火山と火山灰が関係しているのは、火山の噴火でマグマや周囲の岩石が細かく砕かれ、その一部が直径2mm未満の粒子となって空中へ放出されるからです。この細かな火山噴出物が火山灰です。
火山灰は、木や紙が燃えた後に残る「灰」とは違います。実際には、火山ガラス、鉱物の結晶、古い岩石の破片などからできた細かな固体粒子です。噴火の種類やマグマの性質によって、火山灰の量・粒の大きさ・色・形・成分は変わります。
そのため、火山灰は単なる噴火の「残りかす」ではありません。どのようなマグマが上昇し、どのように破砕され、地下水や火山ガスがどう関わったのかを知る重要な手掛かりでもあります。
火山灰とは何か
気象庁は、火山灰を「噴火によって火口から放出される固形物のうち、比較的細かいもの」で、直径2mm未満の粒子と説明しています。
大きさによる分類なので、「灰」という名前でも、物質の種類が一種類に決まっているわけではありません。
USGSによると、火山灰には主に、火山ガラス、鉱物・結晶、岩石片などが含まれます。
つまり火山灰とは、「火山噴火で生じた細かな固体粒子の集まり」と考えるとわかりやすいでしょう。
火山灰は燃えた灰ではない
日常生活でいう灰は、木材や紙などが燃焼した後に残るものです。
しかし火山灰は、燃焼によってできたものではありません。
USGSは、火山灰を岩石・鉱物・火山ガラスの細かな破片からなる物質と説明しています。
粒子は硬く、角ばったものも多く、細かくても研磨材のような性質を持つことがあります。
このため、見た目が灰色の粉のようでも、普通の燃焼灰とは性質が大きく異なります。
爆発的噴火で火山灰ができやすいのはなぜか
爆発的な噴火では、上昇するマグマの中で火山ガスが膨張し、マグマそのものが細かく破砕されることがあります。
気象庁は、地下深部のマグマが火口へ上昇して圧力が下がると、溶け込んでいた揮発性成分が一斉に発泡し、体積が増加して噴出につながると説明しています。
火山学の研究でも、揮発性成分に富むマグマは上昇に伴って発泡し、ガスが十分に抜けないまま上昇すると、火砕物と高温ガスの混合物として爆発的に噴出することが示されています。
このとき、泡の壁やマグマが細かくちぎれ、急冷して火山ガラス片などになると、それが火山灰粒子になります。
火山ガスの膨張がマグマを砕く
マグマには、水蒸気、二酸化炭素、二酸化硫黄などの揮発性成分が溶け込んでいます。
地下深くでは高い圧力によって溶け込んでいた成分が、マグマの上昇に伴う減圧で気泡になります。
気泡が成長するとマグマ全体の体積が増え、内部の圧力状態も大きく変わります。
ガスが外へ逃げにくい場合には、気泡の成長によってマグマが細かく破砕され、爆発的噴火につながります。
そのため、火山灰の生成は、マグマの上昇とガスの発泡・脱ガスの仕方と深く関係しています。
穏やかな溶岩噴火では火山灰が少ないこともある
すべての火山噴火で大量の火山灰が出るわけではありません。
マグマの中のガスが比較的効率よく抜け、マグマが細かく破砕されなければ、溶岩流を中心とした穏やかな噴火になることがあります。
J-STAGE掲載の火山学研究でも、同じようなマグマであっても、ガスが系外へ抜ける「開放系脱ガス」が進むと、爆発的噴火ではなく溶岩流出のような比較的穏やかな噴火になることが説明されています。
つまり、火山と火山灰は深く関係していますが、「火山が噴火すれば必ず大量の火山灰が出る」という単純な関係ではありません。
水蒸気噴火でも火山灰が出る
火山灰は、新しいマグマそのものが砕けた場合だけにできるわけではありません。
地下水がマグマや高温の岩体によって急激に加熱されると、水が水蒸気へ変わって大きく膨張し、周囲の岩石を爆発的に破砕することがあります。
このような水蒸気噴火では、新しいマグマが地表へほとんど出なくても、既存の岩石や古い火山噴出物が細かく砕かれて火山灰として放出されることがあります。
USGSも、爆発的噴火では、マグマ中のガス膨張だけでなく、水が急激に水蒸気へ変わることで岩石が砕かれ、火山灰が生じる場合があると説明しています。
マグマと水が出会うと細かな火山灰ができやすい
マグマと地下水・湖水・海水などが直接接触すると、マグマ水蒸気噴火が起こることがあります。
高温のマグマに水が触れると、水は急激に沸騰・膨張します。
この急激な熱交換と爆発によって、マグマや周囲の岩石が細かく砕かれます。
そのため、マグマ水蒸気噴火では、非常に細かな火山灰が多く生じる場合があります。
火山灰の粒子形状を調べると、マグマ自身の発泡破砕が中心だったのか、水との激しい接触があったのかを考える材料になることもあります。
火山灰にはどんなものが含まれているのか
USGSによると、火山灰には主に火山ガラス、鉱物・結晶、岩石片が含まれます。
火山ガラスは、溶けたマグマの一部が噴火時に急冷して固まったものです。爆発的噴火では、発泡したマグマの気泡壁が破れて、細かなガラス片になることがあります。
鉱物・結晶は、マグマ中ですでに成長していた結晶が破砕されて粒子になったものです。
岩石片は、火道や火口周辺の既存岩石が噴火の爆発によって砕かれたものです。
これらの割合は噴火ごとに異なるため、火山灰の分析は地下で起こった現象を知る手掛かりになります。
火山灰の大きさはどう決まるのか
噴火でどこまで細かくマグマや岩石が破砕されるかは、マグマの粘り気、ガス量、発泡の程度、水との接触、爆発の強さなどによって変わります。
細かな粒子ほど空中に長く浮かびやすく、風に運ばれて遠方まで届きます。
一方、粒の大きい火山礫や噴石は重いため、比較的火口近くに落下しやすくなります。
気象庁が火山灰を直径2mm未満として区別しているのは、大きさによって飛散のしかたや防災上の影響が大きく変わるためです。
なぜ火山灰は火口から遠くまで届くのか
火山灰は非常に細かく軽いため、噴煙とともに高い空へ上がると風に流されます。
気象庁は、火山灰が風によって火口から離れた広い範囲へ拡散すると説明しています。
USGSも、細かな火山灰は噴煙高度や風速、噴出量などの条件によって、数十kmからさらに遠くまで運ばれることがあるとしています。
そのため、噴火地点から遠い都市や空港でも降灰の影響を受ける場合があります。
火山灰の影響範囲は、火山の近さだけでなく、その日の風向・風速にも大きく左右されます。
火山灰は噴火の様子を記録している
火山灰を顕微鏡や化学分析で調べると、噴火したマグマや地下での過程を推定できます。
たとえば、発泡したガラス片が多いのか、結晶が多いのか、古い岩石片が多いのかによって、噴火のタイプやマグマの関与の仕方が異なる可能性があります。
火山学の研究では、火山灰の結晶度、発泡度、化学組成などを時間ごとに調べ、火山活動の変化を追跡する試みも行われています。
つまり火山灰は、空から降ってくる危険物であると同時に、地下の火山活動を読み解くための「試料」でもあります。
過去の火山灰は昔の噴火を調べる手掛かりになる
火山灰は地面や湖底、海底などに堆積し、地層として残ることがあります。
広い範囲に同じ噴火の火山灰が残れば、その層は地層の年代を比べる目印として利用できます。
また、火山灰の厚さや粒の大きさ、化学組成を調べることで、過去の噴火規模や噴煙の広がりを推定する手掛かりになります。
火山灰は、現在の噴火を理解するだけでなく、何千年・何万年前の火山活動を復元するためにも重要です。
火山灰は暮らしにも影響する
火山灰は細かいため広い地域へ運ばれ、生活や社会にも影響します。
気象庁は、火山灰が農作物、交通機関、とくに航空機、建造物などへ影響を与えると説明しています。
USGSも、火山灰が航空機エンジン、道路交通、機械、電力設備、農業などへ影響することを紹介しています。
ただし、影響の大きさは降灰量や粒子の細かさ、雨の有無、地域の設備などで変わります。
そのため火山周辺では、噴火警報だけでなく、降灰予報や風向きの情報も重要になります。
火山灰と火砕流は同じものではない
火山灰は細かな火山噴出物の大きさを表す言葉です。
一方、火砕流は高温の火山灰や岩片、火山ガスなどが混ざり合って地表近くを高速で流れ下る現象です。
つまり、火砕流の中に火山灰サイズの粒子が含まれることはありますが、「火山灰=火砕流」ではありません。
火山灰は風によって遠方まで飛散する一方、火砕流は地形に沿って高速で流れ下るため、防災上の性質も大きく異なります。
まとめ
火山と火山灰が関係しているのは、噴火によってマグマや周囲の岩石が細かく破砕され、その直径2mm未満の粒子が火山灰となるからです。
爆発的なマグマ噴火では、上昇するマグマ中のガスが発泡・膨張し、マグマを細かく砕きます。水蒸気噴火では、高温の岩体やマグマで地下水が急膨張し、既存岩石を砕いて火山灰を生じることがあります。
火山灰には火山ガラス、鉱物・結晶、岩石片などが含まれ、その粒子の形や組成を調べることで、噴火の仕組みやマグマの状態を推定できます。
つまり、火山灰は火山活動によって生まれる細かな噴出物であり、噴火の結果であると同時に、地下で何が起きたのかを記録する重要な証拠でもあるのです。

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