結論からいうと、火成岩は、地下にある高温のマグマや地表に噴き出した溶岩が冷えて固まり、その中で鉱物の結晶ができることで成り立つ岩石です。どのような火成岩になるかは、もとのマグマの化学組成と、どこで・どれくらいの速さで冷えたかによって大きく変わります。
地下深くでゆっくり冷えると、鉱物の結晶が成長する時間が長いため、花こう岩やはんれい岩のように大きな結晶が目立つ深成岩になりやすくなります。反対に、地表やその近くで急に冷えると、結晶が十分に成長する時間がなく、玄武岩や流紋岩のように細かな結晶やガラス質を含む火山岩になりやすくなります。
火成岩とは、マグマが冷えて固まった岩石
岩石は、でき方によって大きく火成岩・堆積岩・変成岩に分けられます。そのうち火成岩は、溶けた岩石物質であるマグマが冷却・固化してできた岩石です。
産業技術総合研究所 地質調査総合センター(GSJ)は、火成岩のもとになるのはマグマであり、火成岩の多様性は主に「マグマの種類」と「冷え方」の違いによって生まれると説明しています。マグマの種類は岩石の組成に、冷え方は岩石の組織に反映されます。
つまり、火成岩を理解するには、何からできたかとどのように冷えたかの2点を見ることが重要です。
火成岩ができるまでの基本的な流れ
火成岩ができる仕組みは、次のように整理できます。
- 地下で岩石の一部が溶け、マグマが生じる。
- マグマが地下にとどまったり、地殻内を上昇したりする。
- マグマの温度が下がるにつれて、鉱物が結晶化し始める。
- さらに冷却が進み、残った液体部分も固まる。
- 結晶やガラス質が組み合わさった火成岩になる。
USGS(米国地質調査所)も、火成岩は高温の溶融した岩石が結晶化・固化することで形成されると説明しています。地表に噴出したマグマは一般に溶岩と呼ばれ、冷却後には火山岩をつくります。
なぜ冷え方で火成岩の見た目が変わるのか
火成岩の仕組みで特に重要なのが、冷却速度と結晶の大きさの関係です。
マグマの中では、温度が下がると鉱物の結晶が成長していきます。結晶が大きくなるには時間が必要です。そのため、ゆっくり冷えるほど結晶は大きくなりやすく、急速に冷えるほど小さな結晶になりやすくなります。
地下深くでゆっくり冷える場合
地下深くでは、周囲も比較的高温であるため、マグマは地表に比べてゆっくり冷えます。冷却に長い時間がかかることで、鉱物の結晶が大きく成長します。
このように地下でゆっくり固まった火成岩は深成岩と呼ばれます。代表例は花こう岩、閃緑岩、はんれい岩です。
GSJは、深成岩について、マグマが地下深くで固まり、ゆっくり冷えたため数mm程度の大きめの結晶を含む岩石と説明しています。個々の鉱物粒が肉眼でも見分けやすいのが特徴です。
地表付近で急速に冷える場合
マグマが火山噴火などによって地表へ出ると、周囲との温度差が大きいため急速に冷却されます。すると、鉱物の結晶が十分に大きくなる前に固まります。
このように地表やその近くで急速に固まった火成岩が火山岩です。代表例には玄武岩、安山岩、流紋岩があります。
USGSによると、地表で急速に冷えた火成岩では、結晶が小さくなったり、ほとんど結晶をつくらずガラス質になったりすることがあります。黒曜石のような火山ガラスは、非常に急速な冷却によって結晶が十分に成長できなかった例です。
火山岩の「斑状組織」はどうしてできるのか
火山岩を観察すると、細かな石基の中に大きな結晶が点々と入っていることがあります。このつくりを斑状組織と呼び、大きな結晶を斑晶、細かな部分を石基と呼びます。
この構造は、マグマが一度に同じ速さで冷えたのではなく、冷却の環境が途中で変わったことを示します。
まず地下のマグマだまりなどで比較的ゆっくり冷える間に、一部の鉱物が大きな結晶として成長します。その後、マグマが地表へ噴出すると急冷され、残った液体部分が細かな結晶やガラス質になります。その結果、大きな斑晶と細かな石基が同じ岩石の中に共存します。
GSJも、火山岩は急に冷えてできるため大部分が微細な結晶やガラスからなり、その中にマグマだまりで先に成長していた大きな結晶が散らばる斑状組織を示すと説明しています。
深成岩の「等粒状組織」はどうしてできるのか
深成岩では、火山岩のような細かな石基が目立たず、比較的同じくらいの大きさの結晶が組み合わさっていることが多くあります。このつくりを等粒状組織と呼びます。
地下深くで長い時間をかけて冷えると、マグマ全体で多くの鉱物がゆっくり成長できます。そのため、複数の鉱物が互いにかみ合うような結晶の集合体になります。
花こう岩をよく見ると、白やピンク色の長石、灰色がかった石英、黒い黒雲母などが粒として見えます。これらはマグマから結晶化した鉱物が集まったものです。
火成岩の種類は冷却速度だけでは決まらない
「ゆっくり冷えれば花こう岩、急に冷えれば玄武岩」と単純に覚えるのは正確ではありません。冷却速度は主に岩石の組織や結晶の大きさに影響し、火成岩の種類を決めるもう一つの重要な要素がマグマの組成です。
マグマに含まれるケイ酸成分や鉄、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどの割合によって、結晶化する鉱物の種類と量が変わります。
たとえば、石英や長石を多く含む珪長質のマグマからは、流紋岩や花こう岩ができます。一方、輝石やかんらん石などを多く含む苦鉄質のマグマからは、玄武岩やはんれい岩ができます。
このため、火山岩と深成岩には、組成が近い組み合わせがあります。流紋岩と花こう岩、安山岩と閃緑岩、玄武岩とはんれい岩は、それぞれ化学組成が近くても、冷え方が違うため組織が異なる代表的な組み合わせです。
マグマの中では鉱物が一斉にできるわけではない
マグマが冷えていくとき、すべての鉱物が同時に結晶化するわけではありません。温度や化学組成に応じて、安定して存在できる鉱物が変わるためです。
高温で結晶化しやすい鉱物が先にでき、その後、温度が下がるにつれて別の鉱物が結晶化します。その過程で、残っているマグマの化学組成も少しずつ変化します。
このような結晶化の進み方によって、同じ一つのマグマ系でも、場所や時期によって異なる組成の火成岩が生じる場合があります。火成岩に多くの種類があるのは、単純に冷える速さが違うだけでなく、マグマそのものが変化しながら固まるためでもあります。
マグマはどこから生まれるのか
火成岩の出発点であるマグマは、地球内部の岩石が条件の変化によって部分的に溶けることで生じます。
岩石は地下にあるから自動的に溶けるわけではありません。温度の上昇、圧力の低下、水などの成分の供給といった条件によって、岩石の一部が溶けやすくなります。
こうしたマグマの生成は、プレート境界やホットスポットなどと深く関係しています。USGSも、火成岩をつくる溶融物は活発なプレート境界やホットスポット付近など、地球内部で生じると説明しています。
生じたマグマは周囲の固体岩石より密度が小さい場合があり、割れ目などを通って上昇します。その途中で地下にとどまって固まることもあれば、火山として地表へ噴出することもあります。
火成岩に穴があいていることがあるのはなぜ?
一部の火山岩には、小さな穴がたくさん見られます。これはマグマに含まれていた水蒸気や二酸化炭素などの火山ガスと関係しています。
地下深くでは高い圧力のため、ガス成分がマグマの中に溶け込んでいることがあります。マグマが地表へ近づくと圧力が下がり、ガスが気泡として分離します。その状態で溶岩が急に固まると、気泡の跡が穴として残ります。
このような穴の多い組織を多孔質、穴そのものを気泡孔と呼びます。軽石やスコリアは、気泡を多く含む火山岩の代表例です。
火成岩の仕組みを知ると何がわかるのか
火成岩の組織や鉱物を調べると、その岩石がどのような環境でできたのかを推測できます。
大きな結晶が互いにかみ合っていれば、地下で比較的ゆっくり冷えた可能性があります。細かな石基の中に斑晶があれば、地下で結晶が成長した後に急速に冷えた可能性があります。ガラス質が多ければ、非常に速い冷却を経験したと考えられます。
このように火成岩は、固まった「石」であると同時に、過去のマグマの組成、冷却速度、噴火や地下での固化といった履歴を記録した材料でもあります。
まとめ
火成岩は、マグマや溶岩が冷えて固まり、その中で鉱物が結晶化することで成り立ちます。地下深くでゆっくり冷えれば結晶が大きくなりやすく、深成岩の等粒状組織ができます。地表付近で急速に冷えれば、結晶が小さくなったりガラス質になったりし、火山岩ができます。
ただし、火成岩の種類は冷却速度だけでは決まりません。もとのマグマの化学組成によって、できる鉱物の種類と割合も変わります。つまり火成岩の姿は、マグマの組成と冷却の履歴が組み合わさってできた結果です。
火成岩の結晶の大きさ、鉱物の種類、斑状組織や等粒状組織などを観察すると、岩石が地球内部や火山でどのように生まれたのかを読み解くことができます。

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