なぜLED照明は、温度や電流で明るさ・効率・光の色が変わるのか?

LED照明は、スイッチを入れればいつでも同じ光が出るように見えます。しかし実際には、周囲の温度、LED内部の温度、流す電流、放熱の状態、調光や調色の設定などによって、明るさや効率、光の色は少しずつ変わります。

なぜLED照明は、温度や電流で明るさ・効率・光の色が変わるのでしょうか。結論からいうと、LEDは半導体の中で電子のエネルギーを光へ変える素子であり、その変換効率や発光波長が温度や電流密度の影響を受けるからです。さらに実際の照明器具では、LEDチップだけでなく、蛍光体、電源回路、放熱部品、レンズなども光の状態を左右します。

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LEDは「電気を流せば一定の光が出る部品」ではない

LEDはLight Emitting Diodeの略で、日本語では発光ダイオードと呼ばれます。半導体の中へ電流を流すと、電子と正孔が再結合し、そのときのエネルギーの一部が光として放出されます。

この仕組みでは、電気エネルギーのすべてが光になるわけではありません。一部は熱になります。また、半導体内部で光にならずに失われるエネルギーもあります。

そのため、LEDの性能を見るときは、「何Wの電力を使うか」だけでなく、「その電力から何lmの光を出せるか」という効率が重要です。資源エネルギー庁も、LED照明器具の固有エネルギー消費効率を、定格光束を定格消費電力で割ったlm/Wで評価しています。

温度が上がると、同じ電流でも光が少なくなることがある

LEDは点灯中に熱を発生します。見た目には白熱電球ほど熱く感じなくても、LEDチップの内部では温度が上がっています。

米国エネルギー省のLED研究資料では、LEDの接合部温度が高くなると光出力と発光効率が低下する「thermal droop(熱による効率低下)」が起こることが示されています。実際の照明器具では、周囲温度よりLED内部の接合部温度の方が高くなるため、放熱設計が性能を左右します。

これは、温度が高くなると半導体内部で、電子のエネルギーが光ではなく熱として失われる割合が増えるためです。つまり、同じ電流を流しても、すべての条件で同じ光束が得られるわけではありません。

「周囲温度」と「LED内部の温度」は同じではない

部屋の温度が25℃でも、点灯中のLEDチップ内部が25℃とは限りません。LEDチップで発生した熱は、基板、金属部品、ヒートシンク、器具の外装などを通って周囲へ逃げます。

放熱しやすい器具なら内部温度の上昇を抑えられますが、密閉された器具や熱の逃げにくい場所では温度が高くなりやすくなります。

環境省も、断熱材があるダウンライトなどで熱の逃げ場が少ない場合、器具内部の温度が上がり、LEDの発光効率低下や寿命短縮につながるため、対応製品を使うよう案内しています。

したがって、LED照明では「室温が低いから問題ない」とは限らず、器具内部で熱を逃がせる構造になっているかが重要です。

LEDは白熱電球より低温に強いが、高温では条件が変わる

LEDは、蛍光灯などと比べて低温環境でも光束が低下しにくい特徴があります。日本照明工業会も、白色LEDは既存光源に比べて周囲温度による相対光束の変化が少なく、低温でも使いやすいことを紹介しています。

このため、冷蔵・冷凍設備や寒冷地ではLEDが使いやすい場合があります。

一方で、高温側ではLED内部の発光効率が低下しやすくなります。高温環境で使う場合は、器具の使用温度範囲や放熱条件を確認する必要があります。

電流を増やすと明るくなるが、効率は同じ割合では増えない

LEDは一般に、流す電流を増やすと光出力も増えます。そのため、より明るい照明を作るには、LEDへ大きな電流を流す方法が考えられます。

しかし、電流を2倍にしたからといって、効率を保ったまま光が完全に2倍になるとは限りません。LEDでは電流密度が高くなると、発光効率が低下する「current droop(電流による効率低下)」が起こります。

米国エネルギー省の研究計画でも、LEDを高い電流密度で動作させると効率が低下し、低い電流密度で複数のLEDを使う方が高い効率を得やすい場合があると説明されています。

つまり、LED照明の設計では「一つのLEDを強く光らせるか」「複数のLEDを比較的低い電流で使うか」という選択も、明るさと効率のバランスに関係します。

電流を増やすと発熱も増え、温度の影響が重なる

電流を増やすと、LEDが使う電力も増えます。光として外へ出なかったエネルギーは主に熱になるため、大電流で駆動すると発熱量も増えます。

すると、「電流が大きいため効率が下がる」という影響に加えて、「発熱によって接合部温度が上がり、さらに効率が下がる」という二つの影響が重なることがあります。

このため、高出力LED照明では、LEDチップだけでなくヒートシンクや基板、器具全体の放熱設計が重要です。

調光するときも、LEDへ流す電流の状態が変わる

LED照明の明るさを変える方法には、流す電流を小さくする方法や、高速で点灯と消灯を繰り返して平均的な光量を変えるPWM制御などがあります。

電流値そのものを変える方式では、LEDが動作する電流密度が変わるため、効率や色の状態もわずかに変化することがあります。PWMでは点灯中の電流をほぼ一定に保ち、点灯している時間の割合を変えて平均の明るさを調節します。

このように、同じ「50%の明るさ」という設定でも、器具内部でどのようにLEDを駆動しているかは製品によって異なります。

白色LEDは、青色LEDと蛍光体を組み合わせているものが多い

家庭やオフィスで使われる白色LEDの多くは、青色LEDの光の一部を蛍光体へ当て、青色とは異なる波長の光へ変換し、それらを混ぜて白く見せています。

そのため、白色LEDの光はLEDチップだけで決まるのではなく、蛍光体の性質や、青色光と変換された光の割合にも左右されます。

温度や電流が変わると、LEDチップの発光波長や光出力、蛍光体の変換状態がわずかに変わることがあります。その結果、色度や色温度が少し動く場合があります。

調色LEDは、複数のLEDを混ぜて光の色を意図的に変える

最近の照明では、昼白色から電球色まで色温度を変えられる調色機能が使われています。このような器具では、色の異なるLEDを複数搭載し、それぞれの出力を変えて光を混ぜる方式があります。

たとえば高い色温度のLEDと低い色温度のLEDを組み合わせ、両者の明るさの比率を変えることで、白い光から暖かい光まで連続的に変化させます。

米国DOEは、LEDの調色製品には、暗くすると暖色へ変わるdim-to-warmや、色温度と明るさを別々に調整できる方式などがあると説明しています。

この場合、光の色が変わるのは劣化や異常ではなく、異なるLEDの出力を制御して意図的に変えているためです。

色温度や演色性を変えると、効率とのバランスも変わる

LED照明では、光の色や色の見え方を整えるために、蛍光体や複数のLEDを組み合わせます。しかし、電気から光への変換過程が増えると、その途中でエネルギー損失も生じます。

そのため、同じ技術世代のLEDでも、色温度や演色性、調色機能の違いによってlm/Wが同じとは限りません。

米国DOEも、器具全体の効率はLED素子だけでなく、電源、光学部品、色を作るための構成などによって変わると説明しています。

つまり、「最も効率が高いLED」と「最も好みの色や高い演色性を持つLED」が必ず同じ製品になるわけではありません。

LED照明を安定した条件で使うためのポイント

  • 密閉器具や断熱材施工器具では、対応製品か確認する
  • 高温になりやすい場所では、使用温度範囲を確認する
  • 放熱部を覆ったり、指定外の器具へ無理に取り付けたりしない
  • 調光器を使う場合は、調光対応LEDと適合する組み合わせを使う
  • 明るさだけでなく、lm/W、色温度、演色性なども用途に合わせて選ぶ
  • 同じLEDでも、器具全体の設計によって性能が異なることを理解する

「LEDだから一定」ではなく、条件を含めて性能を見る

LEDは高効率で長寿命な光源ですが、その性能が完全に固定されているわけではありません。温度が上がれば発光効率が低下することがあり、電流を増やせば明るくなる一方で効率が下がる場合があります。

また、放熱状態によってLED内部の温度が変わり、調光や調色ではLEDへ流れる電流や複数のLEDの出力比が変化します。そのため、明るさ、効率、色の状態も条件によって変わります。

LED照明を比較するときは、「LEDかどうか」だけで判断せず、どの温度条件・電流条件・器具構造・制御方法で使われるかまで含めて見ることが重要です。

まとめ

LED照明の明るさ・効率・光の色が条件によって変わるのは、LEDが温度や電流に反応する半導体だからです。

接合部温度が上がると光出力や効率が低下しやすくなり、電流密度を高くするとcurrent droopによって効率が下がることがあります。さらに、電流を増やすと発熱も増えるため、放熱設計が重要になります。

白色LEDでは、LEDチップと蛍光体の組み合わせが光の色を作り、調色照明では複数のLEDの出力を変えることで意図的に色温度を変えます。つまり、LEDの性能は光源単体だけでなく、温度、電流、放熱、電源回路、光学部品、制御方法まで含めた照明器具全体の条件で決まります。

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