火山と火口が関係しているのは、火口が火山活動によって地下のマグマや火山ガスなどが地表へ出てくる場所だからです。 火山は、噴火によって出た溶岩や火山灰などが積み重なってできた地形や、その地下のマグマ供給系を含む火山活動のまとまりです。一方、火口はその活動が地表に現れる「出口」にあたります。
つまり、火山が「火山活動によってできた地形・構造の全体」だとすれば、火口は「その火山活動が地表へ現れる場所」です。両者は別のものですが、同じ火山活動の中で直接つながっています。
火山と火口は何が違うのか
まず、言葉の意味を分けると関係がわかりやすくなります。
- 火山:火山活動によって生じた特徴的な地形や構造。一般には、溶岩や火山灰などの噴出物が積み重なってできた山体を指します。
- 火口:地下のマグマや火山ガスが地表に放出される場所で、ふつう円形に近いくぼみ状の地形です。
気象庁も、火口を「地下のマグマや火山ガスが地表に放出される場所」と説明しています。火山そのものと火口は同じ意味ではありません。火山はより大きな地形・構造で、その表面に火口が存在します。
英語圏の火山学では、マグマや火山ガスが出る地表の開口部を「vent」と呼びます。米国地質調査所(USGS)は、火山を溶岩・火山砕屑物・水蒸気などが地表へ噴出する開口部や、それによって形成される地形として説明しています。
なぜ火山には火口ができるのか
火口ができる理由は、地下から上昇してきたマグマや火山ガスが地表へ抜ける通り道が必要だからです。
- 地下でマグマがつくられ、地下のマグマだまりなどに蓄えられます。
- マグマは周囲の岩石より軽いことや、内部に含まれる火山ガスの圧力などによって上昇します。
- 地表付近まで上がると圧力が下がり、マグマに溶けていた水蒸気や二酸化炭素などのガスが泡になります。
- その膨張するガスやマグマの圧力によって地表の弱い部分が破られると、そこから噴火が起こります。
- 噴出が起きた場所には、火口と呼ばれるくぼみや開口部が形成・拡大することがあります。
気象庁は、火口が開いてマグマの圧力が下がると発泡が進み、マグマが火口から噴出する仕組みを説明しています。火口は、地下のマグマの動きと地表の噴火をつなぐ場所なのです。
火山は火口から出たものが積み重なって成長する
火山と火口の関係は、噴火の「出口」と「積み重なった結果」という点でも説明できます。
火口などから噴き出した溶岩、火山灰、軽石、火山弾などは、火口の周囲や山腹に堆積します。噴火が何度も繰り返されると、それらの噴出物が積み重なり、火山の山体がつくられたり大きくなったりします。
そのため、火口は単に山頂に開いた穴ではありません。火口からの噴出を繰り返すことで火山そのものが成長する場合があり、火口は火山の形づくりにも深く関わっています。
火口は必ず山頂に1つだけあるわけではない
「火山のいちばん上に大きな火口が1つある」というイメージはわかりやすいものの、実際の火山はもっと複雑です。
火口は山頂だけでなく山腹にできることがあります。また、1つの火山に複数の火口が生じる場合もあります。気象庁は、複数の火口が直線的に並ぶものを「火口列」と呼んでいます。
たとえば富士山には山頂火口だけでなく、江戸時代の宝永噴火で生じた宝永火口があります。これは、地下から上昇するマグマが必ずしも山頂の同じ出口だけを使うとは限らないことを示す例です。
地下の割れ目や圧力のかかり方が変われば、過去とは違う場所に新しい火口が開くこともあります。したがって、「火山1つにつき火口1つ」という関係ではありません。
火口が丸いくぼみに見えるのはなぜか
火口は、ふつう円形に近いくぼみとして見えます。噴火の際には、マグマやガスの放出によって周囲の岩石が破壊・放出されたり、開口部の周囲が崩れたりします。その結果、地表にくぼみが残ることがあります。
ただし、火口の形はいつもきれいな円形とは限りません。噴火の位置、地形、岩石の割れ目、噴火の規模などによって形は変わります。さらに、時間がたつと崩壊や侵食によって形が変化することもあります。
火口とカルデラは同じではない
大きなくぼみを見ると、すべてを「巨大な火口」と考えたくなりますが、火口とカルデラは区別されます。
気象庁はカルデラを、火山活動によって形成された概ね直径2km以上の凹地形としています。大量のマグマが短時間に噴出したり側方へ移動したりした結果、地下のマグマだまりの上側にある地盤が沈降・崩落して形成されるものがあります。
火口は主にマグマや火山ガスが地表へ放出される場所であるのに対し、カルデラはより大規模な陥没地形です。見た目がどちらも「くぼみ」であっても、規模や形成過程は同じではありません。
火口があるからといって、いつも噴火しているわけではない
火口は火山活動の出口ですが、火口が見えているからといって、その瞬間にマグマが噴出しているとは限りません。
過去の噴火でできた火口が長く残ることもありますし、火口の中や周辺から火山ガスや水蒸気だけが出ていることもあります。気象庁では、火口内で水蒸気や火山ガスを噴出している小さな孔を「噴気孔」と呼んで区別しています。
逆に、火山活動が変化して別の場所に新しい火口が形成されることもあります。したがって、火口の位置や状態は、火山活動の履歴を読み取る重要な手がかりになります。
火山と火口の関係をひとことで整理すると
火山は火山活動によってできる地形・構造の全体で、火口は地下のマグマや火山ガスが地表へ出る場所です。
地下で生じたマグマが上昇し、火口などから噴出すると、溶岩や火山灰が周囲に積み重なります。その繰り返しによって火山が形づくられます。このため、火口は火山の一部であると同時に、地下の火山活動と地表の火山地形をつなぐ重要な場所なのです。
「火山=山全体」「火口=その活動の出口」と考えると、両者の関係をつかみやすくなります。ただし実際には、1つの火山に複数の火口があったり、山腹に火口ができたり、巨大なカルデラが形成されたりするため、火山の姿は一様ではありません。

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