結論からいうと、堆積岩は、岩石のかけらや鉱物、生物の遺骸、化学的に沈殿した物質などが地表で堆積し、それらが埋没して圧密・セメント作用などの続成作用を受け、固まることで成り立つ岩石です。
つまり、堆積岩は「砂や泥がたまっただけ」のものではありません。もとの岩石が風化・侵食されて粒になり、それが運ばれて堆積し、さらに上から積み重なる堆積物の重みや地下水中の成分の働きによって、長い時間をかけて岩石へ変わっていきます。
堆積岩とは、堆積物が固まってできた岩石
産業技術総合研究所 地質調査総合センター(GSJ)は、堆積岩を、堆積物が続成作用を受けて固結した岩石と説明しています。堆積物とは、岩石片や鉱物、生物遺骸、火山噴出物などが水・風・氷河などによって運ばれ、ある場所に積み重なったものです。
川原の砂や海底の泥は、堆積した直後にはまだばらばらで、岩石とは呼べません。しかし、その上に新しい堆積物が重なり、地下へ埋もれていくと、粒子同士が押しつけられたり、粒の間に鉱物が沈殿したりして、次第に固い岩石へ変わります。
この「未固結の堆積物が固い岩石へ変わる過程」を理解することが、堆積岩の仕組みを理解する中心です。
堆積岩ができるまでの基本的な流れ
砕屑性の堆積岩を例にすると、できるまでの流れはおおむね次のように整理できます。
- もとの岩石が風化して細かくなる。
- 雨、川、波、風、氷河などによって削られ、運ばれる。
- 流れが弱くなった場所などで粒子が堆積する。
- 新しい堆積物が上に重なり、下の堆積物が埋没する。
- 重みで粒子のすき間が小さくなる圧密が進む。
- 地下水中の鉱物成分などが粒子の間に沈殿し、粒を結びつける。
- 続成作用が進み、砂岩・泥岩・礫岩などの堆積岩になる。
USGS(米国地質調査所)も、砕屑性堆積岩について、既存の岩石片が風化でゆるみ、運搬・堆積された後、深く埋没すると圧密とセメント作用を受けて岩石になると説明しています。
最初の段階は「風化」で岩石が細かくなること
多くの堆積岩の材料は、すでに存在していた岩石です。山や崖にある岩石は、雨水、温度変化、凍結、酸化、生物の働きなどによって少しずつ風化します。
物理的風化では、岩石が割れたり砕けたりして礫・砂・泥の粒になります。化学的風化では、鉱物が溶けたり別の鉱物へ変化したりします。
こうして生じた粒子が、堆積岩の原料になります。ただし、すべての堆積岩が岩石片だけからできるわけではなく、後で説明するように、生物の殻や化学的な沈殿物が材料になる場合もあります。
なぜ粒子は水や風で運ばれるのか
風化で生じた粒子は、重力や水の流れ、風、氷河などによって移動します。特に地球表面では、河川が重要な運搬役を担います。
GSJは、河川が運べる粒子の大きさは流れの強さと関係すると説明しています。山地の速い流れでは礫や砂のような大きな粒も運べますが、流れが弱くなると大きな粒は運べなくなり、より細かな砂や泥が中心になります。
そのため、堆積する場所によって粒子の大きさが変わります。山麓の扇状地では礫や粗い砂が多く、川の下流や海岸では砂が増え、沖合や深海では細かな泥がたまりやすくなります。
「堆積」は、運ぶ力が弱くなったときに起こる
粒子を運んでいた水や風の力が弱くなると、粒子はその場に落ちて積もります。これが堆積です。
川では流速が落ちる場所、湖や海では水の流れが比較的静かな場所に堆積物がたまります。一般に、大きく重い粒子ほど先に沈み、細かな粒子ほど遠くまで運ばれやすくなります。
堆積が繰り返されると、粒子は層状に重なります。この層が地層です。堆積岩に層理がよく見られるのは、異なる時期に運ばれてきた堆積物が次々と積み重なるためです。
堆積物は、たまっただけでは岩石にならない
砂浜の砂や川底の泥は、堆積物ではありますが、手ですくえばばらばらになります。つまり、堆積しただけではまだ堆積岩ではありません。
岩石になるには、堆積物が地下に埋没し、固結していく必要があります。この固結に関わる代表的な作用が圧密とセメント作用です。
圧密とは、堆積物のすき間が押し縮められること
堆積物が次々と上に重なると、下にある堆積物には大きな荷重がかかります。その結果、粒子同士が押しつけられ、粒子の間にあった水が抜け、空隙が小さくなります。これが圧密です。
泥のように細かな粒子からなる堆積物では、圧密による体積の減少が特に大きくなることがあります。J-STAGEに掲載された泥質堆積物の研究でも、埋没が進むにつれて、上載荷重による圧密や溶解などによって固化が進むことが示されています。
圧密が進むと、粒子同士の距離が近づき、堆積物は次第に硬くなります。ただし、圧密だけでは粒子が完全に強く結びつくとは限りません。
セメント作用とは、粒子の間を鉱物が埋めて固めること
地下の堆積物には地下水がしみ込んでいます。その水には、カルシウム、ケイ素、鉄などの成分が溶けていることがあります。
地下水の温度や化学状態が変わると、これらの成分が鉱物として粒子の間に沈殿します。沈殿した鉱物が、接着剤のように砂粒や礫を結びつけます。これがセメント作用です。
砂岩では、石英や方解石、鉄酸化物などがセメント物質になることがあります。粒子同士の結びつきが強くなることで、ばらばらだった砂が固い砂岩へ変わります。
USGSも、堆積物が埋没すると水分が失われ、セメント化されて岩石になると説明しています。堆積岩の強さや空隙の多さは、どの程度圧密・セメント化されたかによって大きく変わります。
圧密やセメント作用などをまとめて「続成作用」という
堆積物が堆積した後、岩石へ変わっていく間には、圧密やセメント作用だけでなく、鉱物の溶解、再結晶、鉱物の変化なども起こります。
これら、堆積後に比較的低温・低圧の条件で堆積物が変化し、固結した岩石になっていく一連の作用を続成作用と呼びます。
GSJの用語解説でも、堆積岩は「堆積物が続成作用を受け固結した岩石」と定義されています。つまり、堆積岩は堆積の瞬間に完成するのではなく、埋没後の変化まで含めて初めて成立します。
砂岩・泥岩・礫岩は何が違うのか
砕屑性堆積岩は、主に構成粒子の大きさによって区別されます。
- 礫岩:直径2mmより大きい礫を多く含む。
- 砂岩:主に砂サイズの粒子からなる。
- 泥岩:主にシルトや粘土など細かな粒子からなる。
USGSも、砕屑性堆積岩は粒の大きさによって分類され、粘土、シルト、砂、礫などの粒径の違いが岩石名に反映されると説明しています。
この違いは、もとの岩石の違いだけでなく、粒子がどれだけ遠くまで運ばれたか、どれほど強い流れの場所で堆積したかを考える手がかりにもなります。
石灰岩のように、生物からできる堆積岩もある
堆積岩は、砕けた岩石片だけからできるわけではありません。生物の殻や骨格などが集まってできる堆積岩もあります。
たとえば石灰岩の多くは、サンゴ、貝、石灰質の微生物など、生物がつくった炭酸カルシウムを主な材料としています。生物遺骸が海底にたまり、埋没・固結することで岩石になります。
USGSも、生物起源の堆積岩について、生物の遺骸が大量に蓄積することで形成されるものがあり、石灰岩はその代表例の一つと説明しています。
水の中で鉱物が沈殿してできる堆積岩もある
水に溶けていた成分が化学反応によって沈殿し、それが積み重なって堆積岩になる場合もあります。
たとえば、炭酸カルシウムが水から直接沈殿して石灰質の堆積物をつくることがあります。また、蒸発の強い環境では、水に溶けていた塩類が結晶として析出し、岩塩や石こうなどの蒸発岩をつくります。
このような堆積岩は「化学的堆積岩」と呼ばれます。つまり、堆積岩の材料は、岩石片、生物遺骸、化学沈殿物など多様です。
なぜ堆積岩には地層や化石が多いのか
堆積岩には、火成岩や変成岩には見られにくい特徴があります。その代表が地層と化石です。
堆積物は地表で順番に積み重なるため、堆積岩には層状の構造が残りやすくなります。一般には、下の層ほど古く、その上に新しい層が重なります。
また、堆積は地表付近の比較的低い温度・圧力で進むため、生物の殻、骨、葉、足跡などが堆積物の中に保存されることがあります。それが長い時間をかけて化石になります。
このため、堆積岩は過去の環境や生物の歴史を調べる重要な記録でもあります。
堆積岩の仕組みを知ると、昔の環境がわかる
堆積岩を調べると、その岩石ができた当時の環境を推測できます。
粗い礫が多い礫岩なら、強い流れがあった可能性があります。細かな泥岩なら、比較的静かな湖底や海底などで堆積した可能性があります。砂岩に斜交層理が見られれば、川や風などの流れの方向を読み取れることがあります。
化石、粒子の大きさ、地層の形、堆積構造を組み合わせることで、かつてその場所に川があったのか、浅い海だったのか、深い海だったのかなどを考えることができます。
まとめ
堆積岩は、岩石片・鉱物・生物遺骸・化学沈殿物などが地表で堆積し、その後、埋没して圧密・セメント作用などの続成作用を受けることで固まり、岩石になる仕組みで成り立っています。
砕屑性堆積岩では、風化→侵食・運搬→堆積→埋没→圧密→セメント作用という流れが基本です。砂岩、泥岩、礫岩の違いは主に粒子の大きさを反映し、石灰岩などには生物起源や化学的沈殿を起源とするものもあります。
つまり堆積岩は、地表で起こる水や風の働きと、地下で進む固結作用がつながってできる岩石です。その地層や化石、粒子の特徴には、過去の地球環境の記録が残されています。

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