雪と湿度は、一見すると別々の気象要素に見えます。しかし実際には、湿度は雪ができる途中から地上へ降ってくるまで、さまざまな段階に関わっています。
結論からいうと、湿度は空気中にどれだけ水蒸気があるかを表し、その水蒸気が雪の結晶の成長材料になる一方、地上付近では乾燥しているほど雪片から水分が失われ、そのときに熱が奪われて雪が融けにくくなるからです。
雪の結晶は空気中の水蒸気を取り込んで育つ
雪の結晶は、雲の中で生まれた小さな氷晶に水蒸気が付着しながら成長していきます。つまり、雪の結晶が育つためには、周囲に水蒸気が存在することが欠かせません。
NOAAは、雪の結晶が水蒸気を取り込みながら成長し、温度や空気中の水分量のわずかな違いによって成長の仕方が変わると説明しています。
雪そのものが氷の結晶からできる仕組みについては、なぜ雪は氷の結晶が成長してできるのか?で詳しく解説しています。
湿度が高いほど結晶は大きく育ちやすい
雲の中に水蒸気が多いほど、成長中の氷晶が取り込める材料も多くなります。そのため、条件がそろえば結晶の枝が発達したり、より複雑な形になったりします。
反対に、水蒸気の供給が少ない環境では、結晶の成長は比較的ゆっくりになります。ただし、雪の結晶の形は湿度だけで決まるわけではありません。温度との組み合わせが重要です。
温度と湿度の組み合わせで雪の結晶の形が変わる
雪の結晶には、板状、柱状、針状、樹枝状などさまざまな形があります。NOAAは、雪の結晶が成長するときの温度と湿度の違いが、その形を左右すると説明しています。
同じ温度でも、水蒸気の供給が多いか少ないかによって枝の発達の仕方が変わります。また、結晶は雲の中を移動しながら異なる温度・湿度の場所を通るため、成長途中で形が変化することもあります。
地上付近では「乾燥しているほど雪になりやすい」ことがある
湿度が雪に影響するのは雲の中だけではありません。雪片が地上へ落ちる途中では、周囲の空気が乾燥しているほど、雪片の表面から水分が失われやすくなります。
気象庁の解説では、空気が乾燥していると、雪片から水分が昇華・蒸発するときに熱が奪われるため、雪片が融けにくくなるとされています。このため、地上気温が0℃より高くても、湿度が低ければ雪として地上に届くことがあります。
なぜ水分が失われると雪片が冷えるのか
氷や水が水蒸気へ変わるにはエネルギーが必要です。そのエネルギーは雪片や周囲の空気から熱として奪われます。
その結果、雪片や周囲の空気が冷やされます。これを蒸発冷却や昇華による冷却として考えることができます。乾燥しているほど水蒸気が空気中へ逃げやすいため、冷却作用が強まりやすくなります。
降り始めに気温が下がることがあるのも湿度が関係する
乾いた空気の中で雪や雨が降り始めると、雪片の融解や水分の蒸発・昇華によって周囲から熱が奪われます。そのため、降水が始まったあとに気温が下がることがあります。
気象庁の羽田空港向け解説でも、乾燥した空気中で降水が始まると、蒸発や融解によって空気が冷やされ、気温が低下すると説明されています。
湿度が上がると冷却作用は弱くなる
降水が続くと、空気中に水蒸気が増えて湿度が上がります。湿度が100%に近づくと、水分がさらに蒸発しにくくなるため、蒸発による冷却効果は小さくなります。
このため、雨か雪かを考えるときは、その瞬間の気温だけでなく、湿度がどの程度か、降水がどれくらい続いているかも重要になります。
「なぜ気温によって雪になったり雨になったりするのか?」との違いは「何を主役に見るか」
なぜ気温によって雪になったり雨になったりするのか?では、雲から地上までの温度分布を主役にして、雪・みぞれ・雨へ分かれる理由を解説しています。
一方、この記事では湿度を主役にして、雲の中で雪の結晶がどのように育つか、そして地上付近で乾燥が雪片の融けにくさにどう影響するかを説明しています。
湿度だけで雪になるかどうかは決まらない
湿度は重要ですが、雪になるかどうかを単独で決める要素ではありません。上空から地上までの気温、雲の構造、地形、風、降水の強さなども関係します。
特に、空気が十分に暖かければ、湿度が低くても雪は途中で融けることがあります。逆に、気温が低ければ湿度が高くても雪のまま地上へ届くことがあります。
したがって、「湿度が高いから雪」「湿度が低いから雪」と単純に考えるのではなく、湿度は雪の成長と融け方の両方に影響する要素の一つと考えるのが適切です。
湿度は雪の見た目や性質にもつながる
雪の結晶がどのように成長したかは、雪片の大きさや形、地上に積もったときの性質にも影響します。温度が比較的高く水分を多く含む雪では、結晶同士がくっつきやすくなることがあります。
こうした湿った雪の特徴については、なぜ雪と湿雪は関係しているのか?で詳しく扱います。
雪と霜も水蒸気が関係する
雪と霜は、どちらも空気中の水蒸気と低温が関係する氷の現象です。ただし、雪は雲の中で成長した氷の結晶が落下してくるのに対し、霜は地面や物体の表面付近で水蒸気が直接氷になることでできます。
雪と霜の違いについては、なぜ雪と霜は関係しているのか?で解説します。
まとめ
湿度が雪に影響するのは、空気中の水蒸気が雪の結晶の成長材料であると同時に、地上へ落ちる途中の雪片が融けるかどうかにも関わるからです。
雲の中では、水蒸気が多いほど結晶は成長しやすく、温度との組み合わせで形も変わります。一方、地上付近では乾燥しているほど雪片から水分が失われ、その際に熱が奪われるため、雪片が融けにくくなることがあります。
つまり湿度は、雪の結晶を育てる側面と、落下中の雪を冷やして残りやすくする側面の両方から雪に関係しています。

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