面から舞い上がった雪の両方が含まれます。
一方、地ふぶきは、すでに地面に積もった雪が風で空中へ吹き上げられる現象を指します。したがって、地ふぶきは吹雪をつくる一つの仕組みと考えると理解しやすいでしょう。
まとめ
雪が強い風で舞い上がると吹雪や地ふぶきになるのは、雪粒が風に運ばれやすく、空中を大量に漂うことで視程を悪化させるからです。
降雪中の雪だけでなく、地面に積もった雪も再び巻き上げられます。特に軽い粉雪は風で動かされやすく、吹きだまりや大きな積雪差も生みます。
つまり吹雪の本質は、「雪が降ること」だけではなく、「雪が風によって空中や地表付近を移動すること」にあります。

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