なぜ地震の液状化は場所や条件によって違うのか?

地震の液状化に場所や条件による違いがあるのは、地盤の土質・締まり具合・地下水位と、地震の揺れの強さ・継続時間が場所ごとに異なるからです。液状化は、地下水で満たされた緩い砂質地盤などが強く繰り返し揺さぶられ、砂粒どうしを押し付ける有効応力が低下することで起こります。したがって、同じ地震でも、ある場所では大きく液状化し、数百m離れた場所ではほとんど起こらないことがあります。

重要なのは、「埋立地なら必ず液状化する」「震度が大きければどこでも液状化する」と単純には言えない点です。液状化の起こりやすさは、地盤側の条件と地震動側の条件が重なったときに高くなると考える必要があります。

目次

液状化の違いは「地盤条件」と「揺れ条件」で決まる

地震本部は、液状化が発生しやすい場所として、地下水位が高く、ゆるく堆積した砂地盤を挙げています。またUSGSも、液状化は水で飽和した緩い堆積物が強い地震動を受けたときに強度を失う現象と説明しています。

つまり、液状化しやすさを考える基本条件は次の三つです。

  • 液状化しやすい粒状地盤があること
  • その地盤が地下水で飽和していること
  • 十分に強い、または長く繰り返す地震動を受けること

このうち一つだけを見ても、液状化の有無を正確には判断できません。砂地盤でも地下水位が深ければ起こりにくく、地下水位が浅くても粘土質主体の地盤では液状化しにくい場合があります。また、液状化しやすい地盤でも揺れが小さければ発生しないことがあります。

砂の「締まり具合」で液状化しやすさが変わる

同じ砂でも、緩く堆積した砂と、よく締まった砂では液状化への抵抗が違います。

緩い砂は粒子の間にすき間が多く、地震で繰り返しせん断されると、より密に詰まろうとする傾向があります。しかし、間隙を満たす水が短時間に逃げられないと、過剰間隙水圧が上昇し、砂粒どうしを押し付ける有効応力が低下します。

一方、よく締まった砂は、一般に同じ揺れを受けても液状化に対する抵抗が高くなります。地盤調査では、標準貫入試験のN値などを用いて地盤の締まり具合を評価し、粒度や地下水位、想定地震動と組み合わせて液状化判定を行います。

そのため、同じ埋立地の中でも、造成方法や締固めの程度が違えば、液状化しやすさに差が生まれます。

地下水位が浅い場所ほど液状化しやすいのはなぜか

液状化には、土粒子のすき間が水で満たされていることが重要です。

地下水位が浅い場所では、地表に近い砂層まで水で飽和しているため、地震時に過剰間隙水圧が上昇しやすくなります。地震本部は、地下水位の高い緩い砂地盤を液状化しやすい代表的な条件としています。

逆に、同じ砂質地盤でも地下水位が深く、地表近くの砂が不飽和であれば、その部分は典型的な液状化を起こしにくくなります。

ただし地下水位は一定ではありません。降雨、河川水位、季節、潮汐、地下水利用などで変動します。そのため、ある時点の地盤調査で地下水位が深かったからといって、将来の大地震時にも同じとは限りません。

なぜ埋立地や旧河道で液状化が多いのか

地震本部は、液状化が起こりやすい場所として、埋立地、干拓地、昔の河道を埋めた土地、砂丘や砂州の間の低地などを挙げています。

こうした場所では、比較的新しい砂質堆積物や人工的に埋め戻された土があり、地下水位も浅いことが多いため、液状化の条件が重なりやすくなります。

国土交通省も、液状化ハザードを考える際に、地形区分や土地の改変履歴を重要な情報として扱っています。昔の地図を見ると、現在は住宅地でも過去には川、池、海岸低地だった場所がわかることがあります。

ただし、「旧河道だから必ず液状化する」という意味ではありません。実際の危険度は、埋められた材料、層厚、締まり具合、地下水位、地震動などによって変わります。

同じ埋立地でも液状化の程度が違うのはなぜか

埋立地は一様ではありません。

埋立てに使った材料が砂なのか、砂礫なのか、細粒分を多く含む土なのかで性質が変わります。また、埋立時に十分な締固めを行ったか、埋立後どのくらい時間がたったか、地下水位がどの深さにあるかも場所によって違います。

さらに、埋立前の海底や旧地形にも高低差があります。そのため、同じ地区名の中でも、液状化しやすい層の厚さや地下水条件が異なることがあります。

USGSも、液状化ハザードマップは地域全体の傾向を示すものであり、個々の敷地では地下条件が急に変化することがあるため、必要に応じてボーリングなどの地盤調査が重要だとしています。

砂の粒の大きさや細粒分でも違いが出る

液状化は砂質地盤で典型的に起こりますが、すべての砂が同じ液状化抵抗を持つわけではありません。

粒径のそろった緩い砂は、繰り返しせん断で粒子配列が変わりやすく、液状化しやすい代表的な地盤です。一方、礫を多く含む地盤、密な砂、粘土分が多く塑性の高い土などは、一般に挙動が異なります。

ただし、シルトや細粒分を含む土でも条件によっては液状化するため、「砂でなければ絶対に液状化しない」とは言えません。

J-STAGEに掲載された東日本大震災の液状化研究でも、細粒分含有率、地盤の締まり具合、地震動の継続時間などを考慮する必要が指摘されています。

揺れが強いほど液状化しやすい

液状化は、地盤の条件だけでなく、地震動の強さに左右されます。

強い揺れでは、地盤に繰り返し加わるせん断応力が大きくなり、砂粒の骨格が崩れやすくなります。その結果、過剰間隙水圧が上昇し、有効応力が低下しやすくなります。

そのため、同じ地盤でも震源に近く強い揺れを受けた場所では液状化し、遠く離れて揺れが弱かった場所では液状化しないことがあります。

ただし、液状化のしやすさを震度だけで完全に決めることはできません。地震動の振幅だけでなく、周期特性や繰り返し回数、継続時間も関係するからです。

揺れが長く続くと液状化しやすくなることがある

地震動の最大値が同程度でも、短時間で終わる地震と長時間続く地震では、地盤が受ける繰り返し回数が異なります。

液状化では、一回の強い力だけではなく、繰り返しせん断によって過剰間隙水圧が少しずつ蓄積することが重要です。そのため、比較的長い時間揺れが続くと、地盤が液状化に達する可能性が高くなる場合があります。

J-STAGE掲載の研究では、東日本大震災を含む事例を通じて、液状化判定には地震動波形の不規則性と継続時間を考慮することの重要性が示されています。

つまり、「最大加速度が大きい地震だけが液状化を起こす」のではなく、やや小さめの揺れでも長時間繰り返されれば液状化へ近づくことがあります。

本震と余震の組み合わせでも違いが出る

大きな本震の後に余震が続くと、地盤は一度の地震だけではなく、複数回の地震動を受けます。

本震で地盤が液状化寸前まで弱くなったり、過剰間隙水圧が十分に消散していなかったりすると、その後の地震で再び液状化が進むことがあります。

一方、本震後に砂が締まり、過剰間隙水圧が消散すれば、同じ場所の液状化抵抗が変化することもあります。

そのため、液状化履歴のある地盤が必ず次の地震で同じように液状化するとも、二度と液状化しないとも言い切れません。地盤状態と後続地震動の条件を合わせて考える必要があります。

液状化する「深さ」でも地表被害が変わる

地中で液状化が起きても、必ず同じ大きさの地表被害になるわけではありません。

液状化層が浅く厚い場所では、地表の沈下や噴砂が大きくなりやすい場合があります。一方、液状化層の上に厚く強い非液状化層があると、地下で液状化しても地表への影響が小さくなることがあります。

また、建物の基礎がどの深さまで達しているかによっても被害は変わります。浅い基礎の住宅と、支持杭が硬い地盤まで届く構造物では、同じ地盤で液状化が起きても被害の出方は同じではありません。

したがって、「液状化の発生しやすさ」と「建物被害の大きさ」は分けて考える必要があります。

海岸や川沿いでは側方流動が起こりやすい

液状化被害は、地盤が沈むだけではありません。

海岸、河岸、護岸の近くや、わずかに傾斜した地盤では、液状化でせん断抵抗が低下した地盤が低い方向へ移動する側方流動が起こることがあります。

USGSは、液状化した地盤が傾斜地や開放面の方向へ移動し、道路・配管・基礎などに大きな変形を与えることがあると説明しています。

そのため、同じ液状化程度でも、平坦な内陸部と河岸・海岸沿いでは被害の種類と大きさが違うことがあります。

土地の履歴を見ると液状化の地域差を理解しやすい

現在の地表だけを見ても、その土地がどのようにできたかはわかりにくい場合があります。

国土地理院や国土交通省が示す地形・土地履歴情報を見ると、旧河道、埋立地、干拓地、低地、砂州など、液状化条件と関係しやすい地形を確認できます。

たとえば、現在は道路や住宅が並ぶ場所でも、過去の地図では川や池だったことがあります。そこが砂質土で埋め戻され、地下水位が浅ければ、周辺の自然地盤より液状化しやすい可能性があります。

一方、地形分類はあくまで地域的な傾向を知るための情報です。個別敷地の評価には、ボーリング、N値、粒度、地下水位などの地盤調査が必要になります。

同じ震度でも液状化する場所としない場所がある

震度はその地点の地表の揺れの強さを表しますが、液状化の発生条件そのものを直接示す指標ではありません。

同じ震度5強を観測した地域でも、一方が地下水位の浅い緩い砂地盤、もう一方が硬い岩盤なら、液状化の可能性は大きく異なります。

また、同じ市町村内でも、低地と台地、旧河道と自然堤防、埋立地と古い地盤などが混在していれば、液状化の分布は斑状になります。

このため、震度分布図だけでは液状化リスクを判断できず、液状化ハザードマップや地形分類、地盤情報を合わせて見ることが重要です。

液状化ハザードマップは「絶対判定」ではない

液状化ハザードマップは、自分の地域の液状化傾向を知るうえで有用です。

国土交通省は、地形区分に基づく液状化の発生傾向図や、地域ごとの液状化危険度分布を公開しています。しかし、こうした地図は特定の敷地を保証するものではありません。

USGSも、地域スケールの液状化ハザードマップを個別建物の設計にそのまま使うべきではなく、地下条件は短い距離で急変することがあるとしています。

したがって、住宅購入や重要施設の設計などで個別敷地の判断が必要な場合は、地域図だけでなく実際の地盤調査結果を確認することが重要です。

液状化対策によって同じ地域内でも差が生まれる

液状化しやすい自然条件を持つ地域でも、地盤改良の有無によって実際の挙動は変わります。

代表的な対策には、地盤を締め固める、排水性を高める、地盤を固化する、地下水位を下げる、杭基礎で支持層へ荷重を伝えるなどがあります。

これらはそれぞれ、過剰間隙水圧が上がりにくくする、地盤の液状化抵抗を高める、液状化しても建物への影響を抑える、といった異なる考え方に基づいています。

そのため、隣り合う二つの敷地でも、一方だけ地盤改良されていれば、同じ地震を受けたときの被害に差が生じる可能性があります。

まとめ

地震の液状化に場所や条件による違いがあるのは、液状化が一つの要因だけで決まる現象ではないからです。

緩い砂質地盤、浅い地下水位、強いまたは長時間の地震動が重なると液状化しやすくなります。さらに、粒度、細粒分、地盤の締まり具合、液状化層の厚さ、土地の造成履歴、本震と余震の繰り返しなどによっても発生しやすさは変わります。

埋立地、旧河道、干拓地、低地などは液状化しやすい傾向がありますが、同じ地形区分でも地盤条件は一様ではありません。また、地下で液状化が起きても、地表被害は液状化層の深さや厚さ、地形、建物基礎によって異なります。

つまり液状化の地域差は、「どんな土がどれくらい緩く堆積しているか」「地下水がどこまであるか」「どの程度の揺れを何回受けるか」「液状化層と地表・構造物がどうつながっているか」という条件の組み合わせで生まれます。

参考資料

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