シャンプー、洗剤、ハンドソープ、化粧品などには、本体容器とは別に「詰め替え用」が用意されている製品があります。中身だけを補充し、ポンプやボトルなどの本体容器を繰り返し使う仕組みです。
生活用品で詰め替え製品が使われるのは、まだ使える本体容器を毎回捨てずに済み、容器包装に使う材料や廃棄物を減らしやすくなるからです。ただし、詰め替え用のパウチや内袋も資源を使うため、「ごみがゼロになる」わけではありません。衛生的に詰め替えられるか、容器を安全に再使用できるかも重要です。
本体容器を繰り返し使うことで容器包装を減らせる
シャンプーや洗剤の本体ボトルには、内容物を入れるだけでなく、持ちやすい形、ポンプ、キャップ、表示面などの機能があります。中身を使い切るたびに本体ごと捨てると、その機能を持つ容器も毎回新しく作る必要があります。
経済産業省の3R政策では、家庭用品の容器包装について、プラスチック使用量を減らしたり、繰り返し使える詰め替え製品を増やしたりすることが、ごみの削減につながる取組として紹介されています。
詰め替え製品では、丈夫な本体容器を残し、中身を運ぶために必要な最低限の包装へ置き換えることで、容器全体の材料使用量を抑えやすくなります。
詰め替え用は本体容器より軽く・薄くできる場合が多い
本体容器は、店頭や家庭で自立し、繰り返し操作されても壊れにくい必要があります。一方、詰め替え用の包装は、中身を一度本体へ移すことを前提にできるため、薄いフィルムなどで作れる場合があります。
環境省の「プラスチック・スマート」でも、外容器をそのまま使い、パウチや内容器だけを取り替えることで、プラスチック製品の成形・廃棄量を減らす事例が紹介されています。
包装を軽量化できれば、製造に使う材料だけでなく、輸送時の重量や容積を小さくできる可能性もあります。
詰め替えはリデュースとリユースを組み合わせた考え方
3Rには、発生そのものを減らす「Reduce」、繰り返し使う「Reuse」、資源として再利用する「Recycle」があります。
詰め替え製品では、本体容器を繰り返し使うという意味でリユース的な考え方があり、詰め替え包装を本体容器より小さく・軽くすることでリデュースにもつながります。
一方、使い終わった詰め替えパックをどのように処理するかは、リサイクルの問題です。詰め替えは一つの方法だけで循環を完成させるのではなく、複数の資源循環策の一部として考える必要があります。
詰め替え用のパウチも廃棄物になる
詰め替え製品を使えば、本体ボトルの廃棄回数は減ります。しかし、詰め替えパウチそのものは使用後に不要になります。
環境省の「プラスチック・スマート」では、詰め替えパックには内容物を温度や湿度、紫外線などから守るため、複数の薄いフィルムを組み合わせた構造が使われる場合があり、単一素材の容器よりマテリアルリサイクルが難しい課題があることも紹介されています。
つまり、詰め替えは「包装をなくす」仕組みではなく、「本体容器を毎回作り直すより、少ない材料で補充する」仕組みです。
詰め替え回数が増えるほど本体容器を長く使える
一つの本体容器へ何度も詰め替えれば、その容器を長期間使うことができます。
Ellen MacArthur Foundationが紹介するリフィル事例では、同じ容器へ繰り返し補充することで、使い捨て容器をその都度用意する必要を減らせることが示されています。
ただし、本体容器にも寿命があります。ポンプが壊れた、容器にひびが入った、汚れやにおいが取れないといった場合は、無理に使い続けるのではなく、製品表示やメーカー案内に従って交換することが大切です。
詰め替えでは衛生的な使い方が重要
詰め替えは、本体容器を繰り返し使用するため、容器内部をどのような状態で保つかも重要です。
花王は、シャンプーやコンディショナーの詰め替えについて、容器とポンプ部分をよく洗い、水気を切ってから全量を詰め替え、継ぎ足しをしないよう案内しています。また、同じ商品を詰め替えることも示しています。
ただし、すべての製品で「洗って乾かしてから詰め替える」が同じルールとは限りません。製品によっては洗わずに詰め替えるよう指定されることもあるため、パッケージやメーカーの説明を確認する必要があります。
「継ぎ足し」が適さない製品もある
中身が少し残った容器へ、新しい中身を継ぎ足すと、古い内容物が長期間残ったり、水分や汚れが混ざったりする可能性があります。
メーカーが「使い切ってから詰め替える」「継ぎ足さない」と案内している製品では、その方法に従うことが重要です。
詰め替えは本体容器を繰り返し使える利点がありますが、製品の品質や衛生を保つための使用ルールもセットで考える必要があります。
異なる製品を同じ容器へ入れるのは避ける
見た目が似ていても、シャンプー、ボディソープ、洗剤などは成分や粘度が異なります。別の商品を入れると、ポンプが正しく動かなかったり、残っていた成分と混ざったりすることがあります。
また、元の容器表示と中身が違えば、成分、使用方法、注意事項などの表示と実際の内容物が一致しなくなります。
そのため、詰め替え時はメーカーが指定した本体容器や同じ商品を使うことが基本です。
詰め替えやすさも普及には重要
環境面で利点があっても、詰め替え作業でこぼれやすい、開封しにくい、最後まで中身を出しにくいと、利用者にとって負担になります。
そのためメーカーは、注ぎ口の形、パウチの持ちやすさ、内容物の粘度に合わせて詰め替えやすい容器を工夫しています。花王も、ボトルの大きさや内容物に合わせ、詰め替えやすさを改善してきたと説明しています。
詰め替え製品が継続して使われるには、環境負荷だけでなく、こぼしにくさや作業時間などの使いやすさも重要です。
詰め替え用が本体より必ず安いとは限らない
詰め替え用は本体容器が不要になるため、安くなるイメージがあります。しかし、実際の販売価格は容量、原料価格、流通、キャンペーンなどで変わります。
また、本体と詰め替え用で容量が違う場合、単純な販売価格だけでは比較できません。
価格を比べる場合は、1回分や100ミリリットル当たりなど、同じ量にそろえて確認すると分かりやすくなります。
大容量の詰め替えは包装を減らしやすいが、使い切れる量を選ぶ
大容量の詰め替え製品では、同じ量を複数の小袋に分ける場合より、包装材を減らせることがあります。
一方、保管場所が足りない、長期間使い切れない、詰め替え時に重くて扱いにくいなどの問題もあります。
包装削減だけを優先せず、家庭で無理なく保管・使用できる量を選ぶことが大切です。
詰め替えと「付け替え」は仕組みが違うことがある
製品によっては、中身をボトルへ注ぐのではなく、内袋やカートリッジ自体を本体へ取り付ける「付け替え」方式があります。
付け替え方式では、中身を別容器へ注ぐ作業を減らせるため、こぼれや容器内部への接触を抑えられる場合があります。
一方で、専用の本体やカートリッジが必要になるため、互換性や廃棄方法を確認する必要があります。詰め替え・付け替えは、同じ「本体を繰り返し使う」目的でも、製品設計によって方法が異なります。
リフィル方式にもさまざまな形がある
家庭でパウチから詰め替える方法のほか、店舗のディスペンサーから必要な量だけ補充する仕組みもあります。
Ellen MacArthur Foundationが紹介するリフィルシステムでは、利用者が容器を繰り返し使い、店舗などで中身を補充することで、使い捨て包装を減らす取組が行われています。
この方式では、容器の洗浄方法、計量、衛生管理、輸送、店舗設備など、新しい管理の仕組みも必要になります。
詰め替え製品を使うときのポイント
詰め替えを安全かつ無駄なく使うには、次の点を確認すると分かりやすくなります。
- 同じ製品か:本体と詰め替え用の販売名・種類が合っているか。
- 詰め替え方法:容器を洗うのか、洗わないのか、表示に従っているか。
- 継ぎ足し:使い切ってから詰め替えるよう指定されていないか。
- 容器の状態:ひび、汚れ、ポンプ不良などがないか。
- 保管:詰め替えパックを高温・直射日光など不適切な場所へ置いていないか。
- 廃棄:使い終わった包装を自治体の分別ルールに従って処理しているか。
詰め替えは、本体容器を長く使うことと、正しい手順で中身を補充することの両方で成り立つ仕組みです。
まとめ
生活用品で詰め替え製品が使われるのは、まだ使える本体容器を繰り返し利用し、中身を補充するための包装を軽く・小さくすることで、容器包装に使う材料や廃棄物を減らしやすくなるからです。
一方、詰め替え用のパウチ自体も資源を使い、廃棄後の処理が必要です。また、本体容器の衛生状態や、同じ製品を正しい方法で詰め替えることも重要です。
詰め替えを考えるときは、「本体を捨てずに済む」という利点だけでなく、包装材の削減、詰め替え方法、衛生管理、容器の寿命、使用後の分別までを含めて使うことが、資源を無駄にしにくい生活につながります。
参考資料
- 経済産業省「3R政策」
- 環境省「プラスチック・スマート 詰め替え〈リフィル〉容器」
- 花王「シャンプーやコンディショナーをつめかえるときは、容器を洗った方がいいの?」
- Ellen MacArthur Foundation “A refill model to keep packaging out of the environment”

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