なぜ日本には山が多いのか?

結論からいうと、日本に山が多いのは、日本列島が複数のプレートがぶつかり合う変動の活発な地域にあり、地殻が押されて隆起したり、断層が動いたり、火山がつくられたりする作用が長い時間続いてきたからです。 そのうえ、雨や川による侵食が隆起した土地を細かく削るため、平らな高原ではなく、谷と尾根が入り組んだ山地が広く発達しました。

国土交通省によると、日本では国土の約7割を山地・丘陵地が占めています。つまり、日本で山が多いのは偶然ではなく、プレート運動による「土地を持ち上げる力」と、風化・侵食による「持ち上がった土地を削る力」が長い時間働いてきた結果なのです。

目次

日本は国土の多くが山地・丘陵地

日本列島を地形図で見ると、北海道から九州まで山地が連なり、広い平野は限られています。

国土交通白書では、日本の全国土の約7割を山地・丘陵地が占めるとされています。平野や盆地は山地の間や沿岸部に点在し、人口や都市の多くはこうした比較的平坦な場所に集中しています。

「島国だから山が多い」という説明だけでは十分ではありません。重要なのは、日本列島が地球規模のプレート運動が活発な場所に位置していることです。

理由1:日本周辺では複数のプレートが動いている

地球の表面は、一枚の硬い殻ではなく、十数枚の大きなプレートに分かれています。

気象庁によると、プレートは年間数cm程度の速さで少しずつ移動しています。日本周辺では、太平洋プレートやフィリピン海プレートといった海のプレートが、日本列島側のプレートの下へ沈み込んでいます。

このように複数のプレートが近づき、沈み込み、互いに押し合う地域では、地殻に強い力が加わります。

その力によって地層が曲がったり、断層が動いたり、地殻の一部が持ち上がったりします。こうした変形が何十万年、何百万年と積み重なることで、山地や山脈が形成されます。

理由2:横から押された地殻が隆起して山地になる

日本列島では、プレート運動によって地殻が横方向から圧縮される地域があります。

産総研・地質調査総合センターは、本州の広い範囲が東西方向の圧縮応力場にあり、断層運動に伴って山地が隆起し、内陸盆地が沈降していると説明しています。

横から押された地殻は、単純に横へ縮むだけではありません。地層が折れ曲がったり、断層を境に片側が持ち上がったりして、上下方向にも変形します。

この隆起が長期間続くと、もともと低かった場所でも大きな山地へ成長することがあります。

断層が山と盆地をつくることもある

日本の内陸には多くの活断層があります。

圧縮される地域では、一方の岩盤がもう一方へ乗り上げる逆断層が形成されることがあります。断層の片側が繰り返し持ち上がれば山地となり、反対側が相対的に沈めば盆地になることがあります。

一回の地震で生じる地形変化は山全体の大きさに比べれば小さくても、同じ方向の変位が何千回、何万回と繰り返されれば、その差は大きくなります。

日本の山地の一部は、このような断層運動の長期的な積み重ねによって形成されてきました。

理由3:沈み込み帯では火山も多くできる

日本には、地殻の隆起でできた山だけでなく、火山活動によってできた山も数多くあります。

気象庁によると、海のプレートが陸側のプレートの下へ沈み込むと、沈み込んだプレートから供給される水などの働きによって上部マントルの一部が融け、マグマが生まれます。

そのマグマが地表へ上昇して噴火すると、溶岩や火山灰などが積み重なり、火山が成長します。

富士山、浅間山、桜島、阿蘇山など、日本を代表する山の中にも火山が多くあります。

つまり日本では、地殻変動によって山地が持ち上がる作用と、火山そのものが地形をつくる作用が両方働いています。

すべての日本の山が火山というわけではない

日本に火山が多いため、「日本の山はほとんど火山でできている」と思うかもしれません。しかし、これは正しくありません。

日本の山には、火山噴出物が積み重なってできた火山性の山と、地殻変動によって古い岩盤や地層が隆起してできた非火山性の山があります。

たとえば、プレートから受ける圧縮によって隆起した山地では、花こう岩、堆積岩、変成岩などさまざまな岩石が山を構成しています。

そのため「日本に山が多い理由」は火山だけでは説明できず、プレート運動による隆起と断層活動を含めて考える必要があります。

理由4:沈み込み帯では山脈ができやすい

海外でも、プレートが近づく境界では山地が発達します。

米国国立公園局は、海洋プレートが別のプレートの下へ沈み込む地域では、海側に付加体などからなる山地が形成され、その内側には火山列ができることがあると説明しています。

プレート境界では、海底の堆積物や岩石が押しつけられたり、地殻が圧縮されたり、マグマが形成されたりします。

日本列島もこのような収束型のプレート境界に位置する島弧であり、山地・火山・地震活動が密接に関係しています。

日本列島は長い時間をかけて複雑な地質になった

現在の日本列島は、一度に現在の形になったわけではありません。

長い地質時代の中で、海底にたまった堆積物が陸側へ付け加えられたり、火山活動が起こったり、地下のマグマが固まったり、地層が変成作用を受けたりしてきました。

さらに、その後のプレート運動で地質体が押し合わされ、断層で切られ、隆起しました。

そのため、日本の山地には異なる時代・環境でできたさまざまな岩石が複雑に分布しています。この複雑な地質も、日本の山地が多様な形を持つ理由の一つです。

理由5:隆起した土地を雨と川が削って山らしい地形になる

地殻が隆起しただけでは、必ずしも険しい山になるとは限りません。

隆起した土地には雨が降り、川が流れます。川は地表を削り、谷を深く刻みます。斜面では風化、崩壊、土石流などによって岩や土が運ばれます。

日本は降水量が比較的多く、山地から海までの距離が短いため、河川は急勾配になりやすく、侵食作用が強く働きます。

その結果、隆起した土地が細かく削られ、尾根と谷の入り組んだ急峻な山地になります。

つまり山の「高さ」をつくる主な作用が隆起だとすれば、山の「険しさ」や細かな形をつくるのは侵食の働きでもあるのです。

山が削られているのに、なぜ山地が残るのか

山では、隆起と侵食が同時に起こっています。

もし隆起が完全に止まり、長い時間侵食だけが続けば、山地は徐々に低くなり、なだらかになっていきます。

しかし日本には、現在も地殻変動が活発な地域があります。国土地理院は、日本列島周辺で複数のプレートが作用し、隆起・沈降・移動などの地殻変動が現在も観測されているとしています。

隆起が続く地域では、侵食で削られても新たに岩盤が持ち上がるため、急な山地が維持されやすくなります。

日本アルプスのような高い山ができたのも地殻変動と関係する

日本の中でも中部地方には、飛騨山脈、木曽山脈、赤石山脈など高い山地が集中しています。

こうした山地では、プレート運動に伴う地殻の圧縮や隆起が長期間続いてきました。

一方で、川や氷河、崩壊などによる侵食も強く働き、深い谷と急な尾根が形成されています。

日本の高山は、「地面が持ち上がったから高い」だけではなく、持ち上がる作用と削る作用が競い合った結果として現在の険しい地形になっています。

なぜ日本には広大な平野が少ないのか

山が多いということは、相対的に平地が少ないということでもあります。

プレート運動で地殻が隆起しやすい日本では、内陸部の多くが山地になっています。

平野は主に、山から川が運んできた砂や泥が長い時間をかけて堆積した場所や、地殻が沈降してできた盆地・低地などに発達します。

しかし日本列島は細長く、山地から海までの距離も短いため、大陸のように数百kmにわたる巨大な平野はできにくくなっています。

そのため、関東平野のような広い平野は日本ではむしろ例外的な存在です。

島国であることと山の多さには関係がある?

「日本は島国だから山が多い」という説明は、半分は合っていますが、それだけでは不十分です。

世界には平坦な島もありますし、大陸内部にも大山脈があります。

日本の場合に重要なのは、島であることそのものより、プレートが沈み込む活動的な島弧として形成されたことです。

海洋プレートの沈み込みに伴う圧縮、火山活動、地殻変動によって細長い島列がつくられ、その多くが山地になっています。

地震が多いことと山が多いことは同じ原因から生まれている

日本に山が多いことと、地震が多いことは無関係ではありません。

どちらも、プレート運動によって地殻へ力が加わっていることが大きな背景です。

地殻へ力が加わると、岩盤にはひずみが蓄積します。限界を超えると断層が急に動いて地震が起こります。

一方、同じ断層運動や長期的な地殻短縮が何千年、何万年と積み重なると、山地の隆起につながります。

つまり、地震は短時間に起こる地殻変動、山地形成はそのような変動が長期に積み重なった結果として見ることができます。

火山が多いことも同じプレート環境と関係する

日本に地震と火山の両方が多いのも、プレート境界に位置することと関係しています。

沈み込み帯では、プレートが沈むことで地震が発生しやすくなるだけでなく、地下でマグマが形成されやすくなります。

そのマグマが地表へ噴出すると火山が成長し、新しい山をつくります。

そのため、日本では「地震が多い」「火山が多い」「山が多い」という特徴が、別々の偶然ではなく、同じプレートテクトニクスの背景から生まれているのです。

日本の山は今も変化している

山は一度できたら完成するものではありません。

国土地理院は全国のGNSS観測網を使い、日本列島の地殻が現在も移動・隆起・沈降している様子を監視しています。

一方で、雨、川、雪、崩壊などによる侵食も現在進行中です。火山では噴火によって新しい地形が加わることもあります。

そのため、日本の山地は今も少しずつ変化しています。人の時間感覚ではほとんど動かないように見えても、地質学的な時間では山は生まれ、成長し、削られ続けています。

日本に山が多くなる流れを整理すると

  1. 日本周辺で複数のプレートが移動・沈み込む
  2. 地殻に強い圧縮や変形が起こる
  3. 断層運動や地殻短縮によって土地が隆起する
  4. 沈み込み帯ではマグマが生まれ、火山も形成される
  5. 隆起した土地を雨や川が削って谷と尾根をつくる
  6. 隆起と侵食が長時間続き、広い山地が形成・維持される

まとめ

日本に山が多い最大の理由は、日本列島がプレート運動の活発な場所に位置し、地殻の圧縮・断層運動・隆起・火山活動が長い時間続いてきたからです。

  • 日本の国土の約7割は山地・丘陵地である
  • 日本周辺では複数のプレートが動き、海洋プレートが沈み込んでいる
  • プレート運動による圧縮で地殻が隆起し、山地が形成される
  • 断層運動の積み重ねでも山と盆地がつくられる
  • 沈み込み帯ではマグマが生まれ、火山の山も多くできる
  • 雨や川による侵食が隆起した土地を削り、急な谷と尾根をつくる
  • 隆起と侵食が現在も続く地域があり、日本の山地は今も変化している

つまり日本の山の多さは、島国だからというだけではなく、活動的なプレート境界にある島弧として、地殻が持ち上げられ、火山が生まれ、その地形が雨や川に削られてきた結果なのです。

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