なぜ粉雪は低密度で空気を多く含む構造になるのか?

粉雪は、手ですくうと軽く、さらさらしていて、ぎゅっと握っても固まりにくい雪です。見た目には「細かい雪」のように感じますが、粉雪らしさを決めているのは粒の小ささだけではありません。

結論からいうと、粉雪は液体の水をほとんど含まない新しい雪の結晶がゆるく積み重なり、結晶同士の間に多くの空気のすき間が残るため、単位体積あたりの氷の量が少ない低密度の構造になるからです。

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粉雪は「乾いた、ゆるい新雪」

気象庁は、粉雪は寒く乾いたときに降り、軽い雪になると説明しています。米国国立気象局も powder snow を「乾いていて、ゆるく、締まっていない雪」と定義しています。

また、National Snow and Ice Data Center(NSIDC)は、粉雪を「ゆるい新鮮な氷の結晶からできた乾いた新雪」としています。つまり粉雪は、雪とは別の物質ではなく、新雪の中でも特に水分が少なく、結晶同士が密に詰まっていない状態です。

「軽い」の正体は低密度

粉雪が軽いというのは、氷そのものが軽いという意味ではありません。同じ体積の中に含まれる氷の量が少なく、その代わりに空気が多く含まれているという意味です。

NSIDCは雪の密度を、雪の単位体積あたりの質量として定義しています。粉雪では、結晶同士の間に大きな空隙が残るため、同じ体積の湿った雪より質量が小さくなります。

新しい雪の結晶は複雑な形をしている

雪の結晶には枝分かれした樹枝状や板状、柱状など、さまざまな形があります。こうした結晶が地面に落ちた直後は、きれいに隙間なく並ぶわけではありません。

枝や突起をもつ結晶同士がランダムな向きで重なると、その間には多くの空間ができます。そのため、新しい粉雪の層は「氷がぎっしり詰まった塊」ではなく、氷の骨組みの間に大量の空気を含む構造になります。

液体の水が少ないと粒同士が固まりにくい

気温が0℃に近くなると、雪の表面が一部融けて液体の水を含みやすくなります。水分があると、雪粒同士が付着しやすくなり、握ったときにもまとまりやすくなります。

一方、十分に低温で乾いた粉雪では液体の水が少ないため、粒同士を強く結びつける働きが弱くなります。その結果、雪はばらばらに動きやすく、さらさらした感触になります。

粉雪はなぜふわっと厚く積もりやすいのか

低密度の雪は、同じ質量でも体積が大きくなります。つまり同じ量の水分が雪になった場合でも、密度が低いほど積雪の厚さは大きくなりやすくなります。

このため、乾いた軽い新雪では、比較的少ない水分量でも見かけ上は深く積もることがあります。ただし、積雪深は風、沈み込み、融雪などでも変化するため、粉雪だけで決まるわけではありません。

空気を多く含む構造は長く続くとは限らない

粉雪の低密度な構造は、降った直後ほど目立ちます。しかし積雪は時間がたつと、自分の重さや上に積もる雪の重さで圧縮されます。

さらに、雪の結晶は積雪内部で少しずつ形を変え、結晶同士の接触部分が増えていきます。こうした圧密や変態によって空隙が減ると、雪の密度は高くなり、粉雪らしい軽さは失われていきます。

風に吹かれると構造は変わる

粉雪は軽いため風で動かされやすく、雪面から舞い上がったり、別の場所へ運ばれたりします。その過程で結晶が砕かれたり、風によって締め固められたりすると、同じ粉雪でも降った直後とは違う密な層になることがあります。

つまり、粉雪の低密度構造は「降った瞬間に決まって終わり」ではなく、積もった後の風や荷重によっても変化します。

粉雪と湿雪では内部構造が違う

湿雪は、0℃に近い環境などで液体の水を多く含みやすい雪です。水分によって雪粒同士が結びつきやすく、粉雪よりまとまりやすくなります。

一方、粉雪では水分が少なく、氷の結晶がゆるく接触しているため、空隙が多く低密度です。この「液体水の少なさ」と「空隙の多さ」が、軽さやさらさら感の物理的な土台になっています。

「なぜ寒く乾いたときは軽い粉雪になりやすいのか?」との違いは「できやすい条件」ではなく「できた後の構造」

なぜ寒く乾いたときは軽い粉雪になりやすいのか?では、低温・乾燥という気象条件から、なぜ粉雪になりやすいかを中心に扱っています。

この記事では、そこから焦点を変え、できあがった粉雪がなぜ低密度で、空気を多く含み、さらさらした構造になるのかを中心に説明しています。原因条件よりも、粉雪そのものの内部構造が主題です。

粉雪の「ふわふわ」は空気の多さで説明できる

粉雪に触れたときの軽さや柔らかさは、氷の結晶の間に多くの空気が入り込んでいることで説明できます。雪の層全体を見れば、氷より空隙の占める割合が大きいため、見た目の体積のわりに重さが小さくなります。

この性質は、粉雪が踏み固められると急に薄くなることからも分かります。人が踏むことで空気のすき間がつぶれ、同じ雪でも体積が小さくなり密度が上がるためです。

粉雪は雪の「構造状態」の一つ

粉雪は特別な化学物質ではなく、氷の結晶と空気からなる雪が、低密度でゆるく積み重なっている状態です。

そのため、同じ場所の雪でも、降った直後は粉雪だったものが、時間の経過、圧密、風、融解などによって別の雪質へ変わることがあります。粉雪は固定された分類というより、雪がとりうる構造状態の一つと考えると理解しやすくなります。

まとめ

粉雪が低密度で空気を多く含む構造になるのは、乾いた新しい雪の結晶がゆるく積み重なり、結晶同士の間に大きな空隙が残るためです。

液体の水が少ないので粒同士が強くまとまりにくく、空隙が多いため単位体積あたりの氷の量も少なくなります。その結果、粉雪は軽く、さらさらし、ふわっと厚く積もりやすくなります。

つまり、粉雪らしさの中心は「細かな雪」というより、氷の結晶と空気がつくる低密度でゆるい構造にあるのです。

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参考資料

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