火山とカルデラが関係しているのは、カルデラが火山活動によってつくられる大規模なくぼみだからです。 とくに大量のマグマが噴出したり、地下で別の場所へ移動したりすると、地下のマグマだまりの上にある地盤が支えを失い、沈降・崩落して大きな凹地形ができることがあります。これが代表的なカルデラの形成過程です。
つまり、カルデラは火山とは無関係な地形ではなく、火山活動の結果として生まれる地形の一つです。ただし、すべての火山にカルデラがあるわけではなく、すべてのカルデラが同じ仕組みでできるわけでもありません。
カルデラとは何か
気象庁はカルデラを、火山活動によって形成された概ね直径2km以上の凹地形と説明しています。代表例として阿蘇カルデラ、姶良カルデラ、屈斜路カルデラなどがあります。
カルデラは「大きな火口」と説明されることがありますが、火口とカルデラは成り立ちや規模の考え方が異なります。火口は主にマグマや火山ガスなどが地表へ放出される場所です。一方、カルデラは火山活動に伴って広い範囲の地盤が沈降・崩落するなどしてできる、大規模な地形です。
英語の「caldera」も、火山活動に伴う大きな陥没地形を指します。米国地質調査所(USGS)は、カルデラを火山活動による崩壊と深く結びついた構造として説明しています。
なぜ火山活動でカルデラができるのか
代表的な仕組みは、地下のマグマが大量に失われたあとに地盤が崩れ落ちることです。
- 火山の地下にマグマが蓄積します。
- 大規模な噴火などによって、地下のマグマが短時間に大量に地表へ噴出します。
- 場合によっては、マグマが地下で横方向へ移動し、もとの貯留域から減ることもあります。
- マグマが減ると、その上にある岩盤を十分に支えられなくなります。
- 地盤が割れ、広い範囲が沈降・崩落すると、大きなくぼみであるカルデラが形成されます。
USGSは、規模の大きな噴火によって火山のマグマ貯留域から大量のマグマが失われると、その上の地表が下方へ崩落し、カルデラが生じることがあると説明しています。
このためカルデラは、噴火で地面が単純に「吹き飛ばされてできた穴」と考えるよりも、地下のマグマ量の大きな変化に伴って地盤が落ち込んだ地形と理解するほうが正確です。
カルデラができるほどの噴火はなぜ大きくなりやすいのか
大規模なカルデラ形成では、多量のマグマが短時間に移動・噴出することがあります。とくに爆発的な噴火では、大量の火山灰や軽石、火砕流などが広い範囲に放出される場合があります。
その結果、地下のマグマ貯留域の体積が急激に変わり、上部の岩盤が沈み込む条件が整います。カルデラの大きさは、地下のマグマ貯留域の規模や深さ、失われたマグマの量、岩盤の構造などによって変わります。
ただし、「カルデラがある火山は必ず超巨大噴火を起こす」と単純化するのは正確ではありません。カルデラにはさまざまな規模があり、形成過程も一様ではありません。気象庁も、マグマの噴出や側方移動に伴う沈降・崩落のほか、浸食や山体崩壊によって生じたものがあるとしています。
カルデラができた後も火山活動は終わらないことがある
カルデラの形成は、火山活動の「最後」を意味するとは限りません。
大きな陥没が起きた後でも、地下にはマグマが残っていたり、新たなマグマが供給されたりすることがあります。そのため、カルデラの内部や縁で新しい噴火が起き、溶岩ドームや小さな火山体が形成される場合があります。
USGSが紹介するイエローストーンやロングバレーなどでも、カルデラ形成後に火山活動が続いた痕跡があります。カルデラは過去の大きな火山活動の跡であると同時に、その後の火山活動が展開する「場」になることもあるのです。
カルデラの中に湖ができるのはなぜか
カルデラは周囲より低い大きなくぼみなので、雨水や地下水がたまると湖になることがあります。こうした湖をカルデラ湖と呼ぶことがあります。
ただし、カルデラができれば必ず湖になるわけではありません。排水する川があるか、地盤が水を通しやすいか、降水量がどの程度かなどによって、水がたまるかどうかは変わります。
米国のクレーター・レイクは、火山の崩壊で形成されたカルデラに水がたまった代表例です。日本でも屈斜路湖など、カルデラ地形と湖が結びついた例があります。
日本に大きなカルデラが多いのはなぜか
日本列島は、複数のプレートが関係する活動的な火山帯に位置しています。沈み込むプレートに伴ってマグマが発生し、多くの火山が形成されてきました。
長い地質時代の中では、大規模な噴火も繰り返されました。その結果、日本各地に大きなカルデラが残っています。
- 阿蘇カルデラ:九州中央部にある大規模なカルデラで、その内部には現在も活動する火山があります。
- 姶良カルデラ:鹿児島湾北部に位置する大規模なカルデラで、桜島を含む火山活動と深く関係しています。
- 屈斜路カルデラ:北海道東部にある大規模なカルデラで、内部に屈斜路湖があります。
こうした地形は、日本列島で火山活動が長期間続いてきたことを示す重要な証拠でもあります。
カルデラと火口の違い
火山を理解するときに混同しやすいのが「火口」と「カルデラ」です。
- 火口:マグマや火山ガス、火山灰などが地表へ放出される場所。
- カルデラ:火山活動に伴う沈降・崩落などによって形成される、大規模な凹地形。
火口は噴火の出口としての意味が強いのに対し、カルデラは火山体や地盤の大きな変形によってできる地形です。また、一つのカルデラの内部に複数の火口が存在することもあります。
そのため、カルデラを単に「とても大きな火口」と覚えるだけでは、火山活動との本当の関係が見えにくくなります。
カルデラを見ると何がわかるのか
カルデラは、過去にその地域でどのような火山活動が起きたのかを知る重要な手がかりです。
カルデラの形や大きさ、周辺に分布する火山灰・軽石・火砕流堆積物、地下の地質構造などを調べることで、過去の噴火規模やマグマの移動、陥没の過程を推定できます。
また、カルデラ内部で現在も地震活動、地殻変動、火山ガス放出などが観測される場合には、現在の火山活動を理解するためにも重要な地域となります。
火山とカルデラの関係をひとことで整理すると
カルデラは、火山活動によって地下のマグマが大量に移動・噴出するなどした結果、地盤が沈降・崩落してできる大規模なくぼみです。
火山はマグマが地表へ噴出する活動と、それによって形成される地形・構造のまとまりです。カルデラは、その火山活動が大きく地形を変えた結果として残る代表的な構造の一つです。
したがって、「火山」と「カルデラ」は別々のものではありますが、成因の面で強く結びついています。カルデラを知ることは、火山がどのように噴火し、地下のマグマがどう動き、地表の形がどのように変化するのかを理解することにつながります。

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