なぜ星や星座によって見やすい季節が違うのか?

星や星座によって見やすい季節が違うのは、地球が太陽のまわりを公転することで、夜側が向く宇宙の方向が一年を通して変わるからです。

たとえば北半球では、冬の夜にオリオン座が見やすく、夏の夜にはさそり座やこと座が目立ちます。半年たつと地球は太陽の反対側へ移動するため、同じ時刻に夜空を見たときの向きが大きく変わります。その結果、ある時期には夜側にある星座が、半年後には太陽と同じ方向に近づき、夜には見えにくくなります。

ただし、「冬の星座は冬にしか見えない」という意味ではありません。国立天文台は、多くの星座は太陽に近づく1〜2か月ほどを除けば、観測時刻を選ぶことでかなり長い期間見ることができると説明しています。季節の星座とは、その季節の見やすい時刻に空のよい位置へ来る代表的な星座だと考えると分かりやすいでしょう。

目次

地球が公転すると夜側が向く方向が変わる

地球は約1年かけて太陽のまわりを一周しています。昼側は常に太陽を向き、夜側は太陽と反対方向を向きます。

地球が公転軌道上を移動すると、太陽から見た地球の位置が変わります。そのため、夜側から宇宙を見たときに正面となる方向も少しずつ変わります。

NASA Space Placeも、地球が一年かけて太陽を公転するため、夜空から宇宙を見る方向が変わり、季節によって見える星座が変化すると説明しています。

この公転による視線方向の変化が、「春の星座」「夏の星座」「秋の星座」「冬の星座」という違いを生む基本です。

半年違うと夜空はほぼ反対方向を見る

ある星座が真夜中ごろに見やすい季節から約半年たつと、地球は太陽の反対側付近へ移動します。

すると、その星座の方向は夜側ではなく太陽側に近づきます。太陽の近くに見える星は、昼間の明るい空に隠されるため、地上からはほとんど見えません。

たとえば、ある季節の真夜中に南の空高く見える星座は、半年後には昼の空に近い位置に来ます。星座自体が消えたわけではなく、地球から見た太陽との方向関係が変わったのです。

このため、季節ごとに代表的な星座が入れ替わって見えます。

季節の星座は「その季節しか見えない星座」ではない

「冬の星座」「夏の星座」という言葉は便利ですが、星座がその季節だけ存在するという意味ではありません。

国立天文台暦計算室は、多くの星座は時間を選べば、太陽に近づく1〜2か月を除いてほぼ一年中見ることができるとしています。また、季節の星座を整理するときには、20時ごろに南中する時期などを目安にすることがあります。

たとえば冬の代表であるオリオン座も、冬の夕方から夜に最も見やすいだけで、秋の深夜や春の夕方にも条件によって見ることができます。

したがって「見える季節」とは、実際には「一般的な観察時刻で見やすい季節」と考えるほうが正確です。

観測する時刻が違えば同じ季節でも見える星座は変わる

星空は一晩の中でも東から西へ動いて見えます。これは主に地球の自転による日周運動です。

夕方には東の空に低く見えていた星座が、深夜には南の空高く昇り、明け方には西の空へ移動することがあります。

NASA Goddardも、地球の自転によって星が夜の間に昇り沈み、さらに地球の公転によって一年の中で見える星座の組み合わせが変わると説明しています。

そのため「今の季節に見えない」と思った星座でも、夜遅く起きていれば見える場合があります。季節と時刻はセットで考える必要があります。

同じ時刻なら星空は毎日少しずつ早く進む

同じ時計時刻に星空を見ると、星は前日より少し西へ進んで見えます。これは、地球が自転すると同時に太陽のまわりも公転しているためです。

恒星を基準とした1日は約23時間56分で、太陽を基準にした24時間より約4分短くなります。そのため、同じ星が同じ位置に来る時刻は毎日約4分ずつ早まります。

この小さなずれが約1か月でおよそ2時間、約3か月でおよそ6時間積み重なり、季節ごとの星空の違いとしてはっきり現れます。

ただし、この約4分の仕組みそのものより、この記事では「その結果、どの星座がどの季節・時刻に見やすくなるか」という比較に重点があります。

北極星の近くの星座は季節が変わっても見えやすい

すべての星座が季節ごとに同じように入れ替わるわけではありません。

北半球では、北極星に近い星々は地球の自転によって北極星のまわりを回るように見えます。緯度によっては地平線の下へ沈まず、一晩中、そして一年を通して観察できる星があります。

このような星を「周極星」と呼びます。日本では北斗七星を含むおおぐま座やカシオペヤ座などが北の空の代表的な目印になりますが、星座全体が常に完全に見えるかどうかは観測地点の緯度によって異なります。

国立天文台の季節の星座の解説でも、北極星、北斗七星、カシオペヤ座などは「北」の代表として、春夏秋冬の星座とは別に挙げられています。

緯度が違うと見える星の範囲も変わる

見える星座は季節だけでなく、地球上のどこで観測するかにも左右されます。

北半球の高緯度では北天の星が長時間見えやすくなり、南の空の一部は地平線の下に隠れます。反対に南半球では、南天の星座が見やすく、北極星は見えません。

NASA Space Placeも、地球上の観測地点によって見える星や星座が変わり、北半球と南半球では異なる夜空を見ると説明しています。

つまり、ある星座を「夏の星座」と呼んでも、それは主に特定の半球・緯度帯での見え方を前提にしています。

北半球と南半球では季節と星空の組み合わせも違う

北半球と南半球では季節が逆です。北半球が夏のとき、南半球は冬になります。

一方、地球全体は同じ公転位置にいるため、夜側が宇宙のどの方向を向くかという大きな条件は共通です。しかし、地平線や天頂の向きが緯度によって違うため、実際に見える星座の高さや範囲は変わります。

そのため、北半球で低い南の空に見える星が、南半球では高い位置に見えることがあります。逆に、北極付近の星は南半球では見えません。

「季節」と「見える星座」の関係を考えるときは、公転だけでなく観測者の半球と緯度も確認する必要があります。

星の赤緯によって昇り方・沈み方が違う

星が天球上でどれくらい北側・南側にあるかは「赤緯」という座標で表されます。

北寄りの赤緯を持つ星は、北半球では長い時間地平線上に見えやすく、十分北にある星は周極星になります。逆に南寄りの星は、北半球では地平線近くまでしか昇らないことがあります。

同じ季節に夜側へ向いている星であっても、赤緯が違えば空のどこまで昇るかが違います。そのため「季節的には見えるはずなのに、観測地点では非常に低くて見つけにくい」ということも起こります。

太陽に近い方向にある星は夜には見えない

星が夜に見えるためには、その星が単に地平線より上にあるだけでなく、太陽から十分離れた方向にある必要があります。

太陽とほぼ同じ方向にある星や星座は昼間の空に位置し、太陽光で明るくなった大気に埋もれてしまいます。

地球が公転すると、太陽は星座を背景に少しずつ東へ移動して見えます。そのため、ある星座は一年のうち一定期間だけ太陽に近づき、夜間に見えにくくなります。

国立天文台が「太陽に近づく1〜2か月を除けば、多くの星座は時間を選んで見られる」とするのは、このためです。

夜の長さも「見やすさ」に影響する

同じ星座が夜側にあっても、季節による夜の長さの違いで観察しやすさは変わります。

日本のような北半球中緯度では、冬は夜が長く、夏は夜が短くなります。冬は暗い時間が長いため、夕方から明け方まで広い時間帯の星空を観察できます。

夏は日没が遅く日の出が早いため、同じ時刻帯でも十分暗くなる時間が短くなります。

ただし、季節の星座が変わる主因は夜の長さではなく、地球の公転によって夜側が向く方向が変わることです。夜の長さは、その星座をどれくらい観察しやすいかを調整する条件です。

地形・街明かり・大気でも「見える季節」の印象は変わる

天文学的には地平線より上にある星でも、実際の観察では山や建物に隠れることがあります。

また、地平線近くの星は大気を長く通るため暗く見えやすく、街明かりの影響も受けやすくなります。そのため、ある季節の夕方に理論上は見える星座でも、低すぎて実際には見つけにくい場合があります。

星座が南中して空高く昇る時期は、大気の影響が比較的小さく、地形にも遮られにくいため観察しやすくなります。「季節の星座」はこの意味でも、見やすい時期を示す実用的な呼び方です。

「季節の星座」は観察の目安として便利

星座は一年を通して少しずつ見える時刻が変わるため、毎日厳密に追うと複雑です。

そこで、春の大三角、夏の大三角、秋の四辺形、冬の大三角のように、その季節の夜に見つけやすい星の並びを目印にすると、夜空を把握しやすくなります。

国立天文台も、春にはしし座・おとめ座、夏にはこと座・わし座・はくちょう座、秋にはペガスス座、冬にはオリオン座・ふたご座などを代表例として挙げています。

これらは「その季節にしか存在しない星座」ではなく、「その季節の一般的な観察時間に見つけやすい代表」と理解するのが適切です。

まとめ

星や星座によって見やすい季節が違う最大の理由は、地球が太陽のまわりを公転し、夜側が向く宇宙の方向が一年を通して変わるためです。ある季節に真夜中の空で見える星座は、半年後には太陽側に近づき、夜には見えにくくなります。

しかし、季節の星座はその季節にしか見えないわけではありません。観測時刻を変えれば、多くの星座は太陽に近い時期を除いて長い期間見ることができます。

さらに、北極星周辺の周極星は季節をまたいで見えやすく、観測地点の緯度や南北半球、星の赤緯によっても見える範囲は変わります。夜の長さ、地形、大気、街明かりも実際の見やすさに影響します。

したがって「星の見える季節」は、単純な四季のラベルではありません。地球の公転を基本に、観測時刻、太陽との方向関係、緯度、星の位置を組み合わせて決まるのです。

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