結論から言うと、土の粒子は、岩石や火山灰などの母材が物理的・化学的に風化してできた大きさや性質の異なる鉱物粒子を中心に成り立っています。大きな粒子は主に砂、小さくなるとシルト、さらに非常に細かな粒子は粘土として区分されます。これらが異なる割合で混ざり、腐植などの有機物と結びつきながら集まることで、私たちが「土」と呼ぶ構造ができます。
ただし、砂・シルト・粘土は単なる名前の違いではありません。粒子が小さくなるほど表面積が大きくなり、水や養分を保持する働きが強くなる傾向があります。また粘土の一部は、岩石が細かく砕けただけではなく、鉱物が化学的に変化して新しくできた粘土鉱物です。土の粒子の仕組みを理解すると、なぜ砂質土は水が抜けやすく、粘土質土は水や養分を保持しやすいのかも見えてきます。
土の粒子とは何を指すのか
土を手に取ると、一つの均一な物質に見えます。しかし拡大すると、大きさの違う鉱物粒子、有機物、微生物などが混在しています。土壌学では、鉱物質の細かな粒子を大きさによって砂・シルト・粘土に分け、その割合を「土性」として表します。
農林水産省の土壌診断資料では、土壌は砂・シルト・粘土からなり、2mm以上のものを礫として扱っています。また、砂は粒子が大きく孔隙も大きくなりやすいため通気性・透水性が高く、粘土は粒子が細かく表面積が大きいため、養分や水を保持しやすいと説明されています。
日本で広く使われてきた国際土壌学会法では、粒径2~0.02mmを砂、0.02~0.002mmをシルト、0.002mm未満を粘土とします。一方、FAOやUSDAの体系では砂とシルトの境界が0.05mmであるなど、分類法によって境界値が少し異なります。農研機構も、日本で用いられるISSS体系とFAO/USDA体系では砂とシルトを分ける粒径が異なることを示しています。
つまり「砂・シルト・粘土」という言葉は、粒子の大きさを基準にした区分ですが、どの分類体系を使うかによって境界が少し変わる点には注意が必要です。
土の粒子はどこから生まれるのか
土の鉱物粒子の出発点は、岩石、火山灰、河川堆積物などの母材です。母材は、温度変化、水、凍結と融解、植物の根、化学反応などの影響を長い時間受けて風化します。
物理的風化で岩石が細かくなる
岩石は、昼夜や季節の温度差で膨張・収縮したり、岩の割れ目に入った水が凍結したり、植物の根が割れ目を押し広げたりすることで、少しずつ砕かれます。
このような物理的風化では、鉱物の化学組成が大きく変わらなくても、岩石が細かな破片になります。石英のように比較的風化に強い鉱物は、砂粒として長く残ることがあります。
化学的風化で鉱物そのものが変化する
一方、水や酸素、二酸化炭素などが鉱物と反応すると、鉱物そのものの化学構造が変わります。これが化学的風化です。
たとえば長石などの一次鉱物が水との反応によって変化すると、粘土鉱物などの二次鉱物が生成します。そのため、粘土粒子は「大きな岩石がひたすら細かく砕けて0.002mm以下になったもの」だけではありません。化学反応によって新しい鉱物として生じたものも多く含まれます。
この違いは重要です。砂粒の多くは元の岩石に含まれていた鉱物の特徴を比較的残していますが、粘土粒子では風化によって新たにできた鉱物が土の化学性を強く左右します。
なぜ砂・シルト・粘土という大きさに分かれるのか
自然界では、母材の種類、風化の強さ、水や風による運搬、堆積のしかたが場所によって違います。そのため、できあがる粒子の大きさにも幅が生まれます。
川の流れが速い場所では細かな粒子が流され、大きな砂や礫が残りやすくなります。流れがゆるやかな場所や湖・低地では、シルトや粘土のような細粒が沈みやすくなります。また風は細かな粒子を遠くまで運ぶことができます。
つまり、その場所の土粒子は「その場の岩石が風化した結果」だけでなく、別の場所から水・風・氷などによって運ばれてきた物質を含むことがあります。粒径組成は、その土地の地質や地形、堆積の歴史も反映しているのです。
砂粒はどのような仕組みを持つのか
砂は、砂・シルト・粘土の中では最も大きな粒子です。一粒一粒を肉眼で見られる場合が多く、石英や長石などの鉱物粒子が主体になります。
粒子が大きいと、同じ体積の土でも粒子の総表面積は小さくなります。また、粒子の間には比較的大きな孔隙ができやすいため、水は重力で下へ移動しやすく、空気も入りやすくなります。
その結果、砂の多い土では一般に透水性と通気性が高くなる一方、水や養分を保持する力は小さくなりやすい傾向があります。農林水産省も、砂質土では通気性・排水性が高く、保水力・保肥力が低い傾向を示しています。
シルトは砂と粘土の中間にある
シルトは、砂より小さく、粘土より大きな粒子です。乾いた状態では粉のように感じられ、湿らせるとなめらかな触感があります。
シルト粒子は砂より表面積が大きく、砂質土より水を保持しやすい一方、粘土ほど強い吸着力や粘着性を示しません。そのため、砂と粘土の中間的な性質を持つと考えるとわかりやすいでしょう。
ただし、シルトが多い土は構造が不安定になると表面が締まりやすくなったり、水による侵食を受けやすくなったりすることがあります。粒子の大きさだけでなく、団粒構造や有機物量によって実際の性質は変わります。
粘土粒子はなぜ小さいのに大きな働きをするのか
粘土は非常に細かな粒子です。FAOの資料でも、粘土は砂やシルトと比べて単位質量あたりの表面積が非常に大きいことが示されています。
粒子が細かいほど、同じ重量でも外側に露出する表面が増えます。粘土鉱物の表面には電気的な性質を持つ場所があり、カルシウム、マグネシウム、カリウム、アンモニウムなどの陽イオンを保持できます。
そのため粘土は、量が少なくても土壌の保肥力やpHの変化、養分の交換に大きく関係します。また微細な孔隙に水を保持するため、粘土の多い土は乾きにくくなる傾向があります。
ただし、粘土が多ければ必ず「良い土」になるわけではありません。細かな孔隙が多すぎると水が抜けにくくなり、湿ったときには粘り、乾燥すると硬くなる場合があります。重要なのは、砂・シルト・粘土の割合と、それらがどのような構造をつくっているかです。
粒子の割合が「土性」を決める
砂・シルト・粘土の割合を表したものが土性(soil texture)です。USDA NRCSの土性計算でも、砂・シルト・粘土の割合から土性区分を決定します。
たとえば砂が多ければ砂質、粘土が多ければ粘質になります。砂・シルト・粘土が比較的バランスよく含まれる土は壌土系の区分になります。
FAOは、土性が土壌水分、浸透速度、表面流出、排水、侵食、根の伸長など多くの性質に影響すると説明しています。これは、粒子の大きさが孔隙の大きさや表面積を変え、水・空気・養分の動きを左右するためです。
「土の粒子」と「土の構造」は同じではない
土を理解するときに混同しやすいのが、土性と土壌構造です。
土性は、砂・シルト・粘土という一次的な粒径組成を表します。一方、土壌構造は、それらの粒子が腐植、粘土、微生物由来物質、植物の根などによって集まり、どのような塊や孔隙をつくっているかを表します。
同じような粒径組成の土でも、粒子がばらばらに詰まっている土と、安定した団粒が発達している土では、水はけ、空気の入りやすさ、根の伸びやすさが異なります。
つまり、土粒子は「材料」であり、土壌構造はその材料の「組み上がり方」と考えるとわかりやすいでしょう。
粒子はどのように団粒へまとまるのか
砂・シルト・粘土の粒子は、常に単独で存在しているわけではありません。粘土鉱物、腐植、カルシウムなどのイオン、菌類の菌糸、微生物がつくる粘着性物質、植物の根などの働きによってまとまり、団粒をつくります。
団粒の内部には細かな孔隙ができ、団粒と団粒の間には比較的大きな孔隙ができます。これにより、水をある程度保持しながら余分な水を排出し、空気も確保するという複雑な働きが可能になります。
したがって土の性質は、粒子の大きさだけでは決まりません。粒子同士がどう集まり、どれだけ安定した構造をつくっているかも重要です。
なぜ粒子の大きさで水の動きが変わるのか
大きな粒子が多いと、大きな孔隙ができやすくなります。大きな孔隙では重力によって水が下へ流れやすく、水が抜けた後には空気が入りやすくなります。
一方、小さな粒子が多いと細かな孔隙が増え、水は毛管力や粒子表面への吸着によって保持されやすくなります。
このため一般に、砂質土は水はけがよく乾きやすく、粘土質土は水を多く保持しやすい傾向があります。ただし、粘土質土では水が強く保持され、植物が使いにくい水の割合も増えることがあります。単純に「水を多く含むほど植物に有利」とは限りません。
なぜ粒子の大きさで養分保持力も変わるのか
養分保持では、特に粘土粒子の表面が重要です。粘土は粒子が非常に小さいため、重量あたりの表面積が大きくなります。さらに粘土鉱物の表面には負の電荷を持つ場所があり、正の電荷を持つ養分イオンを引きつけます。
農林水産省の資料でも、粘土は表面積が大きく、交換性石灰、苦土、カリなどを保持する性質があると説明されています。
一方、砂粒は粒子が大きく表面積が小さいため、鉱物粒子そのものによる養分保持は比較的小さくなります。この違いが、砂質土と粘土質土で肥料の効き方や流亡のしやすさが異なる理由の一つです。
粒径区分の数字が資料によって違うのはなぜか
土壌について調べると、「砂は0.02mm以上」と書かれた資料と「砂は0.05mm以上」と書かれた資料があり、矛盾しているように見えることがあります。
これは測定ミスではなく、使っている粒径分類体系が違うためです。農研機構は、日本で多く使われてきたISSS体系と国際的に広く使われるFAO/USDA体系を比較し、砂とシルトの境界粒径が異なることを示しています。
一方で、粘土を0.002mm未満とする点は共通しています。記事や分析結果を比較するときには、どの分類法で測定された値かを確認することが大切です。
土の粒子の仕組みをまとめると
- 土の鉱物粒子は、岩石や火山灰などの母材が風化して生じる
- 物理的風化では岩石が砕かれ、化学的風化では鉱物そのものが変化する
- 土粒子は大きさによって砂・シルト・粘土に区分される
- 粘土には、一次鉱物が化学変化してできた二次鉱物も多い
- 砂は大きな孔隙をつくりやすく、透水性・通気性に関係する
- 粘土は表面積が大きく、水や養分の保持に強く関係する
- 砂・シルト・粘土の割合が土性を決める
- 粒子は腐植や微生物などの働きで集まり、団粒構造をつくる
- 土性と土壌構造は別の概念であり、両方が土の働きを左右する
- 粒径区分はISSSとFAO/USDAなどで一部境界値が異なる
つまり土の粒子は、岩石が単純に粉々になったものではなく、風化・化学変化・運搬・堆積を経て生じた多様な鉱物粒子が、大きさごとに異なる性質を示しながら組み合わさったものです。その粒径組成と粒子同士のまとまり方が、水、空気、養分、根の伸びやすさといった土壌の基本的な性質を形づくっています。

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