結論から言うと、岩石と変成岩が関係しているのは、変成岩が「岩石」という大きなグループの一つだからです。地質学では、岩石はでき方によって大きく火成岩・堆積岩・変成岩に分けられます。そのうち変成岩は、すでに存在していた岩石が地下で高い温度や圧力、流体の作用を受け、溶け切らないまま鉱物の組み合わせや組織を変えてできた岩石です。
つまり「岩石」と「変成岩」は別々のものではなく、岩石という上位概念の中に変成岩が含まれるという関係です。片岩、片麻岩、ホルンフェルス、大理石などはすべて変成岩であり、同時に岩石でもあります。
まず「岩石」と「変成岩」の関係を整理しよう
岩石は、地球の地殻をつくる固体物質の基本単位の一つです。産総研地質調査総合センターは、岩石をでき方によって火成岩・堆積岩・変成岩に大別しています。
火成岩はマグマや溶岩が冷えて固まってでき、堆積岩は砂や泥、生物遺骸などが堆積して固まってできます。
これに対して変成岩は、もともとあった岩石が地下で新しい温度・圧力条件に置かれ、その環境に合わせて鉱物や組織をつくり変えた岩石です。
したがって「変成岩」は、岩石の中でも既存の岩石が変化してできたグループと考えると理解しやすくなります。
変成岩のもとになる岩石を「原岩」という
変成岩になる前の岩石を原岩と呼びます。
原岩は一種類ではありません。火成岩が変成岩になることもあれば、堆積岩が変成岩になることもあります。さらに、一度できた変成岩が再び別の温度・圧力条件を受け、別の変成岩へ変化することもあります。
USGSは、変成岩の原岩として火成岩・堆積岩・既存の変成岩のいずれもあり得ると説明しています。
このため、変成岩を調べるときには「現在どのような岩石か」だけでなく、「もともと何の岩石だったのか」も重要な情報になります。
変成作用とは何が起きることなのか
既存の岩石が地下深くへ運ばれたり、マグマの近くへ置かれたりすると、温度や圧力が大きく変わります。
その環境では、もとの鉱物が安定でなくなり、新しい条件に適した鉱物へ組み替わることがあります。また、すでにある鉱物が大きく成長したり、向きをそろえたりすることもあります。
産総研地質調査総合センターは、このように既存の岩石が新たな高温・高圧条件を受けて変化することを変成作用と説明しています。
つまり変成作用は、岩石の材料が完全になくなって別物になるのではなく、もとの岩石を材料として鉱物と組織が再編成される過程です。
変成作用では岩石は基本的に溶けない
変成岩と火成岩の違いを理解するうえで最も重要なのは、変成作用では岩石が基本的に溶け切らないことです。
USGSは、変成作用では岩石が高温・高圧を受けても溶融せず、鉱物が再結晶したり、新しい鉱物が形成されたりすると説明しています。
もし温度がさらに上がり、岩石が大きく溶けてマグマになれば、その後に冷え固まってできるのは火成岩です。
したがって、変成作用とマグマ形成は連続した高温過程の中にありますが、固体のまま変化しているか、溶融したかが大きな境界になります。
鉱物が「再結晶」すると岩石の見た目も変わる
変成作用では、もともとの鉱物がそのままの大きさ・形で残るとは限りません。
高い温度や圧力のもとでは、鉱物の粒が成長したり、別の鉱物へ変わったりします。これを再結晶と呼びます。
たとえば石灰岩が変成作用を受けると、主成分である方解石が再結晶して粒が大きくなり、結晶質石灰岩、いわゆる大理石になります。
また、泥岩がマグマの熱を強く受けると、鉱物が再結晶して緻密なホルンフェルスになることがあります。
このように原岩の成分と変成条件の組み合わせによって、できる変成岩が変わります。
圧力がかかると鉱物の向きがそろうことがある
地下で岩石が一方向から強く押されると、板状や針状の鉱物が圧力に対して特定の向きへ並びやすくなります。
その結果、岩石に平行な面構造ができることがあります。これを片理と呼びます。
USGSは、圧力によって平たい鉱物や細長い鉱物が平行に並び、葉理や縞状構造が発達する変成岩があると説明しています。
片岩や片麻岩では、この鉱物の配列が肉眼でも確認できることがあります。
つまり変成岩の模様や割れ方は、過去にどの方向からどのような力を受けたかを記録している場合があります。
接触変成岩はマグマの熱でできる
地下へマグマが入り込むと、その周囲の岩石は強い熱を受けます。
このように、主にマグマの熱によって周辺の岩石が変成する作用を接触変成作用と呼びます。
産総研地質調査総合センターは、マグマの熱を強く受けてできた変成岩を熱変成岩、または接触変成岩として整理しています。
泥岩が接触変成を受けるとホルンフェルスになり、石灰岩が再結晶すると結晶質石灰岩になります。
接触変成では、広い地域全体よりも、マグマが貫入した岩体の周囲に帯状に変成岩ができることが多いのが特徴です。
広域変成岩は地下深部の高温・高圧でできる
山脈形成やプレートの沈み込み、大陸同士の衝突などでは、非常に広い範囲の岩石が地下深くへ押し込まれます。
そこでは温度と圧力の両方が高くなり、広い範囲で変成作用が進みます。これを広域変成作用と呼びます。
産総研地質調査総合センターは、広域変成岩を温度・圧力条件によって低圧型・中圧型・高圧型・超高圧型などに区分しています。
日本では、沈み込み帯に関連して形成された三波川変成帯など、高圧型変成岩が広く知られています。
広域変成岩を調べると、過去にプレートがどのように動き、どの深さまで岩石が運ばれたかを推定する手がかりになります。
断層の周囲でも変成岩ができることがある
断層活動では、岩石が強く押しつぶされたり、すべったり、破砕されたりします。
このような強い変形によってできる変成岩を、産総研地質調査総合センターは動力変成岩として整理しています。
断層周辺では、岩石が細かく砕かれたり、強いせん断で鉱物や組織が引き伸ばされたりします。
つまり変成作用は、高温・高圧だけでなく、断層運動に伴う強い変形によっても起こります。
原岩が違えば同じ条件でも違う変成岩になる
変成作用を受けたときにできる岩石は、温度や圧力だけでなく、もとの岩石の化学組成にも左右されます。
たとえば石灰岩は主に方解石からできているため、変成すると大理石になりやすくなります。一方、泥岩には粘土鉱物や石英などが含まれるため、変成度が上がるにつれて粘板岩、千枚岩、片岩、片麻岩などへ変化することがあります。
玄武岩などの苦鉄質火成岩を原岩とする場合には、緑色片岩など別の鉱物組み合わせを持つ変成岩が形成されます。
つまり変成岩の種類は、原岩の種類 × 温度 × 圧力 × 流体 × 時間の組み合わせで決まります。
変成度が高くなると鉱物の組み合わせも変わる
変成作用の強さを表す考え方として変成度があります。
低い温度・圧力条件では、比較的低温で安定な鉱物ができます。さらに温度や圧力が上がると、それまでの鉱物が不安定になり、新しい条件に適した鉱物へ変わります。
産総研地質調査総合センターは、変成岩に含まれる鉱物の組み合わせから、その岩石が形成された温度・圧力条件を推定できると説明しています。
そのため、ざくろ石、藍閃石、紅柱石、珪線石など特定の鉱物は、変成条件を読む重要な手がかりになります。
流体も変成作用に関わる
地下の岩石には、水を主成分とする高温の流体が入り込むことがあります。
USGSは、変成作用が高温・高圧だけでなく、鉱物成分を含む高温流体によっても進むと説明しています。
流体があると、鉱物同士の化学反応が進みやすくなったり、物質が移動したりします。
そのため、同じ温度・圧力でも流体の有無や組成によって、形成される鉱物が異なる場合があります。
変成岩は、岩石が単に押されて硬くなったものではなく、地下で複雑な化学反応を経験した岩石でもあります。
変成岩は過去の地下環境を記録している
変成岩に含まれる鉱物や組織は、その岩石が経験した温度・圧力条件を記録しています。
たとえば特定の高圧鉱物が含まれていれば、その岩石がかつて地下深くまで運ばれた可能性があります。
また、接触変成岩が分布していれば、その近くに過去のマグマ活動があったと推定できる場合があります。
産総研地質調査総合センターは、変成岩の分布と年代から、過去のマグマ発生域や断層、プレート運動の環境を推定できると説明しています。
つまり変成岩は、地下深部で起きた地質現象を地表へ伝える記録です。
変成岩と火成岩はどうつながるのか
火成岩が地下で高温・高圧を受ければ、変成岩へ変わることがあります。
逆に、変成作用がさらに進んで岩石が部分的または完全に溶融すると、マグマができます。そのマグマが冷え固まれば火成岩になります。
USGSは、変成作用では岩石は基本的に溶けないものの、さらに高い温度で溶融すればマグマとなり、その後に火成岩へ移ると説明しています。
つまり火成岩と変成岩は別分類ですが、地球内部では一方から他方へ変わり得る関係にあります。
変成岩と堆積岩もつながっている
堆積岩も、地下深くへ埋没して高温・高圧を受ければ変成岩になります。
たとえば泥岩は、変成度が上がるにつれて粘板岩や片岩などへ変わることがあります。石灰岩は大理石へ、砂岩は石英岩へ変わることがあります。
反対に、変成岩が地表へ隆起して風化・侵食されれば、砂や泥などの堆積物になります。その堆積物が固まれば、新しい堆積岩になります。
このように、変成岩と堆積岩も岩石循環の中で互いにつながっています。
岩石循環の中で変成岩はどんな位置にあるのか
USGSは、火成岩・堆積岩・変成岩が長い時間をかけて相互に変化する仕組みを岩石循環として説明しています。
火成岩や堆積岩が地下へ運ばれ、高温・高圧を受ければ変成岩になります。変成岩がさらに加熱されて溶ければマグマとなり、冷却すれば火成岩になります。
一方、変成岩が地表へ出て風化・侵食されれば堆積物となり、堆積岩の材料になります。
つまり変成岩は、地球内部の高温・高圧過程と地表の岩石をつなぐ、岩石循環の重要な一段階です。
変成岩を見分けるときの基本ポイント
変成岩を観察するときは、次のような特徴が手がかりになります。
- 鉱物が平行に並ぶ片理があるか
- 明るい部分と暗い部分が縞状に分かれているか
- 再結晶して大きくなった鉱物が見えるか
- 原岩の構造が一部残っているか
- マグマ岩体の周囲に分布しているか
- ざくろ石など変成作用でできた特徴的な鉱物が含まれているか
ただし、変成度が低い岩石では原岩との境界がわかりにくい場合があり、見た目だけで正確に分類できないこともあります。専門的には薄片観察や鉱物分析、化学分析などを使います。
岩石と変成岩の関係をまとめると
- 変成岩は岩石の一種である
- 変成岩は、既存の岩石が高温・高圧・流体などの影響を受けてできる
- 変成岩になる前の岩石を原岩という
- 原岩には火成岩・堆積岩・既存の変成岩のいずれもなり得る
- 変成作用では岩石は基本的に溶けず、鉱物の再結晶や新鉱物形成が起こる
- マグマの熱でできる接触変成岩、広い地下深部でできる広域変成岩などがある
- 圧力によって片理や縞状構造が発達することがある
- 変成岩の鉱物組み合わせから過去の温度・圧力条件を推定できる
- さらに加熱して溶融すればマグマとなり、冷却後は火成岩になる
- 変成岩は岩石循環の中で火成岩・堆積岩と相互につながっている
つまり、岩石と変成岩が関係しているのは、変成岩が岩石という大きな分類の中に含まれ、既存の岩石が地下で高温・高圧などを受けてつくり変えられた岩石だからです。変成岩を調べると、もとの岩石だけでなく、その岩石がどれほど深く埋まり、どのような熱や圧力、プレート運動を経験したかを読み取ることができます。変成岩を理解することは、岩石の分類だけでなく、地球内部で岩石が変化し続ける仕組みを理解することにつながります。

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