照明には、電球色のような暖かい光、昼白色のような白っぽい光、さらに青みを感じる高い色温度の光があります。最近では、同じLED照明器具でもリモコンやアプリで光の色を変えられる製品が増えています。
なぜ照明の色温度は、光源や調光・調色の条件で変わるのでしょうか。結論からいうと、色温度は光に含まれる波長成分のバランスで決まり、光源の発光原理、LEDと蛍光体の組み合わせ、複数色LEDの出力比、調光方式、温度や経年変化などによって、そのバランスが変わるからです。
色温度は「光の暖かさ・冷たさ」を表す指標
色温度は、白い光の見え方をケルビン(K)で表す指標です。数値が低いほど赤みや黄みを感じる暖かい光になり、数値が高いほど白色から青みのある光に見えます。
パナソニックの照明基礎資料でも、色温度は空間のイメージを決める重要な要素として説明されています。一般に、低い色温度は落ち着いた印象、高い色温度はすっきりした印象を与えやすく、住宅・店舗・オフィスなどで使い分けられています。
ただし、色温度は単純に「赤い光か青い光か」を表す数字ではありません。白色光の色度を、黒体放射の色の変化と対応させて表した相関色温度が、照明製品では広く使われています。
固定色の照明では、色温度は基本的に設計時に決まる
一般的な固定色のLED電球やLED照明器具では、電球色、温白色、白色、昼白色など、製品ごとに目標とする色温度が決められています。
白色LEDの多くは、青色LEDの光の一部を蛍光体へ当て、青色光と蛍光体が作る長い波長の光を混ぜて白色に見せています。どのようなLEDチップと蛍光体を使い、どの割合で光を混ぜるかによって、2700K、3000K、4000K、5000Kなどの色温度が作られます。
そのため、同じ「LED照明」でも、製品によって色温度は異なります。LEDという方式そのものが色温度を一つに決めているわけではありません。
白熱電球は暗くすると色温度が下がりやすい
白熱電球は、フィラメントを高温にして光を出します。電力を下げて調光するとフィラメントの温度も下がるため、光の色は白っぽい状態から、より赤みや黄みを帯びた暖かい色へ変化します。
つまり白熱電球では、明るさと色温度が物理的に結びついています。暗くすると色温度も下がるため、夕方のような暖かい雰囲気になります。
この性質は、LEDのdim-to-warmと呼ばれる調色方式でも再現されています。
dim-to-warm LEDは、暗くすると暖色へ変わるように制御する
米国エネルギー省は、LEDの色可変方式の一つとしてdim-to-warmを紹介しています。これは、明るさを下げると同時に色温度も下げ、白熱電球やハロゲンランプを調光したときのような見え方を再現する方式です。
たとえば全点灯時は3000K程度でも、暗くすると2000K前後の暖かい光へ変化する製品があります。
この方式では、明るさと色温度が連動しています。そのため、ホテル、飲食店、住宅のリビングなど、暗くしたときに落ち着いた雰囲気を作りたい空間に向きます。
一方で、「明るさだけ下げたいが色は変えたくない」という用途には向かない場合があります。
調色LEDは、異なる色温度のLEDを混ぜて光の色を変える
色温度を自由に変えられる白色調色LEDでは、暖色系と寒色系のLEDを複数搭載し、それぞれの出力を変えて光を混ぜる方式がよく使われます。
米国DOEは、白色調色製品の代表例として、暖白色LEDと高色温度の白色LEDの出力比を調整する方式を説明しています。たとえば2700KのLEDと6500KのLEDを組み合わせ、その中間の色温度を作ります。
この方式では、明るさと色温度を別々に調整できる製品もあります。朝は高い色温度、夜は低い色温度というように、時間帯や用途に合わせて光色を変えられます。
複数のLEDを混ぜても、色温度だけでは光の見え方を完全には表せない
同じ3000Kという表示でも、すべての照明がまったく同じ色に見えるとは限りません。
DOEは、同じ相関色温度でも色度図上の位置が少し異なると、緑っぽく見えたり、赤紫っぽく見えたりする場合があると説明しています。色温度は光色を表す重要な指標ですが、白色光の微妙な色合いまで一つの数字で完全に示すものではありません。
そのため、店舗や展示空間など光色の統一が重要な場所では、色温度だけでなく色偏差や色度も確認することがあります。
温度が変わるとLEDの色度も少し変化することがある
LEDは半導体なので、内部温度によって発光特性が変わります。温度が上がるとLEDチップの発光波長や蛍光体の変換特性がわずかに変化し、結果として色度や色温度が少し移動する場合があります。
前の記事で説明したように、LEDでは温度や電流によって明るさや効率が変わりますが、色についても完全に一定ではありません。
高品質な照明器具では、通常の使用範囲で大きな色ずれが起きないよう設計されていますが、高温環境や不適切な放熱条件では、光出力だけでなく光色の安定性にも影響する可能性があります。
長期間の使用でも色は少しずつ変わることがある
LED照明は長寿命ですが、長時間使っている間に光の色が少しずつ変化することがあります。
米国DOEは、LED照明の信頼性評価では光束低下だけでなく、色度シフトも重要な項目だと説明しています。LEDチップ、蛍光体、封止材、レンズなどが熱や光によって経年変化すると、スペクトルのバランスが変わる可能性があります。
この変化はゆっくり進むため一台だけでは気づきにくいことがありますが、複数台を並べて使う店舗や施設では、器具ごとの色差として目立つ場合があります。
色温度を変えると、空間の印象も変わる
低い色温度の光は、赤や黄の成分を多く感じるため、暖かく落ち着いた印象を作りやすくなります。高い色温度の光は、白から青みを感じるため、すっきりした印象を作りやすくなります。
住宅では、食事やくつろぎの時間には低い色温度、読書や作業ではやや高い色温度を選ぶことがあります。オフィスや学校では、用途や時間帯に合わせて色温度を変える照明も利用されています。
ただし、人の感じ方には個人差があり、「高色温度ほど必ず集中できる」「低色温度ほど必ず眠くなる」と単純に決めることはできません。照度や時間帯、周囲の明るさなど他の条件も関係します。
色温度と演色性は別の性能
色温度は「光そのものがどのような白に見えるか」を表します。一方、演色性は、その光で物体を照らしたときに色がどのように見えるかを表します。
同じ3000Kでも、物の色を自然に見せる性能は製品によって異なります。逆に、演色性が高い照明でも、色温度は暖色から高色温度までさまざまです。
照明を選ぶときは、雰囲気だけを重視するなら色温度、商品の色や肌の見え方も重要なら演色性も合わせて確認する必要があります。
用途に応じて色温度を変える方法
- 住宅のくつろぎ空間では、低い色温度で暖かい印象を作る
- 読書や細かな作業では、好みに応じて白色から昼白色を使う
- 飲食店やホテルでは、dim-to-warmで暗くしたときに暖色へ変える
- オフィスや学校では、白色調色で時間帯や活動に応じて光色を変える
- 店舗や展示では、商品や内装に合わせて色温度と色度を選ぶ
- 複数の照明を並べる場合は、色温度だけでなく色差も確認する
まとめ
照明の色温度が条件や使い方によって変わるのは、光に含まれる波長成分のバランスが、光源の仕組みや制御方法によって変化するからです。
白熱電球では調光するとフィラメント温度が下がり、色温度も低下します。固定色LEDではLEDチップと蛍光体の組み合わせで色温度が決まり、調色LEDでは暖色系と寒色系のLED出力を変えることで、色温度を意図的に変えます。
さらに、LEDでは温度・電流・経年変化によって色度が少し変化することがあります。照明の光色を見るときは、単に何Kかだけでなく、調光・調色方式、色度、演色性、使用環境まで含めて考えることが重要です。
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参考資料
- パナソニック「照明の基礎講座 ⑤ 色温度とは?」
- U.S. Department of Energy「Understanding LED Color-Tunable Products」
- U.S. Department of Energy「LED Systems Reliability Consortium」
- U.S. Department of Energy「LED Basics」

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