なぜ住まいでは表面結露と内部結露が別の場所で起こるのか?

住まいの結露には、窓ガラスや壁の表面に水滴が見える「表面結露」と、壁・屋根・床など建物の内部で起こる「内部結露」があります。どちらも水蒸気が冷やされて液体の水になる現象ですが、結露が起こる場所と、水蒸気がそこへ届くまでの経路が違います。

表面結露は、室内の暖かく湿った空気が、窓や壁など露点より低い温度の表面に触れたときに起こります。内部結露は、室内や屋外の水蒸気が壁体内などへ入り込み、その途中にある冷たい部分で露点に達したときに起こります。

つまり、住まいで表面結露と内部結露が別の場所で起こるのは、水蒸気が冷やされる場所が、室内側の表面なのか、壁・屋根・床など建物内部なのかによって違うからです。

目次

結露の原理は同じでも、起こる場所が違う

結露は、空気に含まれる水蒸気が冷やされ、露点を下回る場所で液体の水に変わる現象です。

表面結露では、冷たい窓ガラスや外壁の室内側表面が結露する場所になります。内部結露では、壁体内の断熱材付近、外壁の裏側、屋根裏、床下など、室内から見えない場所が結露点になります。

そのため、同じ室内湿度でも、建物のどの部分が冷えているか、水蒸気がどこまで入り込めるかによって、結露の位置が変わります。

表面結露はなぜ窓や壁に起こる?

冬の窓ガラスや断熱の弱い外壁は、屋外の冷気の影響で室内側表面の温度が下がります。

室内の空気に十分な水蒸気が含まれていると、その空気が冷たい表面に触れた部分だけ温度が下がります。表面温度が露点を下回ると、空気中の水蒸気が液体の水になり、水滴として見えるようになります。

米国EPAも、気温が低下すると空気が保持できる水分量が減り、寒い時期には窓などの冷たい表面で結露が起こると説明しています。

表面結露は、目に見えるため比較的気づきやすいのが特徴です。

内部結露はなぜ壁の中で起こる?

壁や屋根の内部には、室内側と屋外側の温度差があります。冬なら、室内側は暖かく、屋外側へ近づくほど低温になります。

そこへ室内の水蒸気が壁体内へ入り込むと、移動の途中で温度が下がります。壁体内のどこかで水蒸気が露点に達すると、見えない位置で結露が起こります。

国土交通省は、住宅の断熱性能等級に関する制度の中で、内部結露を防止するための計算や対策を扱っています。これは、壁体内の水蒸気移動と温度分布が住宅の耐久性に関わるためです。

また、米国エネルギー省の建築科学資料では、水蒸気は材料を通る拡散だけでなく、空気漏れによって壁体内へ運ばれることもあると説明しています。

表面結露と内部結露では「水蒸気の経路」が違う

表面結露

室内空気がそのまま窓や壁の表面に触れます。水蒸気は室内にあり、表面で冷やされて結露します。

内部結露

水蒸気が壁・屋根・床などの内部へ入り込みます。空気漏れや水蒸気の拡散によって内部へ移動し、その途中の冷たい部分で結露します。

この違いから、表面結露は「表面温度と室内湿度」、内部結露は「壁体内へ入る水蒸気と壁内部の温度分布」がより重要になります。

なぜ内部結露は見つけにくい?

表面結露は窓や壁に水滴が見えるため、住んでいる人が気づきやすい現象です。

一方、内部結露は壁の中、屋根裏、床下などで起こるため、見た目では分からないことがあります。

水分が長く残ると、断熱材が湿って性能が低下したり、木材が腐朽したり、金属部材が腐食したりする可能性があります。発見時にはすでに建物内部へ影響が広がっていることもあります。

国土交通省も、外断熱工法の説明の中で、外断熱には室内側の表面結露や内部結露を防止しやすい利点があるとしています。

断熱すると表面結露はなぜ減りやすい?

断熱性能を高めると、室内側の窓や壁の表面温度が外気の影響で下がりにくくなります。

同じ室温・湿度でも、表面温度が露点より高く保たれれば、その表面では結露が起こりにくくなります。

そのため、窓の高断熱化や外壁・床・天井の断熱強化は、表面結露のリスクを下げる方法の一つです。

ただし、室内湿度が極端に高ければ、断熱性能が高くても結露する可能性はあります。断熱と湿度管理は両方必要です。

内部結露は断熱材を増やせば防げる?

内部結露は、断熱材を増やすだけでは防げません。

断熱を強化すると壁体内の温度分布は変わりますが、水蒸気がどこから入り、どこで止まり、どこへ抜けるかを考えなければ、別の場所で結露する可能性があります。

DOEの建築科学資料では、壁体内の湿気対策として、気密による空気漏れの制御と、地域・外装材に応じた防湿層の使い分けが重要だとされています。

つまり、内部結露対策では、断熱・気密・防湿・通気を一体として考える必要があります。

防湿層はなぜ必要になることがある?

防湿層は、水蒸気が壁体内へ入り込む量を抑えるための層です。

寒冷地の冬では、室内側の空気の方が暖かく湿っているため、水蒸気が壁体内へ向かいやすくなります。この水蒸気が冷たい外側へ移動すると、壁体内で露点に達する可能性があります。

そこで、地域や壁の構成によっては室内側に防湿層を設け、水蒸気の侵入を抑えます。

ただし、防湿層はどの地域・どの壁構成でも同じように使えばよいわけではありません。DOEも、気候や外装材によって必要な防湿性能が異なり、誤った位置に強すぎる防湿層を設けると壁が乾きにくくなる場合があると説明しています。

気密と内部結露にはどんな関係がある?

壁体内へ水蒸気が入る経路には、材料をゆっくり通る拡散と、空気漏れによって一緒に運ばれる経路があります。

すき間から湿った空気が壁体内へ大量に入ると、短時間で多くの水分が移動する場合があります。

そのため、内部結露対策では、断熱材の施工だけでなく、気密層を連続させて意図しない空気漏れを減らすことが重要です。

ただし、気密を高めることは換気を止めることではありません。室内の湿気は計画換気で外へ排出し、壁体内への無計画な空気漏れを減らすという役割分担になります。

夏にも内部結露は起こる?

内部結露は冬だけの現象ではありません。

夏の高温多湿な外気が、冷房で冷えた建物内部へ入り込み、冷たい部材に触れると、外側から内側へ向かう水蒸気移動によって結露する場合があります。

特に、高温多湿地域では、冬の「室内から屋外へ」という水蒸気移動だけを前提に防湿層を配置すると、夏に湿気が抜けにくくなることがあります。

DOEの資料でも、防湿層の必要性や位置は気候条件によって変わるとされており、壁体が季節に応じて乾燥できる構成が重要です。

表面結露と内部結露はどう見分ける?

表面結露の特徴

  • 窓ガラスや窓枠に水滴が見える
  • 壁や天井の表面が濡れる
  • 冬の朝など、気温が下がる時間に目立つ
  • 室内湿度が高いと増えやすい

内部結露が疑われる兆候

  • 壁紙の浮きや変色が続く
  • 壁内部からかび臭さを感じる
  • 特定の場所だけ断熱性能が落ちたように感じる
  • 木材の腐朽や金物の腐食が見つかる

ただし、これらは雨漏りや配管漏れでも起こるため、内部結露と断定はできません。原因が見えない場合は、専門家による調査が必要です。

結露を減らすには何を組み合わせればよい?

室内の湿気を減らす

入浴、調理、室内干しなどで発生した水蒸気を、換気や除湿で外へ出します。

冷たい表面を減らす

窓や外壁の断熱性能を高め、室内側表面温度を下がりにくくします。

壁体内への空気漏れを減らす

気密層を連続させ、湿った空気が壁体内へ大量に入り込むのを防ぎます。

壁が乾ける構成にする

地域や外装材に合った防湿層・通気層を設け、壁体内に入った水分が長期間滞留しないようにします。

まとめ

住まいの表面結露と内部結露は、どちらも水蒸気が冷やされて液体の水になる現象です。

表面結露は、室内の湿った空気が窓や壁などの冷たい表面に触れ、表面温度が露点を下回ることで起こります。内部結露は、水蒸気が壁・屋根・床などの内部へ入り、その途中の冷たい部分で露点に達することで起こります。

違いを生むのは、結露の原理ではなく、水蒸気がどこまで移動し、どこで冷やされるかです。

そのため、表面結露には断熱と室内湿度の管理、内部結露にはそれに加えて気密・防湿・通気を含む壁体全体の設計が重要になります。見える水滴だけでなく、見えない壁の中の水分移動まで考えることが、住宅の結露対策の基本です。

関連記事

参考資料

関連する「なぜ?」

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次