なぜ同じ湖でも見る日によって色が違って見えるのか?|理由と背景をわかりやすく解説

同じ湖でも見る日によって色が違って見えるのは、空の色や日差し、水面の波が変わるだけでなく、雨で入る土砂や有機物、植物プランクトンの量など、水の中身も数時間から数日の間に変化するからです。

湖の色は、水そのものだけで決まりません。私たちの目に届くのは、水面で反射した光と、水中に入り、吸収・散乱されて戻ってきた光を合わせたものです。そのため、昨日と今日で水質がほとんど同じでも、晴天と曇天の違いだけで青から灰色へ変わって見えることがあります。逆に、空が同じように晴れていても、大雨の翌日や藻類が増えた日は茶色や緑色に見えることがあります。

目次

湖の色は「水の状態」と「光の状態」で決まる

湖を見たときの色には、大きく二つの要因があります。

  • 水の状態:植物プランクトン、土砂、溶存有機物、水深、透明度など
  • 光の状態:空の色、雲、太陽の位置、水面反射、見る角度、波など

米国地質調査所(USGS)は、自然の水の色は浮遊土砂、藻類、溶存有機物などによって変わると説明しています。透明で溶存・浮遊物が少ない水は青く見えやすく、植物プランクトンが多ければ緑色、土砂が多ければ黄・茶・灰色などに見えることがあります。

一方、香港天文台は、大きな水面の見える色は水の吸収・散乱だけでなく、空の反射にも左右され、天候、時間帯、見る角度、高さによって変わるとしています。

つまり「同じ湖なのに色が違う」という現象は、水が変わった場合と、見え方だけが変わった場合の両方があるのです。

晴れた日は青く、曇った日は灰色に見えやすい

水面は空の光を一部反射します。

よく晴れた日は青空の光が水面に映り、湖も青みを帯びて見えやすくなります。雲が厚い日は空が白や灰色になるため、水面も銀色、灰色、青灰色のように見えることがあります。

この変化は水質が悪化したという意味ではありません。朝に曇っていた湖が午後に晴れ、同じ場所から見ても急に鮮やかな青へ変わることがあります。

夕方には赤や橙の光が増えるため、水面が金色や赤紫色に見える場合もあります。湖の「その日の色」には、その日の空の色が強く重なるのです。

見る角度が少し違うだけでも色は変わる

同じ日でも、岸から水平に近い角度で見る場合と、高い展望台から見下ろす場合では色が違って見えることがあります。

水面に近い低い角度では、空の反射が目に入りやすくなります。一方、上から見下ろすと、水面反射よりも水中から戻る光や浅い場所の湖底の影響が見えやすくなる場合があります。

香港天文台も、水域の色は観測する角度や高さによって変化すると説明しています。

そのため、昨日は湖岸から、今日は展望台から見たという場合、実際の水質が同じでも色の印象が変わることがあります。

風で波立つと反射のしかたが変わる

風の弱い日は水面が滑らかになり、空や山を鏡のようにはっきり映します。反対に風が強い日は細かな波ができ、水面の向きが場所ごとに変わります。

すると反射光がさまざまな方向へ散り、水面が白っぽくきらめいたり、濃淡のある青や灰色に見えたりします。

浅い湖では、強風が湖底の泥を巻き上げることもあります。その場合は反射だけでなく、水中の浮遊物そのものが増えるため、本当に透明度が下がって茶色や灰色に見えることがあります。

風は「見え方」と「水の中身」の両方を変えられる要因です。

大雨の翌日は茶色く見えることがある

前日まで青く見えていた湖が、大雨の翌日に茶色くなることがあります。

これは流域の斜面、畑、道路、河岸などから細かな土砂が川へ流れ込み、その水が湖へ入るためです。USGSは、浮遊土砂が自然水を黄色、赤、茶色、灰色などに見せる代表的な要因だとしています。

河口付近では、茶色い流入水と湖の比較的澄んだ水がはっきり分かれて見える場合があります。その後、粒子が沈んだり湖水と混ざったりすると、数日かけて元の色へ近づくことがあります。

この場合の色変化は、空の反射だけではなく、実際に水中の粒子量が変わった結果です。

雨の影響は土砂だけではない

雨は土砂と一緒に、有機物や窒素・リンなども湖へ運ぶことがあります。

環境省の湖沼・内湾の透明度研究では、透明度を左右する主要な要素として、植物プランクトン、植物プランクトン以外の粒子、溶存有機物が扱われています。これらは水中で光を吸収・散乱するため、量が変われば湖の見える色も変わります。

森林や湿地から色付きの溶存有機物が流れ込めば、黄褐色や紅茶のような色合いが強まる場合があります。土砂が沈んだ後も、溶けた有機物の色が残ることがあります。

大雨後の湖が「茶色い」といっても、泥だけが原因とは限りません。

植物プランクトンが増えると緑色が強くなる

植物プランクトンにはクロロフィルなどの色素があります。その量が増えると、湖は緑色や黄緑色に見えやすくなります。

植物プランクトン量は一定ではありません。水温、日射、栄養塩、風、水の滞留などの条件によって、数日単位でも増減することがあります。

環境省の研究でも、湖沼の透明度や光学特性を評価する重要な水質成分として植物プランクトンが挙げられています。

そのため、同じ晴天の日でも、植物プランクトンが少ない日は青みが強く、増えた日は緑色が強く見えることがあります。水面に藍藻類が集まると、さらに濃い緑や青緑の筋・膜が見えることもあります。

透明度が変わると「水の奥から返る光」も変わる

湖の透明度が高い日は、光がより深くまで届きます。浅い岸辺では湖底の砂や石、水草の色まで見えやすくなります。

透明度が低下すると、水中の粒子や植物プランクトンから返る光の割合が増え、湖底は見えにくくなります。環境省は、透明度を水中へ届く光量を左右する指標として位置づけています。

このため、同じ場所でも「底が見える青緑色の日」と「表面だけが緑や茶色に見える日」があります。

色の違いは、色素だけでなく、光が湖のどこまで進めるかという透明度の違いでも生まれます。

同じ湖でも場所ごとに色が違うこともある

湖全体が同じ日に一色になるとは限りません。

大雨後は流入河川の近くが茶色く、沖合は青いことがあります。風下側には植物プランクトンや浮遊物が集まり、緑色が濃くなる場合があります。浅い岸では湖底の色が見え、深い沖では濃い青に見えることもあります。

そのため、見る日だけでなく、見る場所を変えたことが色の違いにつながる場合があります。

写真を比較するときは、撮影地点、向き、時間帯、天候が同じかどうかも確認する必要があります。

写真ではカメラ設定によって色が変わることもある

肉眼では似た色に見えていても、スマートフォンやカメラの写真では色が違って写ることがあります。

自動ホワイトバランスや露出補正、HDR処理などは、画面全体を見やすくするために色や明るさを調整します。青空の反射が多い写真と曇天の写真では、自動補正の働き方も異なります。

そのため、別の日の写真だけを比べて水質変化を判断する場合には注意が必要です。湖の色を継続観察するなら、同じ地点・同じ方向・近い時間帯で撮影すると比較しやすくなります。

色が変わったからといって必ず水質悪化とは限らない

湖の色が昨日と違うことだけでは、水質が良くなった・悪くなったとは断定できません。

青から灰色への変化が単に曇天の反射である場合もあれば、茶色への変化が自然な大雨後の土砂流入である場合もあります。緑色が強くなったときには植物プランクトンの増加が考えられますが、見た目だけでは種類や安全性までは分かりません。

水質を判断するには、透明度、濁度、クロロフィルa、窒素・リン、溶存酸素などの測定が必要です。

湖の色は、水や天候の変化に気づくための有用なサインですが、それ自体が診断結果ではありません。

見る日によって違って見える主な理由

  • 晴れ・曇り:空の色の反射が変わる
  • 時間帯:太陽の高さや空の色が変わる
  • 見る角度・高さ:水面反射と水中からの光の割合が変わる
  • 風:波で反射が変わり、浅い湖では底泥も巻き上がる
  • 大雨:土砂や有機物が流入し、茶色や黄褐色になりやすい
  • 植物プランクトン:量が増えると緑色が強くなる
  • 透明度:光が届く深さと湖底の見え方が変わる
  • 見る場所:河口、岸、沖、風上・風下で水の状態が違う

まとめ

同じ湖でも見る日によって色が違って見えるのは、水面に映る空や日差し、波、見る角度が日々変わることに加え、土砂・有機物・植物プランクトンなど水中の成分も変化するからです。

晴れた日に青く見え、曇りの日に灰色に見えるだけなら、主に光の反射の違いかもしれません。大雨後に茶色くなったり、暖かい時期に緑色が強くなったりした場合は、水中の粒子や生物量が実際に変わっている可能性があります。

湖の色は「水そのもの」と「その日に湖へ当たっている光」の両方を映しています。だから同じ場所から眺めても、湖は日ごとに違う表情を見せるのです。

参考資料

関連する「なぜ?」

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次