地震と関係する「プレート」は、地球の表面近くにある硬い岩盤が、巨大な板のようにいくつかに分かれたものです。それぞれのプレートは非常にゆっくり動いており、境界でぶつかる、離れる、すれ違うといった相対運動をしています。その運動によって岩盤に力がかかり、断層が急にずれると地震が発生します。
つまり、「地震のプレート」という特別な板があるわけではありません。地球表面を覆うプレートの運動が、地震を生み出す大きな仕組みの一つになっているのです。
そもそもプレートとは何か
地球の内部は、中心から核、マントル、地殻という層に分けて考えられています。このうち、地殻と上部マントルの最上部は比較的低温で硬く、まとめてリソスフェアと呼ばれます。
この硬いリソスフェアは、地球全体を一枚の殻として覆っているのではなく、大小いくつもの板状の部分に分かれています。これがプレートです。
気象庁は、地球表面が十数枚の主なプレートに覆われ、それぞれが少しずつ動いていると説明しています。プレートの厚さは場所によって異なり、海洋プレートと大陸を含むプレートでも構造や年齢、密度などが違います。
プレートはなぜ動くのか
プレートは、1年に数cm程度という非常にゆっくりした速さで動いています。人間の感覚ではほとんど動いていないように見えますが、数百万年、数千万年という時間で見ると、大陸や海洋の位置を大きく変えるほどの移動になります。
プレート運動の原動力は一つだけではありません。代表的な力として、沈み込んだ冷たく重い海洋プレートが自ら下へ沈もうとし、後ろのプレートを引っ張るスラブ引っ張り力があります。また、プレートの下にあるマントルの流れとの相互作用も運動に関わります。
日本地質学会の総説では、プレート運動の主要な原動力としてスラブ引っ張り力が重要視されてきた一方、マントルの流れが生み出す力も無視できず、両者の寄与をどう評価するかは現在も研究対象であると整理されています。
そのため、「プレートはマントル対流の上に乗ってベルトコンベヤーのように運ばれている」とだけ説明するのは単純化しすぎです。実際には、沈み込むプレート自身の重さやマントルとの力のやり取りなど、複数の要因が組み合わさっています。
プレート境界には3つの基本的なタイプがある
プレート同士の相対運動を見ると、境界は大きく3種類に分けられます。
近づき合う境界
2枚のプレートが互いに近づく境界です。海洋プレートが別のプレートの下に沈み込む場所では、海溝やトラフが形成されます。
プレート同士が強く固着すると、動きたいプレートと動けない境界の間にひずみがたまります。その限界を超えて境界が急にずれると、大きな地震が発生します。日本の海溝型地震はこの仕組みと深く関係しています。
離れ合う境界
2枚のプレートが互いに離れていく境界です。代表例は海底の海嶺です。地下から上昇したマグマが固まって新しい海洋地殻をつくり、両側のプレートが離れていきます。
ここでも岩盤には力がかかるため地震が発生しますが、沈み込み帯で起こる巨大地震とは性質が異なります。
すれ違う境界
2枚のプレートが水平方向にすれ違う境界です。プレート同士が滑らかに動き続けるわけではなく、断層面の凹凸や摩擦によって一時的に固着します。
その間にもプレート運動は続くため、周囲の岩盤には弾性的なひずみが蓄積します。やがて摩擦に耐えられなくなると断層が急に動き、地震が起こります。
なぜプレートの動きが地震になるのか
プレートが毎年少しずつ動いているだけなら、なぜ突然大きく揺れる地震になるのでしょうか。
ポイントは、断層が常に滑らかに動いているわけではないことです。
プレート境界や地殻内部には多数の断層があります。断層面には摩擦があるため、周囲の岩盤に力が加わっても、しばらくは動かずに固着することがあります。
その間、プレート運動による力は岩盤の変形として蓄積されます。力が摩擦や岩盤の強度を超えると、断層が突然ずれます。この急激なずれによって蓄積されていたエネルギーの一部が地震波として周囲へ伝わり、地面が揺れます。
USGSも、断層の縁が引っかかっている間にエネルギーが蓄積し、摩擦に打ち勝って断層がずれたとき、そのエネルギーが地震波として放出されると説明しています。
日本周辺で地震が多いのはプレート配置が複雑だから
日本周辺では、太平洋プレートやフィリピン海プレートと、陸側の複数のプレートが接しています。
気象庁によると、太平洋プレートやフィリピン海プレートは1年あたり数cm程度の速さで陸側のプレートの下へ沈み込んでいます。そのため、日本列島周辺の地下には複雑な力がかかり続けています。
この環境では、プレート境界で起こる地震だけでなく、沈み込んだ海洋プレートの内部で起こる地震や、陸側プレートの浅い部分で起こる地震も発生します。
たとえば南海トラフでは、フィリピン海プレートが陸側のプレートの下へ沈み込み、境界が固着して陸側のプレートを引きずります。ひずみが限界に達すると境界が大きくずれ、地震が発生します。気象庁は、この「沈み込み→固着によるひずみ蓄積→急激なずれ」という過程が繰り返されると説明しています。
プレート境界ではない場所でも地震が起こる
世界の地震の多くはプレート境界付近に集中していますが、すべての地震が境界で起こるわけではありません。
プレートの内部にも、過去の地殻変動でできた断層や弱い部分があります。プレート境界から伝わってきた力がこうした場所に集中すると、内部の断層が動いて地震が起こることがあります。
USGSは、大陸内部の地震について、プレート境界から伝わる応力が古い断層や地殻の弱い部分に作用することが一因になると説明しています。
日本の内陸で発生する浅い地震も、このようなプレート内部の変形と関係しています。規模は海溝型巨大地震より小さいことが多くても、震源が都市や住宅地の近くにあると強い揺れや大きな被害をもたらすことがあります。
プレートは完全に硬い板なのか
プレートは説明上「硬い板」と表現されますが、完全に変形しない剛体ではありません。
長い時間スケールではプレート内部もわずかに変形しますし、境界も一本の細い線だけで表せるとは限りません。地域によっては広い範囲に変形が分散している「プレート境界帯」のような場所もあります。
それでも、地球表面の大規模な運動を理解するうえでは、比較的硬いプレートが互いに動くというモデルが非常に有効です。この考え方がプレートテクトニクスです。
海洋プレートは生まれてから沈み込むまで移動する
プレートテクトニクスでは、海洋プレートは海嶺付近で新しく形成され、海底を広げるように移動します。そして時間がたって冷え、密度が大きくなると、別のプレートとの境界でマントル側へ沈み込むことがあります。
つまり、海洋プレートは固定された床ではなく、地球表面をゆっくり移動しながら生まれ、変化し、沈み込んでいく存在です。
この長期的な循環の途中に、海嶺、海溝、火山帯、断層帯などが形成され、そこで起こる地殻変動の一つとして地震があります。
地震の仕組みを理解するうえでプレートが重要な理由
プレートの考え方を使うと、世界の地震がなぜ特定の帯に集中するのか、日本でなぜさまざまな深さの地震が起こるのか、海溝型巨大地震がなぜ繰り返されるのかを一つの大きな枠組みで説明できます。
ただし、実際に一つの地震がいつ、どこで、どの規模で起こるかを知るには、プレート運動だけでは足りません。断層の形状、固着の程度、周辺の応力、過去の活動履歴など、より細かな情報が必要です。
プレートテクトニクスは「地震が起こる大きな背景」を説明する理論であり、個別の地震の発生時刻を予知する仕組みではありません。
まとめ
地震と関係するプレートは、地殻と上部マントル最上部からなる硬いリソスフェアが、巨大な板状に分かれたものです。
プレートは非常にゆっくり動き、境界では近づく、離れる、すれ違うという運動をしています。その運動によって断層に力とひずみが蓄積し、固着していた断層が急にずれると地震が発生します。
また、プレートはマントル対流に単純に運ばれるだけではなく、沈み込むプレートの重さによるスラブ引っ張り力や、マントルとの相互作用など複数の力で動いています。
つまり、プレートは地震そのものではなく、地震が起こる力を長い時間かけて生み出し、断層に蓄積させる地球規模の仕組みの中心です。
参考資料
- 気象庁「地震発生のしくみ」
- 気象庁「地震・津波・火山を知る」
- U.S. Geological Survey「The Science of Earthquakes」
- 吉田晶樹「プレート運動と大陸移動の原動力-再考」

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