なぜ火成岩はできる場所や条件によって異なるのか?

結論からいうと、火成岩に場所や条件による違いがあるのは、マグマが「どこで」「どの速さで」冷えたか、さらに「どのような化学組成のマグマだったか」が違うからです。地下深くでゆっくり冷えれば結晶が大きくなりやすく、地表やその近くで急速に冷えれば結晶は細かくなりやすくなります。また、マグマに含まれるケイ素、鉄、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどの割合が違えば、できる鉱物の種類や岩石の色・密度・粘り気にも違いが現れます。

そのため、同じ「火成岩」というグループの中でも、花こう岩、閃緑岩、はんれい岩、流紋岩、安山岩、玄武岩など、見た目も組成も異なる岩石が生まれます。火成岩の違いは、単純に「冷え方だけ」で決まるのではなく、形成場所、冷却速度、マグマ組成、圧力、水などの条件が重なった結果です。

目次

火成岩の違いを生む2つの大きな軸

産業技術総合研究所 地質調査総合センター(GSJ)は、火成岩の多様性の主な原因を、「マグマの種類がいろいろあること」と「熱いマグマから冷たい岩石になるまでの冷え方がいろいろあること」と整理しています。

この考え方を使うと、火成岩の違いは大きく次の2つに分けて理解できます。

  • 組成の違い:マグマにどの元素がどれだけ含まれているかの違い。
  • 組織の違い:どこで、どれくらいの速さで冷えたかによって生じる結晶サイズやガラス質の割合の違い。

つまり「何からできたか」が組成を決め、「どう冷えたか」が組織を決める、という見方が基本になります。

地下深くでゆっくり冷えると深成岩になる

マグマが地表まで噴出せず、地下深くで長い時間をかけて冷えて固まると、深成岩ができます。

地下深くでは周囲の岩石も高温なので、マグマの熱はゆっくり失われます。そのため、鉱物の結晶が成長する時間を長く確保でき、一つ一つの結晶が大きくなりやすくなります。

USGS(米国地質調査所)も、地下にとどまったマグマはゆっくり冷えるため、鉱物粒が大きく成長し、粗粒な深成岩になると説明しています。代表的な深成岩には、花こう岩、閃緑岩、はんれい岩などがあります。

花こう岩を肉眼で見ると、石英、長石、黒雲母などの粒を見分けられることがあります。これは、地下でゆっくり冷えた結果、結晶が十分に成長したためです。

地表や地表近くで急に冷えると火山岩になる

一方、マグマが地表へ噴出すると溶岩となり、空気や水に触れて急速に冷えます。地表近くの浅い場所でも、地下深部よりは比較的速く冷えます。

急速に冷えると、原子が規則正しく並んで大きな結晶へ成長する時間が不足します。そのため、火山岩では結晶が非常に細かくなったり、一部がガラス質になったりします。

USGSは、地表で急冷した火成岩では鉱物結晶が小さく、火山ガラスを含むことがあると説明しています。代表的な火山岩は、流紋岩、安山岩、玄武岩です。

つまり、同じような化学組成のマグマでも、地下深くでゆっくり固まるか、地表付近で急速に固まるかによって、結晶の見え方が大きく変わります。

場所の違いは、結晶の大きさとして岩石に残る

火成岩の形成場所の違いは、岩石の組織に記録されます。

たとえば、花こう岩と流紋岩は組成が比較的近い組み合わせですが、花こう岩は地下深くでゆっくり冷えたため粗粒になり、流紋岩は地表付近で急冷したため細粒またはガラス質になりやすくなります。

同様に、閃緑岩と安山岩、はんれい岩と玄武岩も、それぞれ組成が近い一方で、形成場所と冷却速度の違いによって組織が異なります。

このため、火成岩を見るときは、「白いか黒いか」だけでなく、「結晶が肉眼で見えるか」「細かな石基があるか」「ガラス質か」といった組織を見ることが重要です。

同じ場所でできても、マグマ組成が違えば別の火成岩になる

形成場所が同じでも、もとのマグマ組成が違えば、できる火成岩は同じにはなりません。

GSJは、火成岩の組成の違いが、主にマグマの種類の違いを反映すると説明しています。マグマは、二酸化ケイ素(SiO2)の割合などによって、玄武岩質、安山岩質、デイサイト質、流紋岩質などに区分されます。

一般に、玄武岩質マグマは鉄やマグネシウムに比較的富み、できる岩石は暗色で密度が高めになりやすくなります。一方、流紋岩質マグマはケイ酸成分が多く、石英や長石などを多く含む明色の岩石をつくりやすくなります。

つまり、地下でゆっくり冷えたからといって必ず花こう岩になるわけではありません。玄武岩質のマグマが地下でゆっくり冷えれば、はんれい岩になります。

「冷え方」と「組成」を組み合わせると火成岩の違いがわかる

火成岩の代表的な違いは、冷え方と組成を組み合わせると整理しやすくなります。

  • 流紋岩と花こう岩:どちらも比較的ケイ酸に富むが、流紋岩は急冷、花こう岩は徐冷。
  • 安山岩と閃緑岩:中間的な組成をもち、安山岩は火山岩、閃緑岩は深成岩。
  • 玄武岩とはんれい岩:鉄・マグネシウムに比較的富む組成をもち、玄武岩は急冷、はんれい岩は徐冷。

このように、岩石名は単純な一要素ではなく、組成と組織の両方を反映しています。

火山岩の中に大きな結晶があるのはなぜ?

火山岩には、細かな石基の中に大きな結晶が点々と見えることがあります。このつくりを斑状組織といいます。

これは、マグマが一つの場所で一定の速さで冷えたわけではないことを示しています。まず地下のマグマだまりなどで比較的ゆっくり冷え、大きな結晶である斑晶が成長します。その後、マグマが地表へ噴出して急冷されると、残りの部分は細かな石基になります。

つまり、同じ岩石の中に大きな結晶と細かな部分が共存している場合、その岩石は「地下でゆっくり冷える段階」と「地表付近で急速に冷える段階」の両方を経験した可能性があります。

水や圧力の条件もマグマの性質を変える

火成岩の違いには、温度だけでなく水や圧力も関係します。

特に沈み込み帯では、沈み込む海洋プレートから供給される水などが上部マントルへ影響し、岩石が溶け始める条件を変えます。GSJは、日本列島のマグマ発生には、沈み込む海洋プレートと、それによってもたらされる水が重要な役割を果たすと説明しています。

マグマに含まれる水や揮発性成分は、マグマの粘性や鉱物の結晶化、噴火のしやすさにも影響します。そのため、同じ温度だけを比べても、マグマのふるまいを完全には説明できません。

プレート境界やホットスポットでマグマの性質が違う

火成岩の地域差を理解するには、どのような地質場でマグマが生まれたかも重要です。

海嶺のようにプレートが離れる場所では、上昇したマントルが減圧されることで部分的に溶け、玄武岩質マグマが生じやすくなります。一方、日本列島のような沈み込み帯では、水の供給や地殻との相互作用などが加わり、安山岩質から流紋岩質まで多様なマグマが生じます。

ホットスポットでは、深部から上昇する高温のマントル物質がマグマ生成に関係します。

このように、火成岩の「場所による違い」は、単に地表か地下かという冷却場所だけでなく、マグマがどの地質環境で生まれたかという違いも含んでいます。

マグマは冷える途中でも組成が変わる

火成岩の違いをさらに複雑にするのが、マグマが冷える途中で組成そのものが変化することです。

マグマが冷えると、特定の鉱物が先に結晶化します。その結晶がマグマから分離すると、残っている液体部分の元素比は変わります。これを結晶分化と呼びます。

さらに、別の組成をもつマグマ同士が混ざったり、周囲の地殻の岩石を取り込んだりすることもあります。こうした過程が重なると、同じ火山や同じ地域でも、時期によって異なる組成の火成岩ができることがあります。

したがって、同じ場所で採れた火成岩だからといって、必ず同じ種類になるとは限りません。

地表近くでは冷却速度が場所ごとに変わる

同じ一つの溶岩流でも、すべての部分が同じ速さで冷えるわけではありません。

空気に直接触れる表面は急速に冷えますが、厚い溶岩流の内部は熱を失いにくく、ゆっくり冷えます。水中へ流れ込んだ溶岩は、外側が非常に急速に冷える場合があります。

そのため、一つの岩体の中でも、表面と内部で結晶サイズやガラス質の割合が違うことがあります。火成岩の組織は、地球規模の場所だけでなく、岩体内部の小さな位置の違いも反映するのです。

火成岩の違いは、地球内部の環境を知る手がかりになる

火成岩の種類や組織を調べると、その岩石がどのような条件でできたのかを推定できます。

粗粒な結晶が多ければ地下でゆっくり冷えた可能性があり、細粒やガラス質なら急冷した可能性があります。鉱物の種類や化学組成を調べれば、もとのマグマが玄武岩質だったのか、流紋岩質だったのかを考えられます。

さらに、火成岩の分布を地域ごとに比較すると、過去の火山活動、プレート運動、地殻内部のマグマ活動などを読み解く手がかりになります。

つまり火成岩の違いは、単なる岩石の見た目の違いではなく、地球内部で起きた出来事を記録した情報なのです。

まとめ

岩石の火成岩に場所や条件による違いがあるのは、マグマの形成環境、化学組成、冷却する場所、冷却速度、水や圧力などの条件が異なるからです。

地下深くでゆっくり冷えれば、大きな結晶をもつ深成岩になりやすく、地表やその近くで急速に冷えれば、細かな結晶やガラス質を含む火山岩になりやすくなります。一方、岩石の種類そのものは、冷却速度だけでなく、もとのマグマ組成にも左右されます。

そのため、花こう岩と流紋岩、閃緑岩と安山岩、はんれい岩と玄武岩のように、組成が近くても形成場所と冷え方の違いで組織が変わる組み合わせがあります。さらに、沈み込み帯・海嶺・ホットスポットなどマグマが生まれる場所の違いも、火成岩の多様性につながります。

火成岩を比較するときは、「どこでできたか」「どう冷えたか」「どんなマグマだったか」の3点を見ると、その違いを理解しやすくなります。

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参考資料

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