冬の窓を見ると、ガラスの中央は乾いているのに、端の方やサッシだけに水滴が付いていることがあります。
これは、窓のどの場所でも同じ温度になるわけではないからです。結論から言うと、窓の端部やサッシは、中央のガラスより熱が外へ逃げやすく、室内側の表面温度が低くなりやすいため、露点温度を下回って結露しやすくなります。
特に、アルミのように熱を伝えやすい材料、複層ガラスの端にあるスペーサー、窓枠と壁の接合部などは、熱の通り道になりやすい場所です。この局所的な熱の通り道は「熱橋」と呼ばれます。
結露するかどうかは表面温度と露点の比較で決まる
結露は、室内の空気が冷たい表面に触れ、その表面近くで露点温度まで冷やされると起こります。
たとえば室温と湿度から決まる露点温度が10℃だとします。ガラス中央の室内側表面が13℃なら結露しませんが、窓端部が9℃まで冷えていれば、そこだけ結露します。
つまり同じ窓でも、表面温度が場所ごとに違えば、結露する場所も違います。
日本建築学会系の研究でも、窓などの防露性能は、各部の表面温度と室内露点温度を比較して評価されています。
なぜガラス中央は比較的温度が下がりにくいの?
複層ガラスでは、2枚以上のガラスの間に空気やアルゴンなどの気体層があります。
気体層はガラスや金属より熱を伝えにくいため、室内の熱が外へ逃げるのを抑えます。その結果、ガラス中央部の室内側表面温度は、単板ガラスより高く保ちやすくなります。
さらにLow-Eガラスでは、放射による熱の移動も抑えられます。
ただし、この断熱効果は窓全体で完全に均一ではありません。ガラスの端には、ガラス同士の間隔を保つスペーサーやシール材があり、中央部とは熱の流れ方が変わります。
なぜ複層ガラスの端は中央より冷えやすいの?
複層ガラスの周囲には、2枚のガラスを一定間隔に保つスペーサーがあります。
スペーサーには金属など熱を伝えやすい材料が使われる場合があり、ガラス中央の断熱層を横切るような熱の経路になります。
そのため、室内側の熱が窓端部から外へ逃げやすくなり、中央より表面温度が低くなることがあります。
米国エネルギー省は、暖辺スペーサーは窓全体の熱貫流率を下げるだけでなく、窓端部の結露を減らすために設計されていると説明しています。
つまり、ガラス中央と端部で結露しやすさが違うのは、端部に特有の熱の通り道があるためです。
なぜサッシはさらに結露しやすいことがあるの?
サッシの材料によって熱の伝わりやすさが大きく違うからです。
国土技術政策総合研究所は、アルミは樹脂に比べて熱を非常に伝えやすく、室内外の温湿度条件によっては結露が発生すると説明しています。
冬に外気温が低いと、アルミサッシは室内の熱を外へ伝えやすく、室内側表面も冷えやすくなります。
ガラス中央が露点より高くても、サッシ部分だけが露点を下回れば、サッシだけに水滴が付くことがあります。
アルミと樹脂ではなぜ結露しやすさが違うの?
アルミは熱伝導率が高く、樹脂は比較的熱を伝えにくい材料です。
そのため同じ外気温・室温でも、アルミサッシの室内側表面は外気の冷たさの影響を受けやすくなります。
樹脂サッシでは熱の流れが抑えられるため、室内側表面温度を高く保ちやすく、結露の危険を減らせます。
ただし、樹脂サッシなら絶対に結露しないわけではありません。室内湿度が非常に高かったり、外気温が極端に低かったりすれば、樹脂部分でも露点を下回ることがあります。
窓枠と壁の接合部も冷えやすい
窓はガラスとサッシだけでなく、壁に取り付けられています。
窓枠まわりでは、断熱材が連続しにくかったり、構造材や金具が熱を通したりする場合があります。
このような場所では、壁の中央部より熱が外へ逃げやすくなり、局所的に表面温度が低くなることがあります。
建築分野では、このように断熱層を横切って熱が流れやすくなる部分を熱橋と呼びます。熱橋があると、室内側表面に低温部分ができ、結露の起点になることがあります。
なぜ窓の下側に水滴が集まりやすいことがあるの?
冷たい窓面に接した空気は温度が下がると密度が高くなり、下向きに流れます。
そのため窓の下部では冷たい空気が集まりやすく、場所によっては表面付近の温度が低くなることがあります。
また、すでにできた小さな水滴が重力で下へ移動し、下枠付近へたまることもあります。
国土技術政策総合研究所の断熱外皮に関する検討でも、条件によってはサッシ最下部の表面温度が最も低くなり、結露危険性の評価点として扱われています。
カーテンを閉めると窓が結露しやすくなることがあるのはなぜ?
カーテンは室内の暖かい空気と窓の間の空気移動を弱めます。
すると窓表面へ室内の熱が届きにくくなり、窓の室内側表面温度が下がることがあります。
その一方で、カーテンのすき間から湿った室内空気は入り込むことがあります。
この結果、窓表面だけが冷えた状態になり、露点を下回りやすくなることがあります。
ただしカーテンの効果は窓の構造や設置状態によって異なり、すべての場合に結露を増やすとは限りません。
同じ窓でも日によって結露する場所が違うのはなぜ?
露点温度と表面温度の両方が毎日変わるからです。
室内の人数、調理、入浴、洗濯物、加湿器などで水蒸気量が増えれば露点温度は上がります。
一方、外気温が低い日、風が強い日、夜間の放射冷却が強い日などは窓表面がより冷えます。
そのため、ある日はサッシだけが結露し、別の日にはガラス端部まで結露し、さらに厳しい条件では中央部にも広がることがあります。
二重窓にすると結露が減るのはなぜ?
二重窓では、外窓と内窓の間に空気層ができ、室内から外への熱の流れが小さくなります。
その結果、室内側にある内窓の表面温度を高く保ちやすくなり、露点を下回りにくくなります。
ただし、二重窓の間へ室内の湿った空気が大量に入り込み、外窓側が冷えていると、中間層で結露する場合もあります。
したがって、窓を二重にすればどの場所でも必ず無結露になるわけではありません。
暖辺スペーサーは何を変えているの?
暖辺スペーサーは、複層ガラスの端部で熱が逃げにくくなるよう工夫された部材です。
従来型の熱を伝えやすいスペーサーより、熱伝導の小さい材料や構造を使うことで、ガラス端部の室内側表面温度を高く保ちやすくします。
米国エネルギー省は、暖辺スペーサーが窓のU値を改善し、端部の結露を減らすために使われると説明しています。
これは、結露対策が「湿度を下げる」だけでなく、結露しやすい場所の表面温度を上げる方法でも可能であることを示しています。
窓の結露対策はどこを見ればいい?
結露を減らすには、部屋全体の湿度だけでなく、最も冷える部分を見つけることが重要です。
- ガラス中央ではなく端部だけ濡れていないか
- アルミサッシだけ水滴が付いていないか
- 窓の下枠や四隅が特に冷えていないか
- 窓枠と壁の境目に低温部がないか
- カーテンや家具で空気の流れを妨げていないか
表面温度計や赤外線カメラを使うと、局所的に冷たい場所を見つけやすくなります。
同じ室温・湿度でも窓によって結露量が違う理由
窓ごとにガラスの種類、サッシ材料、スペーサー、気密性、方位、外気へのさらされ方が違うためです。
北側の窓は日射を受けにくく、南側より表面温度が低い場合があります。風当たりの強い窓は外側の熱が奪われやすくなることがあります。
さらに、同じ複層ガラスでもサッシやスペーサーの構造が違えば、端部温度は変わります。
このため、窓の結露性能はガラスの枚数だけでなく、窓全体の設計で考える必要があります。
結露しやすさを比較するときのポイント
- 室内の露点温度が何℃か
- ガラス中央の表面温度は何℃か
- ガラス端部やサッシの表面温度は何℃か
- サッシがアルミか樹脂か
- 複層ガラスのスペーサーの断熱性
- 窓枠まわりに熱橋がないか
- 外気温や風、日射条件がどう違うか
このように見ると、「部屋の湿度が同じなのに、なぜ窓の一部だけ結露するのか」が理解しやすくなります。
まとめ
窓の中央より端部やサッシに結露しやすいのは、窓の端部やサッシでは熱が外へ逃げやすく、室内側表面温度が中央ガラスより低くなりやすいからです。
複層ガラスの端部にはスペーサーがあり、サッシにはアルミなど熱を伝えやすい材料が使われることがあります。さらに窓枠と壁の接合部では熱橋ができる場合があります。
その結果、同じ室温・湿度でも、中央ガラスは露点より高いままなのに、端部やサッシだけが露点を下回り、局所的に結露します。
結露を考えるときは、部屋全体の湿度だけを見るのではなく、窓のどこが最も冷えているかを見ることが重要です。

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