なぜ同じ量の雪が降っても積雪の深さは同じにならないのか?

雪がたくさん降れば、その分だけ地面の雪も同じ割合で深くなるように思えます。しかし実際には、同じくらい雪が降っても、積雪の深さは場所や時間によって大きく変わります。

結論からいうと、積雪の深さは「新しく降った雪の量」だけでなく、雪が自重で沈み込むこと、気温や日射で融けること、雪質によって同じ重さでも体積が違うことなどが同時に影響するからです。

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「降雪」と「積雪」は同じ意味ではない

気象庁では、「積雪の深さ」を自然に降り積もって地面をおおっている雪などの固形降水の深さとしています。一方、「降雪の深さ」は、ある時間内に新たに地表へ降り積もった雪などの深さです。

つまり、降雪は「新しく増えた分」、積雪は「その時点で地面に残っている全体の深さ」と考えると分かりやすいでしょう。

新しく雪が降っても、古い雪が沈み込む

積もったばかりの雪には多くのすき間があり、ふわふわしています。しかし時間がたつと、上に積もった雪の重みで下の雪が押しつぶされ、すき間が小さくなります。

そのため、新しい雪が降り足されても、同時に古い雪が沈み込めば、積雪深の増加は降った雪の深さより小さくなることがあります。

気象庁の解析積雪深でも、新たに積もる雪の量だけでなく、時間の経過による積雪の沈み込みを計算に含めています。

気温が高いと降ったそばから雪が融ける

地上気温や地面の温度が高いと、降った雪の一部は積もる前や積もった直後から融けます。そのため、降雪量が多くても積雪深があまり増えない場合があります。

逆に、気温が低く地面も十分に冷えていれば、降った雪が融けにくく、そのまま積雪として残りやすくなります。

雪が雨になったり雪のまま届いたりする条件については、なぜ気温によって雪になったり雨になったりするのか?で詳しく解説しています。

日射や地面からの熱でも雪は減る

雪が降っていない時間でも、日射や暖かい空気、地面から伝わる熱によって雪は融けます。このため、日中に雪が降っても、日射が強かったり地面が暖かかったりすると、積雪深の増加は小さくなることがあります。

気象庁の積雪変質モデルでも、降水量や気温に加えて日射量などを使い、新しく積もる雪と融ける雪の両方を計算しています。

雪質によって同じ重さでも深さが違う

雪には、軽くて空気を多く含む雪もあれば、水分を多く含んだ重い雪もあります。同じ重さの雪でも、軽くふわふわした雪は体積が大きくなりやすく、湿った雪は密度が高いため、同じ重さでも積雪の深さは小さくなりやすいです。

このため、「降った水分量が同じ」でも、雪質が違えば積雪深は同じにはなりません。

軽く乾いた粉雪については、なぜ雪と粉雪は関係しているのか?で詳しく扱います。

湿った雪は積もったあとも沈みやすい

水分を多く含んだ雪は重く、積もったあとに圧縮されやすくなります。また、気温が0℃に近い環境では融解と再凍結が起こりやすく、雪の粒同士がまとまって密度が高くなることがあります。

そのため、降った直後にはある程度の深さがあっても、時間がたつと積雪深が減ることがあります。

湿った雪の特徴については、なぜ雪と湿雪は関係しているのか?で解説します。

風が強いと雪は別の場所へ移動する

雪は地面に落ちたあとも、風によって吹き飛ばされることがあります。ある場所では雪が削られ、別の場所では吹きだまりとして深く積もります。

このため、同じ地域で同じ量の雪が降っていても、風の当たり方によって地点ごとの積雪深には大きな差が生まれます。

風で雪が舞い上がる吹雪については、なぜ雪と吹雪は関係しているのか?で扱います。

降雪量の合計と最深積雪が一致しないのはなぜか

一冬に降った雪の深さをすべて足した「累積降雪量」は、同じ時期の最深積雪より大きくなるのが普通です。

これは、雪が降るたびにそのまま積み重なり続けるのではなく、途中で沈み込み、融け、風で移動するからです。札幌管区気象台も、積雪は時間とともに重みで沈んだり融けたりするため、積雪の深さと累積降雪量には差が出ると説明しています。

積雪深はどのように観測するのか

気象庁では、積雪の深さを積雪計などで観測しています。積雪計は地面から一定の高さに設置され、雪面までの距離を測ることで積雪深を求めます。

積雪深は「地面を覆っている雪の厚さ」を示す値なので、その中にどれだけ水分が含まれているかや、過去にどれだけ雪が降ったかを直接表す値ではありません。

積雪深だけでは雪の重さは分からない

積雪が50cmあると聞いても、その雪が軽い粉雪なのか、締まった重い雪なのかによって、雪の重さは大きく違います。

屋根雪や樹木への負荷を考えるときは、深さだけでなく雪の密度や水分量も重要です。そのため、防災では積雪深だけでなく、雪質や気温の変化にも注意する必要があります。

降雪が止んでも積雪深は変わり続ける

雪が止んだあとも、積雪はそのまま一定ではありません。自重による圧密、融解、再凍結、風による移動などが続くため、積雪深は時間とともに増減します。

つまり積雪は、降った雪をそのまま保存した「記録」ではなく、降雪と融雪、沈み込み、移動の結果として常に変化する雪の層です。

まとめ

同じ量の雪が降っても積雪の深さが同じにならないのは、積雪深が新しい降雪だけで決まる値ではないからです。

降った雪は、時間とともに自重で沈み、気温や日射によって融け、風で移動します。さらに、粉雪と湿雪では密度が違うため、同じ重さの雪でも積雪の深さが変わります。

そのため、雪の多さを考えるときは、「どれだけ降ったか」と「今どれだけ積もっているか」を分けて考えることが重要です。

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参考資料

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