なぜ照明のちらつきは電源回路や調光方式で変わるのか?

照明は一定の明るさで光っているように見えても、実際には光の強さが短い時間で変化していることがあります。この時間的な光の変動が大きいと、目でちらつきを感じたり、動く物がぎこちなく見えたり、カメラで撮影したときに縞模様が出たりすることがあります。

照明のちらつきを知ることが大切なのは、LEDそのものだけでなく、電源回路や調光器、電源の状態によって光の時間変動が変わるからです。同じLEDでも、ドライバや制御方式が違えば、ちらつきの見え方は大きく異なることがあります。

目次

ちらつきは光が時間とともに変動する現象

米国エネルギー省は、照明の時間的な光変動をTemporal Light Modulationと呼び、光源の出力が短い時間で変化する現象として整理しています。

人がその変化を直接ちらつきとして感じる場合もあれば、動く物が分断されて見えるストロボ効果や、目を動かしたときに像が複数に見えるような現象として現れる場合もあります。

そのため、ちらつきは「見えるか、見えないか」だけでなく、光が時間的にどのように変化しているかを見る必要があります。

LEDは電流の変化へすばやく反応する

LEDは、流れる電流が変わると光出力もすばやく変化します。白熱電球のフィラメントのように熱による慣性が小さいため、電源回路から送られる電流波形の変化が光へ反映されやすい特徴があります。

米国エネルギー省は、LEDのちらつき特性はドライバや調光回路がどのような電流波形を作るかに大きく左右されると説明しています。

つまり、LEDだから必ずちらつくのではなく、LEDへ電流を供給する回路の設計が重要です。

家庭の交流電源はそのままではLEDへ使えない

家庭のコンセントは交流ですが、LEDは半導体素子なので、そのまま交流電源へ直接つなぐのではなく、ドライバ回路で適切な電流へ変換して使います。

この変換が十分に平滑化されていないと、交流電源の周期に合わせてLEDの光出力が上下することがあります。

国内の電気学会論文でも、交流LED駆動回路では電源の電力脈動によって光出力が周期的に低下し、フリッカが発生するため、補償回路を用いて低減する方法が検討されています。

ちらつきを考えるときは、LED素子だけでなく電源回路全体を見る必要があります。

電源回路の設計でちらつきは減らせる

LEDドライバには、整流、平滑、定電流制御などの回路が使われます。十分なエネルギーを一時的に蓄え、電流を滑らかに供給できれば、LEDの光出力変動を小さくできます。

一方、回路を小型・低コストにするためにエネルギー蓄積部品を減らすと、電源周期による変動が光へ現れやすくなる場合があります。

電気学会の研究では、交流LED駆動回路にフリッカ補償回路を追加し、光出力の変動を規格上の限度内へ抑える方法が実験的に検証されています。

つまり、ちらつきの少なさはLEDチップの性能だけでなく、ドライバ設計の品質にも関係します。

調光するとちらつきが目立つ場合がある

LED照明の調光では、流す電流を減らす方法のほか、非常に短い時間で点灯と消灯を繰り返し、その割合を変えて平均的な明るさを調整する方法があります。

こうした制御では、調光レベルや周波数、ドライバと調光器の相性によって時間的な光変動が増えることがあります。

米国エネルギー省は、調光はLEDのちらつきに追加の課題を生むことがあり、特に調光器とLEDドライバの互換性が重要だとしています。

そのため、通常点灯では問題がなくても、暗くしたときだけちらつきが目立つ製品があります。

ちらつきとストロボ効果は同じではない

照明の時間変動による見え方には、いくつか種類があります。

IESは、光源や対象物が静止している状態で明るさが揺れて見えるものをフリッカ、動く物体が断続的・分割されたように見えるものをストロボ効果として区別しています。

たとえば、回転する扇風機や工具の動きが実際とは違って見える場合は、単純なちらつきだけでなくストロボ効果が関係していることがあります。

照明の安全性や見やすさを考えるときは、静止状態で見えるちらつきだけで判断しないことが大切です。

高い周波数でも動きの中で見えることがある

直接のちらつきは比較的低い周波数で感じやすい一方、目や物体が動く状況では、より高い周波数の光変動がストロボ効果やファントムアレイとして見えることがあります。

米国エネルギー省は、相対的な動きがある場合、数千Hzの時間変動でも視覚的な影響が現れる条件があると報告しています。

そのため、「周波数が高いから必ず問題ない」と単純には判断できません。変調の深さや波形、周囲の明るさ、動きの有無なども影響します。

目で分からなくてもカメラでは縞が出ることがある

スマートフォンやデジタルカメラでLED照明の下を撮影すると、画面に横縞が出たり、明るさが周期的に変化したりすることがあります。

これは、照明の光出力変動と、カメラのシャッターやセンサー読み出しのタイミングが干渉することで起こります。

人の目では連続光に見えていても、カメラは短い時間を切り取るため、時間変動を記録しやすい場合があります。

動画撮影や配信をする場所では、肉眼での見え方だけでなく撮影結果も確認することが重要です。

電源の変動でも一時的なちらつきが起こる

照明器具自体の設計がよくても、建物側の電源電圧が変動すると、一時的に明るさが揺れることがあります。

IESは、冷蔵庫や空調機器など他の機器の起動による電圧変動が、光源のちらつきにつながる場合があると説明しています。

照明だけでなく、同じ回路につながる機器や電源環境も影響するため、複数の照明が同時に揺れる場合は建物側の電源条件も確認対象になります。

「ちらつきが少ないLED」を選ぶには回路と制御を見る

LEDという種類だけでは、ちらつきの大きさは判断できません。

同じ明るさ、同じ色温度でも、ドライバ設計や調光方式が異なれば時間的な光変動は変わります。

特に調光を使う場合は、照明器具と調光器が適合しているか、低い調光レベルでも安定して点灯するかを確認することが重要です。

動画撮影や精密作業などちらつきが気になる用途では、メーカーがフリッカやTLMに関する仕様を公開している製品を選ぶと比較しやすくなります。

ちらつきが気になるときの確認ポイント

  • 調光しているか:明るさを下げたときだけ症状が出ないか確認する。
  • 調光器との適合:対応していない組み合わせになっていないかを見る。
  • 複数の照明で同時に起こるか:建物側の電源変動の可能性を確認する。
  • 動画撮影だけで出るか:カメラのシャッター条件との組み合わせも考える。
  • 製品仕様を見る:フリッカ、TLM、調光範囲などの情報があれば確認する。

このように原因を分けると、単純にLED電球を交換するだけでなく、調光器や電源環境を含めて見直せます。

まとめ:LEDのちらつきは光源だけでなく電源と制御で決まる

照明でちらつきを知ることが大切なのは、光の時間的な変動が、LED素子そのものよりも電源回路や調光方式、電源電圧の変化によって大きく左右されるからです。

LEDは電流変化へすばやく反応するため、ドライバが作る電流波形が光出力へ現れやすい特徴があります。通常点灯では問題がなくても、調光時だけ変動が大きくなる場合もあります。

照明を選ぶときは、明るさや色温度だけでなく、調光器との適合や時間的な光変動も確認すると、見やすさや撮影のしやすさまで含めて快適な光環境をつくりやすくなります。

参考資料

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